農業普及現地情報
鵜方紅茶復活による地域茶業の活性化支援~国産紅茶グランプリで金賞受賞~
(平成30年10月普及現地情報)
中央農業改良普及センター
志摩市鵜方地区は大正9年には全国製茶品評会で優勝するほどの紅茶産地でした。しかしその後紅茶は衰退し、現在ではJA緑茶加工場1軒が緑茶を少量生産するのみとなっています。 このような茶業の現状に危機感を持ったJAと普及センターは、今後のありかたの検討を重ねて来ました。検討の中で普及センターから、地域に僅かに残存する紅茶用品種「はつもみじ」「べにほまれ」から鵜方紅茶を復活し、女性をターゲットに志摩観光とのコラボを提案したところ、29年度より試作に取り掛かる事になりました。 今年は6月に「はつもみじ」を手摘し、萎凋※1の工程で「きんこ」を干すセイロを利用する志摩らしい工夫で生産した茶を「国産紅茶グランプリ※2」チャレンジ部門に出品したところ、出品茶50点中から見事に金賞を受賞することができ、特産化に弾みがつきました。 全国の茶産地で紅茶生産がされていますが、そのほとんどが歴史的に乏しいなか「鵜方紅茶」は紅茶品種の希少性、過去の歴史と「復活」というストーリー性など地域茶業の活性化を図りつつ、ホテルのティータイムでの楽しみなど6次産業的な発展が期待されます。 普及センターでは、これからも地域活性化プランに基づき紅茶専用茶園と加工技術の向上などの実践支援を行い、グランプリではさらに上位を目指すとともに関わる人々の「やる気」を応援します。 ※1 萎凋…紅茶の製造工程の1つで、採取後の葉をしおらせることにより発酵を促進する。 ※2 国産紅茶グランプリ…愛知県尾張旭市で2015年から実施される日本唯一の国産紅茶審査会。審査に一般消費者が加わることで、嗜好品としての客観性が高く評価される。 萎凋の様子 |
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