第8回
前回の仕訳の練習はどうでしたでしょうか?出来た人も、出来なかった人も気にせず前に進みましょう。くどいようですが、「簿記は習うより慣れろ」ですから...。
ここでちょっと復習です。この講座の第2回「簿記一巡の流れ」を思い出してください。
簿記一巡の流れは、
(1)期首の財産の状態を調べて「貸借対照表」を作り、(第3回)
(2)会計期間中の「簿記上の取引」を「勘定科目」の単位毎に記録し、(第6、7回)
(3)勘定科目毎に集計し、
(4)期末にまた財産の状態を調べて、貸借対照表と損益計算書を作る。
これまでに、(1)(2)の期首貸借対照表を作り、日々の農業経営で発生する「簿記上の取引」を「仕訳」という方法で勘定科目の単位毎に記録する、というところまで説明してきました。
今回は、次のステップ「(3)勘定科目毎に集計し、」の部分です。
勘定科目毎の変化を記録し、集計するための帳簿が「元帳(モトチョウ)」とか「総勘定元帳(ソウカンジョウモトチョウ)」と呼ばれるものです。元帳も文房具屋さんで売っていますが、パソコンで記帳するならいりません。(パソコンが作ってくれます。)
期首と期末を除けば、日頃の簿記記帳は
簿記上の取引の発生 → 仕訳 → 元帳への記録
といったパターンの繰り返しになります。この仕訳によって記録した取引を元帳へ記録する作業を簿記用語で「転記(テンキ)」と言います。文字どおり記録する場所を転ずるということで、これは全くの単純作業になります。元帳には、各勘定科目のページが用意されていますので、仕訳で出てきた勘定科目のページを開いて、日付、相手勘定、金額を移し替えれば、転記をしたことになります。
例を見た方が分かり易いと思いますので、次の例を見てください。
この例の場合は、の仕訳作業は、
左側(借方)に 「肥料費 2,000円」 右側(貸方)に「現金 2,000円」と仕訳されました。
そこで、の転記作業として
まず、左側の「肥料費 2,000円」を元帳の「肥料費」のページに移し替えます。
(1)元帳の「肥料費」のページを開く。
(2)仕訳の日付を記入する。
(3)摘要欄に相手勘定を記入する。(この例の場合は「現金」)
(4)左側(借方)に金額2,000円を記入する。
同様に、右側の「現金 2,000円」を元帳の「現金」のページに、移し替えます。
(1)元帳の「現金」のページを開く。
(2)仕訳の日付を記入する。
(3)摘要欄に相手勘定を記入する。(この例の場合は「肥料費」)
(4)右側(貸方)に金額2,000円を記入する。
これで転記作業はおしまいです。全くの単純作業でしょう。でも単純作業だけに人間が行うと「うっかりミス」をしてしまいます。パソコン簿記が普及するまでは、この転記段階でのミスが結構ありました。人間はミスを犯すものです。でも安心してください。複式簿記には、人間が犯す単純なミスをチェックする仕組みが用意されています。
最近は、パソコン簿記が主流になってきましたので、この様な単純作業はパソコンにお任せできるようになりました。その結果、転記ミス、計算ミスと言った単純なミスに煩わされることがなくなり、随分と簿記記帳が楽になりました。
今回は、転記について説明しました。パソコン簿記では、分からなくてもパソコンが勝手にやってくれる部分ですので、大丈夫です。ただ、簿記の仕組みを理解していただくためには必要な知識です。