4.幼木園の管理
機械による摘採が一般化した現在、幼木期の茶園はその土台(枝条構成)を形成する期間にあたります。この枝条構成が均一にできている茶園では芽揃いもよく、定期的に行う中切り等更新後の回復も早く、生産性の高い茶園になるでしょう。
1.幼木園の施肥
定植後活着までに1~2ヶ月を要しますので、活着後に第1回目の施肥を行いましょう。施肥量の目安は窒素10kg/10a、リン酸・カリ7kg/10a前後をとし、5~8月にかけて3~4回に分施しましょう。また、施肥位置は株もとから20cm程度離れた両側に施用し、軽く土と混ぜましょう。
幼木園では、年々樹体量が増加していくため、増加に応じて施肥量・施肥位置を拡大していく必要があります。
一般的には、成木園の施肥量に対して2年目50%、3年目70%、4年目90%、5年目100%を目安とされ、成木園の施肥体系に準じて分施していけばよいでしょう。また、施肥位置も樹体の大きさに応じて拡大していき、3~4年目には畦間全体に根が分布するようになるので、畦間全面に施用し、除草を兼ねて浅く耕耘しましょう。
<畦間の間作>
幼木期間は畦間が広く、雑草も生えやすいため、畦間に牧草(ソルゴー)や麦などを間作し、有機物補給や冬期の防寒・防風に利用できることができます。
また、畦間にも茶苗を定植し2年程度育成し、大苗として近くの定植予定茶園に移植することもでき、こうした方法によると大苗移植茶園での早期成園化も可能となります。
このように限られた茶園を有効利用する方法も古くから活用されてきていますので、茶園の新・改植計画を入念に立て、こうした方法を取り入れていくことも大切でしょう。
2.仕立て方法(例)
2年目以降の仕立ては、成園化後の枝条構成を左右します。茶樹の品種特性や生育に応じて仕立てを考えていくのが基本となります。以下に「やぶきた」のような直立性品種の単条植えを例にとった仕立て方法を示しますので、これを基本に品種や生育に応じて適宜加減しましょう。
- 2年目(定植一年後)
一般的には、定植後生育した枝葉を翌年(2年目)3月頃に定植時のせん枝位置より約10cm程度高い位置で水平にせん枝して秋までの分枝・枝条の生育を促します。 - 3年目
2年目のせん枝位置より約10cm程度高い位置で水平にせん枝して秋までの分枝・枝条の生育を促します。前年の生育が良好な場合、この時期に高い位置でせん枝してしまいがちですが、そうするとこの部分の枝条の密度が低くなってしまい、成園化後に中切り更新した場合回復に時間がかかってしまうことがあります。
また、生育良好な場合手摘みで一番茶の収穫も可能なため、収穫する場合は収穫直後にせん枝を行いますが、手摘みを行わない場合は2年目と同様3月頃行いましょう。 - 4年目以降
4年目になると株張りも確保され分枝数も増えてくるので、順調に生育すれば3年目の秋に昨年せん枝位置より約10cm程高い位置で弧状に整枝し、4年目から機械摘採ができます。しかし、株張りや枝条の分枝が十分でない場合は、春に弧状に整枝し、もう一年枝条の育成を図りましょう。
図 年次別仕立ての例 |