令和３年三重県議会定例会　知事提案説明（追加提案・その13）

　ただいま上程されました補正予算1件について、その概要を説明いたします。
 
（県内観光関連産業の回復に向けた取組）
　県内の観光関連産業の状況は、令和元年には観光消費額が5,564億円、観光入込客数が4,304万人となり、ともに過去最高となるなど、三重県経済をけん引する産業の一つとなっていました。
　しかしながら、令和2年3月以降は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて人の移動が抑制され、観光入込客数が大幅に減少したことにより、令和2年の観光消費額は3,283億円へと前年から大きく落ち込み、深刻な打撃を受けています。
　また、感染症の影響により、旅行スタイルが団体旅行から個人旅行へと急速に移行し、鉄道、バス、タクシー及びレンタカーを活用した旅行需要が減少したため、交通事業者や土産物店をはじめとする観光事業者の経営状況がひっ迫しており、観光関連団体からは「観光地での消費が減少し、このままでは観光地を維持することも困難」との声も上がっています。
　こうした中、宿泊事業者をはじめとする観光関連事業者におかれては、「新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けた『三重県指針』」や業界のガイドライン等に基づき感染防止対策の徹底を行い、安全・安心な観光地の実現に向けて取り組まれています。
　昨年度に、県内の観光地を支援するため本県独自の宿泊割引クーポン事業を実施したところ、インターネット旅行事業者の宿泊実績では、県の観光キャンペーン期間中の令和2年9月から12月において前年同月を大きく上回るとともに、平日の宿泊者数も増加するなど、旅行需要の喚起及び平準化に大きく貢献しました。
　宿泊割引クーポン事業の実施が、県民による県内旅行の促進や三重の魅力の再発見につながっており、県民の皆様から、「移動の負担も少なく、自然も豊かで、改めて三重の良さに気づくきっかけとなった」「海の幸、山の幸もおいしく、また、三重に住んでいても知らなかった素晴らしい場所をたくさん発見でき、良い体験になった」などの声が寄せられました。
　県内体験施設における体験・アクティビティの利用促進キャンペーンを昨年度実施したところ約3万人の利用があり、地域別では、三重県が約5割、愛知県及び岐阜県を含めると全体の7割強を東海3県が占め、マイクロツーリズムの推進に大きな効果が認められました。
　今後は、宿泊割引クーポンや観光地で利用できる地域応援クーポンの発行との相乗効果により、県内の宿泊施設、土産物店、飲食店、観光施設等、観光地全体でのさらなる消費拡大につなげていきたいと考えています。
　また、県内周遊の促進に不可欠となる交通事業者の事業継続に向けて、地域の特色ある資源を生かした付加価値の高い旅行商品造成が緊急の課題となっていますので、引き続き、県内観光関連産業の早期回復に向けて、必要な対策を適時適切に講じていきます。
 
（議案等の概要）
　議案第106号の補正予算は、県内観光関連産業の早期回復に向けて、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いていることを大前提として、県民の旅行需要を喚起するキャンペーン等を実施するため、一般会計で39億1,445万2千円を増額するものです。
　歳入では、国庫支出金について、訪日外国人旅行者周遊促進事業補助金で37億7,819万6千円、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金で1億3,625万6千円を増額しています。
　歳出については、感染拡大の影響を受け、危機的状況にある県内観光関連産業を支援するため、県民を対象とした宿泊・日帰り旅行料金の割引や、地域の土産物店等で活用できる地域応援クーポンの発行により、県内観光需要を喚起する経費として、37億7,819万6千円を計上しています。
　また、感染防止対策を徹底し、旅行事業者が交通事業者等と連携して行う県内発着かつ県内を目的地とする県民向けの旅行商品の造成・販売を支援するため、1億3,625万6千円を計上しています。
 
　今後も緊急度に応じて、適時適切に対策を追加する予定ですので、ご理解・ご協力をお願いします。
　以上をもちまして提案の説明を終わります。
　なにとぞ、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。