3.年間の茶園管理ビジョン
1.栽培管理
<摘採・整枝・せん枝>
茶樹の栄養生長した新芽・枝葉は、摘採・整枝およびせん枝(以下整せん枝とする)により年間数回取り除かれます。このことは、後の枝条構成や仕立て方に大きく影響を与えるとともに、茶樹にとっては、自然に成長する場合と比べ何らかのストレスに働いているものと考えられます。
したがって年間の摘採回数や時期、整せん枝の回数・時期や程度などをトータルで考えていくと同時に樹勢に応じて実施していくことが重要です。
例えば同じ経営内でも茶期のはじめに摘採した茶園と終盤に摘採した茶園とでは後の芽の出方も違ってきたり、整せん枝の深さや時期が少し違うだけでも後の生育に違いが出てくることは良くあることです。もちろん気象の影響も微妙に絡んでくるため、一律の体系よりも様々なパターンが想定されます。
ここに整枝と次の新芽の基本的な生育パターンを紹介ししますが、こうした特性をもとに年間の摘採・整せん枝体系を構築していくように考えましょう。
図 摘採・整枝位置と次の新芽の出方(大石の図から改編)
<被覆>
茶は新芽生育期に被覆することにより、テアニンが分解してカテキンに変化するのが抑制され、渋みが少なく甘みが強くなります。同時に「かぶせ香」という独特の香りを発するようになり、「玉露」や「かぶせ茶」の風味が引き出されます。また、新芽の緑色が濃くなり荒茶の色沢も向上することから、煎茶栽培でも短期間被覆して品質向上をねらう栽培法もできます。
しかし、長期間被覆することにより光合成が制限され、樹勢低下を招くこともあり、一番茶・二番茶とも長期間被覆を続けるなどで樹勢が低下してきた場合は、一時的に被覆を休止する(二番茶期)などの樹勢回復措置も必要となります。生育状態に応じた被覆管理を経営内で計画していくことは重要でしょう。