いなべ市員弁町事案
1.事案の概要
平成7年7月~10月ごろ、いなべ市員弁町(当時は員弁郡員弁町)地内の養鰻池跡地を埋め戻す際、産業廃棄物が不法に投棄されたものです。当時、関係者の聴取調査を行いましたが、直接埋立工事にあたった事業者が所在不明となっており、投棄者の特定はできていません。
2.安全性確認調査結果の概要
平成16年度に、現場の測量調査、地質調査、及び廃棄物・土壌・水質調査を実施したところ、その概要は次のとおりでした。
(1) 廃棄物の種類、投棄面積及び容量
コンクリート片、プラスチック片、金属片、木くず、ゴム片、及びこれらの燃え殻等が確認されました。また、投棄面積は約12,000m2、容量は埋土を含めて約92,000m3(廃棄物量としては約57,000m3)と推定されました。
(2) 地質及び地下水の概況
現場の地層は、下層は透水性の低い粘土層、上層は砂礫層で構成され、廃棄物は、砂礫層の掘削跡地に埋土、覆土とともに投棄されています。また、粘土層の上部に帯水層が存在し、地下水は北西から南東方向に流れています。
(3) 廃棄物・土壌・水質試験結果
廃棄物投棄地内では、砒素、ほう素等が検出されましたが、周辺地域では、すべて環境基準に適合していました。
資料
3.生活環境保全上の支障の評価
学識経験者(「三重県生活環境の保全に関する条例」の専門委員)からいただいた調査結果についての意見を踏まえ、次のとおり評価しました。
- 確認された廃棄物は、建設廃材やその燃え殻などであり、有害物質を多量に含んだ汚泥等は確認されていません。また、廃棄物投棄地では砒素などが検出されていますが、周辺地域に汚染が拡がっている様子は見られず、現時点では、周辺の環境に支障を及ぼしてはいないと判断されます。
- また、廃棄物が投棄された場所は、かつて養鰻池として利用するため、透水性の低い埋土が底部に投入されたことにより、結果的に廃棄物層の有害物質が流出しにくい構造となっており、今後も周辺の環境に支障を及ぼす可能性は少ないと思われます。
4.調査結果に基づく対応状況
平成17年度から20年度まで水質調査を実施した結果、異常な値は検出されませんでした。