第7回
前回は「仕訳」のルールについて説明しました。「○○が右で○○が左」と頭が混乱した人向けに今回は練習問題を解いてみましょう。無理に覚えようとせずに、あくまでも「慣れ」です。 それからもう一つ、実際の取引のほとんどは「現金」や「預金」が関係したものです。現金、預金は「資産」になりますから、
「現金」「預金」が増えたら左、減ったら右
とまず覚えてください。そして、判りやすい「現金」、「預金」の左右を先に決めておいて、後は現金、預金が変化した原因となった勘定科目を反対側に書けば仕訳が出来たことになります。
前回の例 「肥料2,000円を現金で買った」という取引なら、
(1)現金が2,000円減ったので、右に「現金 2,000」と書く
(2)反対側に(この場合は左)現金が減った原因として「肥料費 2,000」と書く
という具合です。
実際場面では
毎日の取引が多い経営は別ですが、一般的な経営では現金払いの領収書を箱か何かに貯めておいて、まとめて仕訳をしています。領収書を見て仕訳をするときは、常に現金が右にきますので、何も考えずに右側に現金と金額を書いておいてから、相手の勘定科目を考えれば仕訳が出来ます。預金通帳を見て仕訳をするときは、「通帳の反対」と単純に覚えましょう。預金通帳は、預け入れをしたときに右側、引き出したときに左側に金額が記入されますので、仕訳するときには何も考えずに左右を反対にすれば、仕訳は出来上がりです。
領収書ならまず「現金」を右に書く、
預金ならまず「預金」を通帳の反対に書く
ここまで、仕訳を説明してきましたが、実際に仕訳をする際には何に記録するのか少し説明しましょう。
仕訳帳を使う場合 | 文具店へいけば「仕訳帳」が売られています。普通のノートタイプのものやルーズリーフ式のものがあります。 |
---|---|
振替伝票を使う場合 | こちらも文具店で「仕訳伝票」が売られています。こちらは伝票なので、一枚一枚がバラバラになりますので、後で綴っておくことになります。 |
複写伝票を使う場合 | 上の振替伝票を使う場合と同じですが、複写式になっているため、後で出てくる「転記」という作業が省略できます。 |
パソコンを使う場合 | 最近は、これが主流になってきています。このページをごらんの皆さんならパソコン簿記をおすすめします。 |
その他 | 出金伝票、入金伝票、振替伝票の3種類の伝票を使うもの等色々なものがあります。 |
今回の本題からそれてしまったので、仕訳の練習にいきます。
仕訳の例
(1)現金50,000円を普通預金口座に入金した。
これは普通預金と言う資産の増加と現金という資産の減少を意味します。仕訳法則に従って仕訳しますと、次のようになります。
(借方) 普通預金 50,000 (資産の増加) |
(貸方)現金 50,000 (資産の減少) |
以下同じように考えます。
(2)農機具520,000円を購入し、代金を後払いとした。
(借方) 機械器具 520,000 (資産の増加) |
(貸方)未払金 520,000 (負債の増加) |
農機具という資産が増えて、後でお金を払わなければならない負債が増えたと考えます。
(3)預金利息 1,700円を普通預金に受け入れた。
(借方)普通預金 1,700 (資産の増加) |
(貸方)受取利息 1,700 ( 収益の発生) |
(4)買掛金750,000円を現金で支払った。
(借方 )買掛金 750,000 (負債の減少) |
(貸方)現金 750,000 (資産の減少) |
買掛金も未払金と同様に払わなければならないお金です。それを払ったので、「負債が減った」と考えるわけです。
(2)を除いて現金、預金が関係しているパターンですので、簡単でしょう。(2)のように農機具を購入するのはまれなことです。難しいと思ったら、気にせず「後で聞けばいいや」位の気持ちで十分です。繰り返しますが仕訳は「慣れ」です。
では、練習問題を出しますので仕分けをしてみてください。
この問題で使用する勘定科目は次のものを使ってください。
資産勘定・・・現金、当座預金、普通預金、売掛金、生産物、肥料、機械器具
負債勘定・・・買掛金、未払費用、農業近代化資金、農林漁業金融公庫資金
資本勘定・・・資本金、家計勘定
費用勘定・・・修繕費、種苗費、販売・一般管理費、諸材料費、租税公課
収益勘定・・・(今回はなし)
※「未払費用」は「○○費用」とついているのに「なぜ負債勘定?」と思われる方もあるでしょう。第三回でまぎらわしい勘定科目を使ってしまいました。 反省。。。
一般的には、「買掛金」となるものです。
A、開始貸借対照表の仕訳
(1)当講座の第三回で作成した開始貸借対照表の資産、負債、資本の諸項目を仕訳する
※この仕訳は期首に行う特殊なものです。記帳を開始するにあたって、資産、負債、資本の各勘定科目が実際に期首に増加したわけではありませんが、帳簿の上では増加したと考えてください。
B、日常の取引の仕訳
(2)農協普通預金から現金600,000円を引き出した。
(3)農協買掛金2,453,400円を農協当座預金で振替決済した。
(4)A氏から子牛代の売掛金105,200円を現金で受け取った。
(5)機械器具、建物施設の小修繕代合計344,785円を現金で支払った。
(6)水稲種苗53,600円、トマト種苗32,700円、メロン種苗19,600円、飼料作物種子28,800円、合計134,700円を農協から掛買いした。
(7)農業経営に関する研修会に出席し、会費15,000円と帳簿代5,000円の合計20,000円を現金で支払った。
(8)トマト出荷用ポリかごなど施設野菜用諸材料379,000円、穀物用紙袋56,000円、潤滑油46,080円合計481,080円を農協から掛買いした。
(9)家計用品を現金360,000円で購入した。
(10)固定資産税、自動車税合計205,000円を農協当座預金で振替払いした。(ここではこれらは農業用のものとする)
どうでしたか?
解答はこちらをクリックしてください。