1.一番茶後の肥培管理
意義
土壌管理の考え方の項で記述したように、一番茶摘採の直後から窒素の吸収が活発になると考えられます。したがって、摘採直後なるべく早い時期から茶樹が窒素を吸収できるよう管理することが重要です。また逆に、二番茶開葉後の窒素吸収は少ないと考えられています。一方、このころから地温も高くなり、降雨量も多くなってくる時期ですので、土壌中有機物の分解も促進され、吸収されてくるものと思われます。
時期、資材および施用量の考え方
体系例1
摘採直後のできるだけ、早い時期に速効性の肥料を与えることが必要となってきます。
<施用例>
時期 | 肥料の種類 | 成分量 (%) |
10a当施用量 (kg) |
施用成分量 (kg/10a) |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
N | P | K | N | P | K | |||
5月上旬 (一茶直後) |
硫安 | 21 | 0 | 0 | 40 | 8.4 | 0.0 | 0.0 |
体系例2
一番茶摘採直後の作業的に忙しい時期ですので、大規模経営の場合作業的に困難なことも考えられます。本体系例ではこうした場合も想定して、降雨量が多くても溶出をコントロールできる肥効調節型肥料を一番茶摘採前に施用しておき、春肥として施用した肥効調節型肥料の残効分とあわせて、一番茶摘採直後および二番茶摘採直後の吸収が活発な時期に十分供給できるよう考えています。したがってこの時期の施用は必要ありません。
施用後の管理
施用後の浅耕はもちろんです。とくに肥効調節型肥料は土壌中にないと安定した窒素の溶出は期待できません。また、降雨の少ない状態が続いた場合は、灌水により溶出や養分吸収をしやすくすることも考慮しましょう。