三重県が進める環境先進県づくり
1.環境と経済を同軸に捉えた環境経営
20世紀が、環境への配慮よりも産業活動を優先させる社会構造であったのに対して、21世紀は「環境の世紀」として、環境への負荷が少ない持続的な発展が可能な「循環型社会」を目指していく必要があります。
こうした時代にあって、環境に配慮していては経済は成り立たないという従来の考え方を改め、環境と経済を同軸に捉えた環境経営理念のもと、環境に配慮した方が経済的にも有利になる、環境に配慮しない企業活動は存続し得ないということを明確に打ち出していく必要があると考えています。
21世紀において、企業活動により保全・創出された環境の中であらゆる主体が豊かさを享受することができる社会であるためには、事業活動の方向を、単なる規制への対応から、より効率的な資源循環の活動に変えていくため、行政としてもこうした環境効率性の高い経営を支援していく必要があると考えます。
こうしたことを通じて、これまでの「大量生産、大量消費、大量廃棄」型の経済から循環を基調とした「最適生産、最適消費、廃棄ゼロ」型の経済へのパラダイムシフトを図ることが必要です。
このような時代認識の下、国においても世界的な流れを踏まえ、これまでの一方通行型の社会から循環型社会の構築へ向けて大きく転換するため、平成12年の通常国会において、循環型社会形成推進基本法をはじめとして廃棄物処理法の一部改正法や各種リサイクル関連法などあわせて6本の法案が成立しました。
これは、国としても従来の公害対策型の環境政策を抜本的に転換する決意を表明したものと理解できます。
こうした動きを踏まえ、「環境先進県づくり」を標榜する本県としても、県民・企業・行政の協働と連携が大切であると考え、環境県民運動の促進をはじめ、企業との協働・連携を進めるネットワークの構築や県内の市町村との協働・連携を図る場を設けるなどの取組みを行っています。制度面においても、広く生活環境全般の問題の解決に資するため、三重県生活環境の保全に関する条例を制定するとともに、三重県リサイクル製品利用推進条例が制定されました。
2.産業廃棄物対策
産業廃棄物行政については、排出者責任の原則に立ち、県としては産業廃棄物処理業者に対する許認可等の規制行政等を行う役割を担ってきました。今後は、循環型社会の構築を目指す中で、最終処分場をめぐる様々な状況を踏まえ、従来の枠を越えた積極的な施策展開を図ることは避けて通ることのできない喫緊の課題です。
このため、環境の21世紀を築くための産業活動への積極的な支援を行い、県内企業が排出抑制やリサイクル等への抜本的な転換等を行うなど世界の潮流や県民に支持されるような取組を促進していくとともに、産業廃棄物の処理に対する県民の信頼感を醸成し、産業基盤である最終処分場の円滑な確保を図ることが必要であると考えます。
このような従来の施策の枠を越えた新たな産業廃棄物対策には新たな財源の確保が必要であり、産業廃棄物税を創設し、企業活動がより活力あるものとなり、今後長期にわたり円滑な事業活動を進めることができるようにしていきたいと考えています。
なお、制度の効果として産業廃棄物の発生抑制、リサイクル等を推進することも期待できます。