大気汚染物質
県内の測定局では、大気汚染物質などの測定を行っています。また、物質ごとに環境基準が定められています。
大気汚染物質の環境基準
環境基本法第16条第1項に基づき「大気の汚染に係る環境上の条件につき人の健康を保護するうえで維持されることが望ましい基準」として下表のように定められています。この基準は行政上の目標であり、環境対策を進めていくうえでの指標の役割を果たすものです。
なお、工業専用地域、車道その他一般公衆が通常生活していない地域又は場所については適用されないこととなっています。
三重県の環境保全目標
県民の健康を保護し、生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい水準として、三重県独自で定めたものであり、県として、環境保全対策を進めていくための行政上の目標です。
測定している大気汚染物質
二酸化硫黄:SO2
燃料(石油・石炭)の硫黄分が燃えることにより発生します。他の大気汚染物質とともに人間や動植物に害を与えます。「ぜんそく」の原因になるなど呼吸器に悪い影響を与えるといわれています。
測定方法
溶液導電率法(湿式)
紫外線蛍光方式(乾式)
環境基準
法で定められた基準
1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ、 1時間値が0.1ppm以下であること。
三重県の環境保全目標
年平均値が0.017ppm以下であること。
窒素酸化物:NOx
ものが燃えるときや、また燃料中の窒素分が燃えることにより発生します。自動車、工場などから多く発生します。呼吸器に悪い影響を与えるといわれています。
測定方法
ザルツマン試薬を用いる吸光光度法(湿式)
化学発光法(乾式)
環境基準(二酸化窒素:NO2)
法で定められた基準
1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでの ゾーン内又はそれ以下であること。
三重県の環境保全目標
年平均値が0.020ppm以下であること。
浮遊粒子状物質:SPM
大気中に浮遊しているすべての粒子状物質のうち直径10μm(1μは1000分の1mm)以下のものをまとめて呼んでいます。気道や肺胞に付着して呼吸器に悪い影響を与えるといわれています。
測定方法
ベータ線吸収法
環境基準
法で定められた基準
1時間値の1日平均値が0.10mg/m3以下であり、かつ、 1時間値が0.20mg/m3以下であること。
微小粒子状物質:PM 2.5
大気中に浮遊する粒子状物質であって、粒径が2.5μmの粒子を50%の割合で分離できる分粒装置を用いて、より粒径の大きい粒子を除去した後に採取される粒子をいいます。PM2.5は、粒子径が小さいため肺の奥まで届きやすく、喘息や気管支炎などを引き起こしやすいといわれています。
測定方法
ベータ線吸収法
環境基準
法で定められた基準
1年平均値が15μg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m3以下であること。
一酸化炭素:CO
炭素または炭素化合物が不完全に燃えたときに発生します。自動車排気ガスに含まれるので、大都市になるほど量が多くなります。血液中にあるヘモグロビンと結びついて呼吸困難を引き起こしま す。
測定方法
非分散型赤外線吸収法
環境基準
法で定められた基準
1時間値の1日平均値が10ppm以下であり、かつ、 1時間値の8時間平均値が20ppm以下であること。
光化学オキシダント:Ox
オゾン、アルデヒド、PANなどの酸化性物質をまとめて呼んでいます。窒素酸化物、炭化水素などが紫外線により光化学反応してできたものを光化学オキシダントと呼び、光化学スモッグの原因物質となっています。
測定方法
中性ヨウ化カリウム溶液を用いる吸光光度法(湿式)
紫外線吸収法(乾式:オゾンのみ測定)
環境基準
法で定められた基準
1時間値が0.06ppm以下であること。
炭化水素:HC
炭素と水素を含んだ有機化合物をまとめて呼んでいます。このうち非メタン炭化水素は、ガソリン車、石油精製工場、塗装工場などから発生します。また、メタン(CH4)は、自然界から多く発生します。これらは光化学オキシダントの生成に関係するといわれています。
測定方法
水素炎イオン化検出器を用いるガスクロマトグラフ法
その他の測定項目
大気環境の監視に必要な下記項目についても測定を行っています。
- 風向・風速
- 温度