鈴鹿市稲生事案
1.事案の概要
鈴鹿市稲生町地内の産業廃棄物処理業者、家屋解体業者の敷地内に、平成12年ごろまでに大量の建設廃棄物が堆積されたものです。原因者に対し改善命令を行い、廃棄物の削減を指導してきましたが、改善が見られず、許可の更新を認めませんでした。
2.調査結果の概要
平成18年度に、現場の測量調査、地質調査、及び廃棄物・土壌・水質等の調査を実施したところ、その概要は次のとおりでした。
(1) 廃棄物の種類、投棄面積及び容量
木くず、がれき類を主体とし、廃プラスチック、金属くず等の混じった建設系廃棄物が確認され、面積は約7,100m2、容量は約57,000m3(土砂を含む)と推定されました。
(2) 地質及び地下水の概況
現場の地層は、埋土層、砂礫層(帯水層)、シルト層が分布しており、地下水は北西から南東方向に流れています。
(3) 廃棄物・土壌・水質試験結果
事業場内の地下水上流部に位置する既存井戸から環境基準を超えるダイオキシン類が検出されました。また、周辺地域でも、土壌溶出試験で鉛、表流水でダイオキシン類が環境基準を超えて検出されましたが、地下水ではすべて環境基準に適合していました。
資料
3.生活環境保全上の支障の評価
学識経験者(「三重県生活環境の保全に関する条例」の専門委員)からいただいた調査結果についての意見を踏まえ、次のとおり評価しました。
- 積み上げられた廃棄物中の木くず、廃プラスチック等の可燃物が燻焼状態にあり、悪臭の原因となるアルデヒド類等のガスが発生しており、周辺の住宅地からは悪臭の苦情が寄せられているほか、火災発生時には煤塵の飛散等が懸念される状況です。
- 現場付近の地下水は、南東方向へ流動していると考えられますが、汚染物質の周辺への流出は認められず、現在のところ、これによる生活環境保全上の支障のおそれはないと考えられます。
4.調査結果に基づく対応状況
平成18年8~9月にかけて三度にわたり小規模な火災が発生したため、10月6日に、原因者に対し緊急に散水等の措置を講じるよう命じるとともに、12月8日には可燃物の撤去措置を講じるよう命じましたが、原因者が命令を履行する見込みがないことから、覆土によって空気を遮断し可燃物の燻焼状態を解消する措置を原因者に代わって講じることとし、平成20年7月17日から行政代執行に着手しました。
また、地下水等の継続水質調査を実施しています。