2.春整枝・化粧ならし
意義
各・リ冾フ摘採面を均一にし、機械での摘採時に古葉や小枝が収穫芽に混入しないように面を揃える作業を「整枝」といい、一番茶のための整枝を行う場合、春(春整枝)または前年の秋(秋整枝)に行います。
<春整枝それとも秋整枝?>
一般的に春整枝は秋整枝に比べ前年生育した葉を残して越冬するため、養分蓄積の面でプラスにはたらき、さらに一番茶摘採面を寒害から保護する効果があります。しかしその反面、一番茶期がやや遅くなり、一番茶芽数がやや少なくなることが多いようです。このため、寒害の被害があまりなく、防霜施設も普及した本県では秋整枝が多く採用されています。
しかし、秋整枝で均一にされた摘採面も冬の間に古葉や遅れ芽が突出してくるため、これらのみを春に再度整枝することが必要となります。この作業を本県では「ならし・化粧ならし」といわれており、本書でも以下「ならし」と定義付け「整枝」と使い分けていきたいと思います。
また、気象災害などで、前年秋の生育が芳しくなかった場合や、経営規模が大きく摘採適期を調整したい場合は春整枝を一部取り入れていくことも経営上考慮していくことは大切でしょう。
時期の考え方
「ならし」も「春整枝」の場合も、ともに推定萌芽期の50日前頃が適期といわれています。本県の場合4月上~中旬に萌芽期を迎えるところが多く、これから逆算すると2月下~3月上旬となります。
時期の考え方としてあまり早いと整枝(ならし)面がいきなり寒気にさらされ寒害をうけることもあり、逆に遅いと一番茶摘採時期の遅れにもつながります。
実施する際には、この時期の長期気象予報や週間天気予報などを参考にして、実施時期を決定していくことが重要でしょう。
深さの考え方
<ならし>
秋に整枝してできた摘採面から飛び出た葉のみを刈落とすようにすることが原則です。深くなってしまうとせっかく充実した冬芽(越冬芽)を刈落としてしまうことになり、萌芽が遅れたり品質の低下にもつながります。
<春整枝>
一定の着葉量(葉層8cm以上)を確保し、かつ摘採面が均一になる位置を目安としますが、秋整枝の場合に比べ、やや浅めに行う方が芽数確保や萌芽時期の遅延軽減の面からみて良いようです。
方法
<ならし>
一番茶への古葉等の混入を避けるため、できるだけ丁寧にならすことが重要です。
<春整枝>
この時期は日差しも日に日に強まってくるため、一度に目標の深さまで整枝してしまうと、上部の枝葉に覆われていた葉が急激に強い日光にさらされ、日焼けを起こすことがありますので、やや早めに浅く整枝し、その7~10日後に本来の位置で整枝するといった2段階に分けて行った方が安全でしょう。