3.年間の茶園管理ビジョン
2.病害虫管理
病害虫管理方法のうち最も多いのは、化学合成農薬による薬剤防除です。しかし、消費者からの農薬に対する削減要求は高いうえ、農地に化学合成物質を投下することは、環境負荷軽減の見地からも必要最少限に抑えたいものです。
しかし、茶園の病害虫の発生は年により、また茶園により発生量や発生時期が異なることもあり、それぞれを正確に把握することも難しいことから、ついついスケジュール的に防除してしまうこともあります。
茶園に発生する病害虫のほとんどはその発生生態の解明や発生予察法が確立されています。それぞれの生息部位や加害部位、季節的な発生周期を理解したうえで発生状況を把握し、同時に茶園の生育状況とあわせて防除時期、防除手段(薬剤)の選択を行っていくことが必要です。
本ページ最後に通常の主要病害虫発生パターンと茶園の生育パターンから、重点防除時期について図示しましたので、年間防除計画の設計に役立てましょう。
図 茶園防除判断の流れ
また、茶園はほかの作物に比べ葉層を境にその外部(樹冠面)と内部(樹冠内)の環境が違うため、数々の天敵類が生息しやすい環境にあるといわれています。こうしたことを十分理解し、同時に各種薬剤の特性を理解して選択していくことにより、自然の抑制力を活用した必要最少限の防除が実践できます。