6.一番茶の摘採
意義
一番茶は、年間生産される各茶期の中で最も品質が高く、年間荒茶粗収益のうちの大部分を占めます。また、日々伸育する新芽を収穫する茶の特性から、早期に摘採(みる芽)すれば品質は高い反面収量が低く、晩期(高出開度)に摘採すれば収量は多い反面品質は低下します。
収益性を考慮すると品質(荒茶単価)×収量(荒茶収量)が最も高くなるところをねらって摘採時期や方法を決定することになりますが、実際には日々の市場動向や労力配分、天候等多くのことを考慮しながら摘採時期を決定していくことになるでしょう。
時期の考え方
一般的な考え方としては、出開度70%前後の時期で収量・品質ともに確保できるとされています。しかし、新芽の出方(芽数型、芽重型)によって同じ出開度でも荒茶の品質は微妙に違い、実際にはこうしたことも考慮していく必要があるのでしょう。出開度以外で判定する方法としては、新芽硬化度や開葉数、葉色などを観察する方法もあるようです。いずれにしても、市場の動向等を常に捉えて、 総合的に判断していくことが大切でしょう。
図 出開度と収量・品質の関係(原田らの図を改編)
高さの考え方
新芽の高さ別の化学成分量は、上層ほど総窒素含有率、アミノ酸含有率が高く、重量と粗繊維含有率が低くなります。したがって、摘採位置が高いほど品質が良くなる反面収量は低くなります。こうしたことを考慮して高さを決定していくことになりますが、実際には収量性を重視して古葉が混入しない最低の高さで摘採される場面が多く、機械化が進んで乗用型摘採機等の普及により、可搬式摘採機の場合より低くなってきているようです。しかし、このように低く摘採すると次の新芽(二番茶)が芽数型になりやすいことが多く、意図的に二番茶の新芽を芽重型にしたい場合には高めに摘採を行うなどの工夫が必要でしょう。
方法
摘採にあたっては、古葉や木茎が混入しないよう摘採面からの高さを一定に保ちながら、摘採することが荒茶品質面から見ても重要です。乗用型摘採機の場合、摘採高は一定ですが、進路が少しでも左右にずれると高さもずれますので進路を確実に取るようにしましょう。また、後の整枝作業のために摘採高を茶園毎に記録しておくことも重要でしょう。
摘採した生葉はその瞬間から萎凋や熱による傷みが始まります。特に晴天時に茶袋に入ったまま放置すると予想以上に温度が上昇し、葉傷みを起こすことがあります。この葉傷み臭が荒茶に残ると外観がよくても評価が下がることが多いようですので、摘採後はなるべく速やかに工場へ搬送するような体制が重要でしょう。