令和4年定例会6月定例月会議の議案等の説明に先立ちまして、当面の県政運営にあたっての私の考えを申し述べます。
(立皇嗣の礼後神宮御参拝)
まず、秋篠宮皇嗣同妃両殿下の神宮御参拝についてです。
4月20日から21日にかけて、両殿下が「立皇嗣の礼後神宮御参拝」のため御来県されました。新型コロナウイルス感染症の影響で延期されておりましたが、今回、皇嗣になられたことの御報告を滞りなく終えられたことを心よりお慶び申し上げます。
御来県された4月20日は、一年を季節を表す名称で二十四等分した二十四節気では、恵みの雨が降り注ぐ頃とされる「穀雨」にあたり、当日も小雨が降る中、両殿下の御参拝にあわせて雨があがったことは、県民の皆様がお二人を歓迎する気持ちの表れではないかと感じたところです。
感染状況が予断を許さない中での御来県という明るい話題は、県民の皆様の元気につながったものと考えています。
(国際情勢)
次に、国際情勢について俯瞰してみますと、2月24日にロシアは、国際法に違反し、武力による現状の変更を企図したウクライナへの軍事侵攻を開始しました。その後も、各地で激しい攻防が続いています。軍事侵攻の犠牲となられた方に哀悼の意を表するとともに、一日も早い収束を望みます。
三重県としても可能な限りのウクライナ支援を行っていくこととしており、具体的には、ウクライナからの避難民の方々に関して、国の受入表明を受け、全国に先駆けて全庁横断の受入支援体制を整備したところです。「みえ外国人相談サポートセンター」に設置した相談窓口での相談対応や、住宅や就学・就労の支援など、市町等と連携して、避難される方一人ひとりに寄り添った対応をしていきます。
民主主義陣営と専制主義陣営の対立が激しくなる中、両陣営のいわば緩衝地帯でもあったウクライナへの侵攻を受けて、約200年にわたり軍事的な中立を維持してきたスウェーデンや第二次世界大戦後に中立を選択したフィンランドが、NATO(北大西洋条約機構)への加盟を申請するなど、世界の安全保障の枠組みは歴史的な転換期を迎えようとしています。
今年3月には、ロシア海軍の艦艇が津軽海峡を通過するなど、日本にとって看過できない動きも見られます。
一方、5月10日には韓国で政権交代があり、5年ぶりに保守政権が誕生しました。新政権は、日米韓の安全保障協力を強化する方針としています。また、22日には米国のバイデン大統領が初来日し、岸田総理大臣との会談の中で日米同盟の強化などについて確認されたほか、24日にはオーストラリアとインドを含む4か国の首脳会談において、ウクライナ情勢などについて話し合われたところです。
国においては引き続き、G7をはじめとする国際社会と緊密に連携し、安全保障政策を推進されることを期待します。
本県では、5月17日及び18日に、6か国の駐日大使の参加を得て、太平洋島嶼国・日本地方自治体ネットワーク会議を開催し、 幅広い分野について意見交換するとともに、今後、さらに交流を深めていくことを確認したところです。引き続き、こうした自治体レベルでの国際交流を通じて、海外の国・地域との関係強化に貢献していきます。
(沖縄本土復帰50周年)
次に、沖縄の本土復帰50周年について申し上げます。
5月15日、沖縄復帰50周年の佳節を迎えました。先の大戦で 当時の人口の4人に1人の方々が犠牲になられた痛ましい歴史を背負う沖縄に思いを致し、二度と戦争を起こしてはならないと、あらためて平和の尊さを強く認識したところです。今後も、さまざまな機会を通じて、若い世代を含め県民の皆様に戦争の悲惨さを伝え、平和を希求する思いを強めていただく機会の提供に努めていきます。
(経済情勢)
次に、経済情勢についての見解を申し上げます。
世界的な経済活動の再開による需要拡大を受けて、原油や穀物等の価格が高い水準で推移する中、ウクライナ危機による供給不安や円安の急激な進行が重なり、輸入価格の上昇に拍車がかかっています。また、世界的な半導体の供給不足や、中国の都市封鎖による部品供給の停滞などにより、自動車をはじめとする製造業にも影響が出ています。
国は4月に、事業規模13.2兆円の「コロナ禍における『原油価格・物価高騰等総合緊急対策』」を策定し、原油価格高騰対策、エネルギー・原材料・食料等の安定供給対策、中小企業対策、生活困窮者等への支援により、ウクライナ情勢に伴う国民生活や経済活動への影響に対応することとしています。
合わせて、地方創生の臨時交付金が拡充され、新たに「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」として本県に58億円余りが交付されることとなりました。
この交付金を最大限に活用し、県民や事業者の負担軽減に資するよう、柔軟かつ迅速に対応していきたいと考えています。
(国への提言・提案)
次は、5月に実施した国への提言・提案活動についてです。
令和5年度の予算確保や制度改善等に向けて、関係府省庁等に対して提言活動を行いました。
金子総務大臣に対して、地方一般財源総額の確保・充実などについて要望し、「しっかり確保していきたい。その財源で、デジタルやグリーンなどの分野にもしっかりと取り組んでいただきたい。」とご回答いただきました。
岡本財務副大臣に対しては、防災・減災、国土強靱化の必要かつ十分な予算の確保をはじめ、令和4年に新規補助事業として採択された鈴鹿亀山道路の早期整備への支援や、近畿自動車道紀勢線の整備推進などについて要望し、「必要な財源が確保できるようしっかりと取り組んでいきたい。」とのご発言がありました。
自民党の高市政調会長に対して、リニア中央新幹線の早期全線開通に向けた取組をはじめ、新型コロナ対策やG7関係閣僚会合の誘致について説明し、「リニアの一日も早い全線開通は、我が国の さらなる発展のために重要であり、しっかり後押ししていきたい。」とお答えいただきました。
石井公明党幹事長に対しては、防災・減災、国土強靱化の予算確保や観光産業への切れ目ない支援を要望し、「三重県の社会資本整備は着実に進んでおり、防災・減災、国土強靱化はもとより、今後の観光振興にも大いに期待がもてる。今後も、しっかりと応援したい。」とご回答いただきました。
このほか、国への提言活動に先立ち、産廃特措法が令和4年度末で期限を迎えることから、特措法失効後の財政支援の継続について、秋田、福井及び滋賀の各県知事にも呼びかけを行い、共同で山口環境大臣に要望し、「可能な措置について検討する。」とお答えいただいたところです。
(危機管理、防災・減災対策)
次に、危機管理、防災・減災対策について申し上げます。
4月23日に北海道知床沖で観光遊覧船が沈没する事故が発生しました。亡くなられた方に哀悼の意を表するとともに、ご遺族の方々にお悔やみを申し上げます。また行方不明の方が一刻も早く発見されることをお祈りいたします。この事故を受け、国は全国の小型旅客船事業者に対する緊急安全点検を実施しており、県内においても、中部運輸局、鳥羽海上保安部及び三重県警察本部が連携し、運航基準に従った適切な船舶運行の可否判断や救命設備の搭載状況の確認などを実施しました。県としても、観光遊覧船等の安全確保対策の状況やさらなる充実に向けた取組について、関係事業者と意見交換を行いながら、利用者に安心いただけるよう、情報発信等に努めていきます。
防災・減災対策については、近い将来の発生が想定される南海トラフ地震や、気候変動に伴い頻発・激甚化している風水害に備え、国や市町、関係機関との連携を強化し、迅速かつ的確に対応する体制を一層強化する必要があります。
先月28日には、熊野川の河川敷において、平成23年の紀伊半島大水害を教訓とした総合水防演習を、熊野市や紀宝町、国、和歌山県などと連携し、実施しました。
また、静岡県熱海市で昨年7月に発生した土石流災害を踏まえ、危険な盛土をいち早く発見し対応するため、地域の皆様からの情報を受け付ける通報窓口『盛土110番』を一昨日スタートさせ、監視体制を強化したところです。
引き続き、発災直後の的確な初動対応に向けて、これまでの災害から得られた知見や教訓、経験も活用しながら、災害対応のプロセスを検証することで、災害即応力のさらなる強化を図っていきます。
(新型コロナ対策)
続いて、新型コロナ対策について申し上げます。
新型コロナの新規感染者数については、前週の同じ曜日を下回る傾向が続いています。県では、場面や状況に応じたマスク着用の考え方についてお示ししたところですが、基本的な感染防止対策は継続する必要があると考えています。また、病床使用率は20%前後で推移しており、医療提供体制がひっ迫している状況にはないと認識しています。
県ではこれまで、昨年10月18日に公表した「みえコロナガード」に基づき、対策を講じてきたところです。
その柱の一つである検査体制の整備については、感染者の早期発見や感染拡大の未然防止のため、重症化やクラスターのリスクが高い社会福祉施設等の従事者を対象に行う「社会的検査」をはじめ、感染に不安のある県民の皆様を対象とした「一般検査事業」や、 社会経済活動を行うにあたり検査が必要な方を対象に行う「定着促進事業」について、それぞれ6月30日まで期間を延長して実施しているところです。
ワクチン接種については、4月には大学・企業等からの相談窓口を設けるとともに、県営の集団接種会場において団体受付を行うなど、促進に取り組んでおり、5月末時点で、65歳以上の3回目接種率は89.9%、全人口では59.2%となっています。
また、4回目の接種については、60歳以上の方、または基礎疾患を有する18歳以上の方等を対象として、5月下旬から各市町に おいて順次接種券の発送が始まっているところであり、引き続き、市町や関係団体等と連携し、ワクチン接種の円滑な実施に向けて 取り組んでいきます。
さらに、今後の新型コロナ対策をより効果的なものとするため、第6波におけるこれまでの対策について、評価すべき点や課題の 抽出を進めているところです。
(人口減少対策)
次は人口減少対策についてです。
総務省が4月に公表した人口推計の結果を受けて、米国の電気自動車メーカー、テスラ社の最高経営責任者イーロン・マスク氏は「出生率が死亡率を超えるような変化がない限り、日本はやがて存在しなくなるだろう」とSNSで発信しました。氏の言葉を私は、日本の人口減少が危機的な状況にあるということに日本人は気づくべきである、というメッセージと受け止めています。
本県では、3月に「人口減少対策推進本部」を設置するとともに、4月には「人口減少対策課」を新設し、推進体制の充実を図ったところであり、あらためて強い危機感を持ち、全庁を挙げて人口減少対策を総合的かつ強力に推し進めていきます。
対策の推進にあたっては市町との連携が重要であり、4月2日には取組のキックオフとして、市町長にも出席いただき、人口減少対策フォーラムを開催しました。フォーラムでは、県と市町が一丸となって取り組んでいく必要性について共通の認識が得られたことから、全ての市町が参画する「みえ人口減少対策連携会議」を新たに設置したところであり、効果的な取組に向けた意見交換や共同の調査研究、連携事業を実施していきます。
また、人口減少に関する状況についての詳細な調査・分析を行った上で、より効果的な対策について検討を進め、「三重県人口減少対策方針(仮称)」を今年度中に取りまとめることとしており、この方針に基づき、地域が自立的かつ持続的に発展していける新しいモデルの確立をめざし、国や市町、企業等との連携のもと、取り組んでいきます。
こうした中、人口減少や高齢化の進展に伴い、4月にJR西日本が関西本線を輸送密度の低い路線の一つとして公表するなど、地域公共交通を取り巻く環境が厳しいものとなっていることから、関係市町や交通事業者等と連携し、地域公共交通の維持・改善に向けて対応していきます。
(観光振興・魅力発信)
続いて、観光振興・魅力発信について申し上げます。
県内観光産業の早期回復に向け、4月5日から県民の皆様を対象に開始した旅行割引「みえ得トラベルクーポン」事業については、5月13日から対象を近隣県に拡大し、6月1日からは京都府を加え1府11県を対象に実施しており、1日時点で約20万2千人の方にご利用いただいたところです。
今年のゴールデンウィーク期間中の観光入込客数は昨年の約1.5倍で、コロナ禍前の平成30年との比較で75%の水準まで回復しており、体験施設の利用や県内への教育旅行の促進などとあわせ、観光事業者を継続的に支援していきます。
また、大阪・関西万博の開催やリニア中央新幹線の東京・名古屋間の開通、第63回神宮式年遷宮等を見据えた本県への誘客や長期滞在の推進に向けて、3月に「三重県観光誘客推進本部」を立ち上げたところです。今後、「観光マーケティングの推進」をはじめ、「三重ならではの地域資源の発掘と磨き上げ」、「受入れ環境の整備」、さらには「戦略的な観光プロモーションの強化」の4つの分野で具体的に検討を進めていきます。
令和7年4月から開催される大阪・関西万博は、2,820万人が来場し、経済波及効果は2兆円と試算されており、この効果を本県に波及させるため、3月に「大阪・関西万博関連事業推進本部」を設置したところであり、パビリオンを活用した三重の魅力発信や観光誘客等に取り組んでいきます。
新型コロナの影響を受けた観光産業を支えるとともに、感染収束後を見据え、本県が地域間競争を勝ち抜き、選ばれ続ける魅力的な観光地となるための取組を推進していきます。
(「ゼロエミッションみえ」プロジェクトの推進)
次は、「ゼロエミッションみえ」プロジェクトについてです。
国内外の脱炭素化の流れがますます加速してきており、産業や経済社会のあり方にも大きな影響を及ぼしつつあります。
こうした中で、CO₂排出抑制のリスクの側面だけをクローズアップするのではなく、国のグリーン成長戦略も踏まえ、カーボンニュートラルの実現に向けた取組を産業・経済の発展につなげていく視点が重要となってきています。
県では「ゼロエミッションみえ」プロジェクトとして、産業構造の変化への対応や、新たな再生可能エネルギーの導入などを積極的に進めることで、県内の産業振興や地域経済の活性化につなげることに軸足を置いて、部局横断的に取組を進めていきます。
推進にあたっては、3月に設置した「ゼロエミッションみえ推進本部」のもとで、自動車分野のEV化等への対応をはじめ、カーボンニュートラルに向けたコンビナートの転換促進や県内港湾での取組促進、再生可能エネルギーの導入、さらには資源の循環利用や林業の活性化などを取組の柱とする方向で検討を進めています。
また、環境や社会、ガバナンスの要素も考慮したESG投資に関心の高い投資家を開拓し、県への投資を呼び込むことを目的として、2月に東海地方で初めてとなるグリーンボンドの発行を公表したところ、発行額50億円に対して661億円、金額ベースで約13倍の応募があり、関心の高さをあらためて実感したところです。
カーボンニュートラルの実現に向けて、事業者等と連携し、国の施策も活用しながら、全庁を挙げて取り組んでいきます。
(デジタル社会の実現に向けた取組の推進)
続いて、デジタル社会の実現に向けた取組について申し上げます。
デジタル社会の実現に向けて、まずは、県民の皆様にできるだけ早期にデジタルの恩恵を実感してもらうことが重要と考えており、4月に策定した「行政手続デジタル化方針」に基づき、県民サービスの向上に努めていきます。具体的には、年間の受付件数が100件以上の県独自手続のうち、オンライン化の効果が期待できる75を重点手続とし、令和6年度までのデジタル化を実現します。
一例を挙げますと、令和5年に実施する高等学校入学者選抜から入学願書をWEB出願とし、願書の作成を簡略化することで、志願者や保護者の利便性の向上を図ります。なお、受付件数が少ない 手続等についても、原則、令和8年度までの実現をめざします。
また、県職員間のデジタルコミュニケーションを促進するとともに、これまで各業務で個別に取り扱っていたデータを相互に連携して活用するため、今年度、クラウドサービスを利用した新たな情報システム基盤を整備し、生産性のさらなる向上や行政サービスの 一層の充実をめざします。
さらに、国等の動きやコロナ禍で顕在化したデジタル化の遅れなどに対応するため、「みえデジタル戦略推進計画」を本年中に全面改訂し、本県がめざすデジタル社会の全体像と具体的な取組方向を新たにお示しします。
(子どもへの支援)
次に、子どもへの支援について申し上げます。
三重の未来を担う全ての子どもが健やかに、夢と希望を持って成長できるよう、子ども・子育て支援の取組に注力していきます。
ヤングケアラーは、年齢等に見合わない重い責任や負担を背負っていますが、子どもが生まれながらに豊かに育つための権利を守る観点から新たな課題となっています。一方で、家庭内の問題のため表面化しづらい現状があります。
こうしたことから、実態調査や市町の福祉担当職員等に対する研修を実施するとともに、市町や学校、子ども食堂などの居場所づくりを行う団体等とのパイプ役となるヤングケアラー・コーディネーターを配置するなど、地域における支援機能の強化を進めていきます。
児童虐待については最優先の課題と認識しており、私が先頭に立って対策を推進します。子どものかけがえのない命や尊厳を守るため、児童相談所の人員体制の強化を着実に進めるとともに、AI技術の活用等による対応力の強化に取り組みます。また、市町の児童相談体制の充実に向け、人材育成などの支援を行います。
(いじめへの対応)
続いて、いじめへの対応について申し上げます。
いじめは、いじめを受けた子どもの教育を受ける権利を侵害し、心身の健全な成長や人格の形成に重大な影響を与える決して許されないものです。
県立高校で発生した重大事態を受けて、「三重県いじめ対策審議会」から出された調査の進め方や実施主体、認定の時期などに関する答申を、今後の重大事態に対処するための指針とします。
また、教育委員会と子ども・福祉部で設置した「いじめ防止対策ワーキンググループ」において、子どもたちの兆候や変化を逃さない迅速な組織的対応のあり方や教職員の資質向上、情報モラル教育などの具体的な対応策を検討しているところです。ワーキンググループでとりまとめた対応策については公表し、9月から各県立学校で実施していきます。
今後、いじめ問題に的確に対応するとともに、相談体制の強化や増加するインターネット上のいじめの対策に取り組みます。さらに、道徳教育や人権教育を通じて、いじめをしない、させない心や人権を守る実践行動ができる力を育むことで、いじめ問題の克服に取り組んでいきます。
(ひきこもり支援の推進)
次に、ひきこもりへの対応について申し上げます。
ひきこもりが大きな社会問題となっており、総合的な支援が必要です。このため、全国初となるひきこもり支援に特化した計画、「三重県ひきこもり支援推進計画」を今年度からスタートさせたところであり、4月にはキックオフとして、「ひきこもり支援を考える三重県議会議員有志の会」との共催によりフォーラムを開催しました。ひきこもり当事者やその家族を含め、多くの方にご出席いただき、支援に対する関心の高さや期待の大きさをあらためて実感したところです。
8月には若年層に焦点をあてたフォーラムを開催することとしており、引き続き、県民の皆様のひきこもりに関する正しい理解の促進や、身近な相談窓口となる市町における相談支援体制の充実強化などに取り組んでいきます。
(人権・ダイバーシティ)
次は、人権・ダイバーシティについてです。
近年、新型コロナの感染拡大や性的指向・性自認、国籍等に起因する人権侵害が人権課題としてより強く認識され、県民の皆様の人権意識が高まっています。このため、一人ひとりが互いの人権を尊重し、不当な差別をはじめとする人権問題が解消されるよう、5月19日に公布・施行された「差別を解消し、人権が尊重される三重をつくる条例」もふまえ、相談体制の充実や相談窓口相互の連携体制の強化などに取り組んでいきます。
また、誰もが希望を持って挑戦し、参画・活躍することができるダイバーシティ社会の実現に向けては、女性の活躍が一層進むよう、組織における意識改革や職場環境づくりの支援などを行うとともに、外国人住民が安心して暮らしていけるよう、さまざまな主体との連携を強化し、生活に関する情報の発信や日本語の学習機会の確保などに取り組んでいきます。
(ビジョン、プラン)
これまで申し述べてきた取組については、現在策定中の「強じんな美し国ビジョンみえ(仮称)」と「みえ元気プラン(仮称)」に位置づけ、着実に推進していきます。
ビジョンに掲げた基本理念「強じんで多様な魅力あふれる美し国」については、懸念されるリスクに的確かつ柔軟に対応するとともに、チャンスについては機を逃すことなく三重のさらなる発展につなげていくことで、県民の皆様が未来に希望を持ち、幸福を感じながら、元気に、かつ安全・安心に暮らすことのできる持続可能な地域を実現していきたいと考えています。
そのためには、暮らしの安全・安心の確保につながる取組を着実に進めていく中で、将来を担う子どもたちの健全な育成に全力で取り組むとともに、県内各地の特性に応じて地域資源を磨き上げ、三重の魅力や産業の競争力を高めることで、地域の活力向上や産業振興をはじめとする地域課題の解決を図ることが重要であると考えています。
安全・安心の確保に向けては、防災対策や医療、福祉の充実に努めるとともに、生きづらさを抱えている方への支援をはじめ、誰一人取り残すことなく、誰もが活躍できる共生社会の実現をめざした取組を進めていきます。
三重の未来を担う子どもたちについては、全ての子どもたちが健やかに成長・活躍できるよう、市町をはじめ地域の多様な主体と連携して、さまざまな困難を有する子どもたちの支援に注力します。
また、三重の豊かな地域資源を生かす観光産業や農林水産業の 一層の振興を図るとともに、自動車や電子部品・電気機械産業などが高度に集積するなどの強みを持つものづくり産業について、それらを支える中小企業・小規模企業を含め、競争力のさらなる向上を図っていきます。
加えて、リニア中央新幹線の開業などによって、三重県は「成長のコリドー」、すなわち、大都市圏を結び日本の成長・発展をけん引する広域交通ネットワークの一部をなすことになると考えており、道路や港湾、公共交通の整備などにより、三重の発展につなげていきます。
ビジョンとプランについては、3月末に県議会の皆様からいただいた概要案への申し入れや、県民の皆様からのパブリックコメント、県内外の有識者のご意見などを踏まえ、最終案として取りまとめたところであり、今定例月会議でご説明いたします。
最終案についての今議会でのご議論等を踏まえ、9月に議案として提出したいと考えています。
(円卓対話)
最後に円卓対話について申し上げます。
私は就任以来、県政を進めるにあたっては、広く県民の皆様のご意見をお聴きすることが大切であると述べてきました。
私が地域に直接出向き、市町長や県民の皆様と意見交換を行う円卓対話を、4月11日の名張市を皮切りに木曽岬町や伊賀市と行いました。「円卓」には上座や下座がないことから、さまざまな立場の人たちが平等な立場で意見を交わす、という思いを込めています。
これまでも、地域共生社会の充実や地域資源の有効活用の促進などについて活発な意見交換を行ったほか、検討中のビジョンやプランに対するご意見を頂戴したところです。
今後も、可能な限り地域に足を運び、現場を見ながら、地域の課題について市町長や県民の皆様との対話を進めていきます。
(議案等の概要)
引き続き、上程されました補正予算2件、条例案16件、その他議案4件合わせて22件の議案について、その概要を説明いたします。
議案第80号及び第81号の補正予算は、国の「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」に対応し、物価や原油価格高騰の影響を受ける県民、中小企業、農業者等を対象とした緊急支援を行うとともに、三重県地域経済復活支援金等の需要増に対応するなど、早期に必要な措置を講じるため、一般会計で合わせて52億8,396万1千円を増額するものです。
歳入の主なものとして、国庫支出金について、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金で45億9,752万1千円を増額するなど、合わせて52億6,791万8千円を増額しています。
繰入金について、財政調整基金で1,603万8千円を増額しています。
歳出の主なものとして、物価高騰等に直面する低所得のひとり親世帯を支援するため、子育て世帯生活支援特別給付金を支給する経費として、1億1,139万7千円を計上しています。
中小企業・小規模企業の資金繰りを支援するため、県の中小企業融資制度における融資対象の拡大等を行うとともに、借入時の信用保証料を無料化する経費として、6億3,816万3千円を増額しています。
原油価格や原材料費の高騰等の影響を受ける中小企業・小規模企業等が取り組む、高性能な省エネ機器への更新や太陽光発電装置の設置等を支援する経費として、4億1,917万4千円を計上しています。
飼料価格の高騰により経営環境が厳しい畜産農家を支援するため、配合飼料の購入にかかる農家負担額の一部を補助するなど、10億9,250万円を計上しています。
燃油価格の高騰により経営が圧迫されている施設園芸農家に対し、省エネ経営への転換を図る設備導入を支援する経費として、5,300万円を計上しています。
燃料や電気料金の高騰の影響を受ける普通公衆浴場施設に対して、燃料費等の上昇による負担を軽減するため、1,092万円を計上しています。
不安定な雇用環境において、労働者や経営者が抱える課題に対応するため、臨時相談員の設置等に要する経費として、349万8千円を増額しています。
給食を実施している私立幼稚園、認可外保育施設に対して食材費等の一部を補助し、子育て世帯の負担軽減を図る経費として、2,943万5千円を計上しています。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小法人・個人事業者等に対し、事業継続や事業回復を支援する「三重県地域経済復活支援金」について、申請件数の増加に対応するため、21億4,272万7千円を計上しています。
2025年日本国際博覧会「大阪・関西万博」における、三重県ブース(仮称)を活用したプロモーション計画の策定に要する経費として、1,279万円を計上しています。
令和5年度からの首都圏営業拠点「三重テラス」の運営に向けて、現状の課題等をふまえた効果的かつ効率的な運営方法について検討する経費として、324万8千円を計上するとともに、令和9年度までの施設の賃借料として、4億412万4千円の債務負担行為を設定しています。
以上で予算についての説明を終わり、引き続き条例案等の諸議案について説明いたします。
議案第82号は、地方公務員法の一部改正等に鑑み、職員の定年引上げ後の関係条例の規定を整備するものです。
議案第83号は、地方公務員法の規定に基づき、職員の高齢者部分休業に関し、必要な事項を定めるものです。
議案第84号は、公職選挙法施行令の一部改正に鑑み、選挙運動用自動車の使用並びに選挙運動用ビラ及びポスターの作成に係る公費負担限度額に関する規定を整備するものです。
地方公務員法の一部改正等に鑑み、定年引上げ後における60歳を超える職員について、議案第85号は、給与に関する特例を設ける等の措置を、議案第86号は、退職手当に関する特例を設ける等の措置をそれぞれ講じるもので、議案第87号は、定年制度、管理監督職勤務上限年齢制及び定年前再任用短時間勤務制に係る規定等を整備するものです。
循環型社会の構築に向け、有用な廃棄物の循環的な利用の促進を図るため、議案第88号は、三重県環境保全基金条例の設置の規定等を、議案第90号は、三重県産業廃棄物税条例の課税標準の規定等を整備するものです。
議案第89号は、長期優良住宅の普及の促進に関する法律の一部改正等に鑑み、手数料についての規定を整備するものです。
議案第91号は、関係省令の一部改正等に鑑み、県税の特例措置についての規定を整備するものです。
議案第92号は、三重県身体障害者総合福祉センターの運動施設において新たに冷暖房設備を利用に供することとするため、規定を整備するものです。
議案第93号は、教育職員免許法の一部改正に伴い、規定を整理するものです。
地方公務員法の一部改正等に鑑み、議案第94号は、定年引上げ後における60歳を超える公立学校職員について、給与に関する特例を設ける等の措置を、議案第95号は、同じく退職手当に関する特例を設ける等の措置をそれぞれ講じるもので、議案第96号は、企業庁職員の給与の規定を、議案第97号は、病院事業庁職員の給与の規定をそれぞれ整備するものです。
議案第98号は、国営宮川用水土地改良事業の負担金の償還に要する経費に充てるため、市町の負担金を徴収しようとするものです。
議案第99号及び第100号は、工事請負契約の締結又は変更をしようとするものです。
議案第101号は、財産を処分しようとするものです。
以上で諸議案の説明を終わり、次に報告事項について説明いたします。
報告第6号及び第7号は、議会の委任による専決処分をしましたので、報告するものです。
報告第8号は、議会の議決すべき事件以外の契約等について、条例に基づき、報告するものです。
報告第9号から第15号までは、令和3年度一般会計、特別会計及び企業会計のうち、翌年度へ繰り越した経費について、それぞれ繰越計算書を調製しましたので、報告するものです。
以上をもちまして提案の説明を終わります。
なにとぞ、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。