3.整せん枝後の病害虫(カイガラ、輪斑病)防除
対象となる病害虫
輪斑病
△カイガラ(クワシロカイガラムシ)
(記号の意味◎:重要病害虫、○:注意が必要な病害虫、△:発生に応じて対応)
意義
輪斑病は、摘採や整枝によってできた葉や茎の傷口から病原菌が感染します。輪斑病としての実害はあまり目立ってはいませんが、多発すると枝枯れをおこし、三番茶芽の発生が不良となります。また、この時期の輪斑病が新梢枯死症の発生源となるので、毎年新梢枯死症が多いところでは防除を行った方が良いでしょう。
一方、カイガラは前述のように第1世代幼虫発生時期(一番茶摘採後)に茶園更新と併用しての防除が最も効果的ですが、実施できかったところや実施しても効果不十分であった場合は、この時期に徹底防除します。特に二番茶後のせん枝を行った茶園では葉層が取り除かれるため、カイガラの生息場所である枝・幹に直接薬剤がかかりやすく、且つ防除適期の幼虫孵化期とも重なるため、この時期に行うのは合理的でしょう(前年からの越冬量が多く、1回目の発生で多発が予想される場合は、やはり第1世代幼虫発生時期に更新とあわせて実施した方が良いでしょう)。
防除時期の考え方
ともに発生に応じて対応すれば良いので、必ずしも同時に防除する必要はありませんが、輪斑病は、2番茶摘採・整せん枝直後なるべく早いほど防除効果が高まります。
また、カイガラ第2世代は通常7月20日前後に幼虫のふ化が見られ、防除適期となりますが、この時期は第1世代幼虫孵化期に比べ孵化期の幅が広く、防除時期判断が難しくなっています。そのため、1回の防除で済ますよりも、7日間隔程度で薬剤(成分)を変えて2回防除を行う方が確実でしょう(「使用回数」には注意)。
防除要否判断の目安
輪斑病は毎年多発するところでは防除し、通常これらの発生の少ないところでは、防除の必要はないでしょう。
また、カイガラは6~7月の幹への寄生状況をみて、多発している場合必ず防除します。発生が少ない場合も、せん枝を行った場合には防除効果が上がりやすく、三番茶新芽害虫防除時期と重なる場面も多いため、そのときに同時防除することも可能です。
資材および方法
二番茶摘採後の整せん枝により葉層がない茶園では薬剤がかかりやすく、10aあたり手散布で500~600リットル、乗用型防除機で300~400リットルで防除できます。防除薬剤は次の表を参考に薬剤を選択しましょう。
<真夏の干ばつ対策>
この時期は梅雨明け時期となるため、夏型の天候が安定し、しばらく降雨のない状態の続くことがよくあります。特に一・二番茶を生産し、さらに整せん枝が実施された茶園にとっては、養分が消耗状態にあると考えられます。この時期に降雨が少ないと養分吸収がスムーズに行えません。ましてや、せん枝により葉層が少なくなった茶園では枝条や土壌表面がすべて直射日光にさらされ高温となり、ほ場の乾燥も助長されるため、生育に大きな影響をきたします。
このような場合、スプリンクラーや灌水チューブ等を用い積極的に灌水を行うなどの対策を講じると、見違えるほど効果を発揮します。水源が必要となりますが、一部地域でも実施されており、環境負荷軽減のため必要最小限の養分を効率的に利用していくための方法としても、期待されています。