1.茶園管理と消費者・生活者が求める安全と安心
茶を生産するうえで必要とされる管理(防除・施肥等)には様々な資材が使用されています。なかでも農薬は過去には毒・劇物に指定された毒性の強いものがあったことから消費者の関心は高く、減農薬や無農薬栽培を望む消費者は相変わらず多いようです。
しかし、BSE対策に伴って表面化した「偽装表示」や山形県に端を発した「無登録農薬使用」等の問題が取り上げられて以降、消費者の関心は「食品の安全・安心確保」にシフトしつつあり、食品の生産・流通過程の透明化が要求されてくるようになってきました。
現在、市販されている農薬のほとんどが普通物になってきており、過去に比べると毒性はかなり低くなっているのも事実です。また、農薬として登録されるまでには数々の安全性に関するチェックがなされ、それらをクリアしたものに対してはじめて農薬として登録されるので、こうした意味においては、安全性がある程度確保されているともいえます。
しかし、それでも使用方法を誤ったり、登録内容以外の使用方法を行った場合はその限りではなく、ましてや無登録の農薬を使用するなどは「もっての外」ということになります。
一方、肥料についても品質向上を追求するあまり、過去には荒茶市況の好況とも相俟って過剰な肥培管理がなされてきたところもあり、それが結果的に茶園外に流出すると環境負荷の一因となることも指摘されています。
このように、茶だけでなく農産物全般について、消費者や生活者からは、たとえ農業といえどもひとつの食品産業と見なされ、他産業の製品と同じように扱われる傾向になってきています。
こうした状況のなか、消費者や生活者に生産した茶の安全性をうったえるために生産過程を公開するなど情報を提供し、茶生産、農業生産に対する理解を得ていくことも必要となってきています。そのためにも日頃の管理作業について、今一度再点検して「安全」を確保し、その情報を偽りなく公開することにより「安心」を担保することにつながるのでしょう。