2.改植の手順
地上部除去と抜根
一般的には、バックホウなどの重機により茶株を根こそぎ除去しています。しかし、茶株の処分については粉砕し茶園に還元することが望ましいため、粉砕用カッターを装着した大型トラクターなどで地上部を粉砕し、その後ロータリーにより地下部も粉砕し、1ヶ月ほど放置・乾燥させ、石灰や石灰窒素とともに耕起し分解を促進します。
地形の修正
表面に段差があったり傾斜のきついところがある場合、機械化に適しません。機械化を前提にする場合、畑面が平坦となるようこの機会に修正します。また、地下1~1.5m付近までに岩盤などの不透水層がある場合は、この際に破砕しておくとよいでしょう。
また、修正後は降雨による崩壊などが起こりやすいため、防災対策、土壌保全対策について十分講じておきましょう。
有機物(堆肥)の投入と暗渠の設置
完熟した堆肥を10t/10a全面に投入し、暗渠を設置する場合は地下1~1.5m、幅40~50cmのの畑面暗渠溝を掘り、多孔管を設置します。
混層耕と埋め戻し
暗渠溝を掘削した土は、未風化のものも多いので、風化してから埋め戻すと同時に、全面に散布した堆肥等を有効土層となる土層全層に混和する「混層耕」を行いましょう。これにより有効根群域とされる地下1mまでの土層を改善することができます。
なおこうした作業は重機の稼働を伴うことが多いため、降雨の少ない秋~冬にかけて行い、短期間で施行せず土壌の風化等を促すうえでも時間をかけて行うことが有効と考えられます。また、決して土壌水分の多いときに重機での作業は行わないようにしましょう。
図 有効土層の確保と暗渠の設置 |
植栽方法の検討
畦の長さ、方向、苗の植栽方法は後の管理作業や生育面で影響を及ぼします。定植までに将来像を十分検討し、目的にあった植栽方法を選択しましょう。
植栽方法には単条植えと複条植えがありますが、複条植えの場合は千鳥植えが茶株の配置からみて良いと思われます。
また、早期に成園化をねらうには複条千鳥植えで植栽本数の多い方が適していますが、成園化後の根の競合を考えると単条植えの方が長期的にみてよいとする考え方もあります。
目的にあった植栽方法を選択し、苗の準備をしましょう。
図 茶苗の栽培方法 |
表 栽培方法と植栽本数
植栽方法 | 畦幅(m) | 株間(cm) | 条間(cm) | 10a当たり植栽本数(本) |
---|---|---|---|---|
複条千鳥植え | 180 | 80 | 50 | 1,389 |
180 | 60 | 50 | 1,852 | |
180 | 50 | 50 | 2,222 | |
180 | 40 | 50 | 2,780 | |
単条植え | 180 | 50 | - | 1,111 |
180 | 40 | - | 1,389 | |
180 | 30 | - | 1,852 |
苗木の選定
苗木の良・不良は後の生育に大きく影響するため、良質の苗木を育成または確保することは、重要といえましょう。
一般によい苗木とは、
- 幹が太く
- 低い位置から数本の枝が出ている
- 各枝も相当の太さを有し、下部から健全な成葉がついている
- 健全な根量が十分ある
- 病害虫(カイガラ等)の寄生がない
などが挙げられます。
一般的には2年生の苗を用いますが、早期成園化を図るために仮植育苗した3~4年生苗(大苗)を用いることもできます。
茶苗はできるだけ根を乾かさないように、また、根に付いた土をあまり落とさないよう丁寧に扱いましょう。