議案の説明に先立ちまして、報告を申し上げます。
(新型コロナウイルス感染症への対応)
新型コロナウイルス感染症の第3波による厳しい冬を乗り越え、本県においては、3月22日には新規感染者の公表数がゼロになるなど、感染状況は落ち着きを見せていました。
しかしながら、卒業や転勤のシーズンを迎え人々の移動や交流が活発になる中、4月以降、感染者数が高い水準で推移するとともに、変異株の流行や重症者数の増加など、これまでとは異なる局面を迎えたため、最大級の警戒感をもって感染防止対策に取り組むべく、4月19日に三重県新型コロナウイルス「緊急警戒宣言」を発出しました。
4月21日以降、1日当たりの新規感染者数は度々過去最多を更新し、重症者用病床占有率が一時30%を超えるなど、感染状況の悪化が続き、一般の医療にも影響が及びつつある極めて危機的な状況となっていたことから、飲食店への営業時間の短縮要請を含め、実質的に「まん延防止等重点措置」の内容となる県独自の対策を「オール三重」で総力をあげて講じ、速やかに効果を発現させるよう、4月26日に「緊急警戒宣言」を抜本的に強化したところです。
また、4月25日に開催した三重県まん延防止等重点措置対策検討会議における有識者の意見を踏まえ、感染者の増加が著しい四日市市をはじめとする地域における「まん延防止等重点措置」の適用について、隣接する岐阜県と緊密に連携し、4月28日に政府に対し正式に要請を行うとともに、県独自の「緊急警戒宣言」による対策の効果を見極めながら、継続的に国との協議を行ってきました。
5月の大型連休中においても、県内の新規感染者数は減少したものの、確保病床及び重症者用病床の占有率は高い水準で推移しており、引き続き予断を許さない状況が続いています。
更なる病床及び宿泊療養施設の確保やワクチン接種体制の整備など医療提供体制を確保し、関係団体、国や市町、近隣県などと緊密に連携を取りながら、迅速に必要な対策を講じることにより、この難局を乗り越えていきたいと考えています。
(津市内の養豚農場で発生した豚熱への対応)
令和元年及び令和2年の県内における豚熱の発生を受け、県では豚熱の未然防止に向けた、飼養衛生管理基準の遵守徹底や防護柵の設置、ワクチン接種、野生いのししの調査捕獲など、さまざまな対策に全力をあげて取り組んできたところですが、4月14日、津市内の養豚農場において本県で3例目となる豚熱が発生しました。
感染拡大の防止と早期収束を図るため、自衛隊、国、津市、建設業協会、JA、交通事業者などの皆様の御協力を得ながら、9日間延べ4,198人の体制で、当初予定よりも7日間前倒しして、4月23日に全ての防疫措置を迅速かつ的確に完了しました。
多くの方々に多大なる御支援、御協力をいただきましたことを改めて深く感謝申し上げます。
今後も県として、発生農家が前を向いて新たな一歩を踏み出せるようしっかりとサポートしていくとともに、県内養豚農家の不安感や危機感にしっかりと寄り添い、次なる感染を全力で阻止するため、これまでの感染防止対策に加え、離乳豚の更なる感染リスクの低減、野生いのししや小動物の侵入防止対策の強化などに取り組んでいきます。
それでは、ただいま上程されました補正予算1件について、その概要を説明いたします。
(補正予算の概要)
議案第86号の補正予算は、新型コロナウイルス感染症に対して最大級の警戒が必要な状況の中、医療提供体制の更なる整備とともに、飲食店や事業者等における対策等の強化に加えて、本年4月に県内で発生した豚熱にかかる防疫措置等に対して緊急に必要となる経費として、一般会計で110億2,991万3千円を増額するものです。
歳入では、国庫支出金について、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金で53億3,154万8千円、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金で17億4,917万4千円、生活困窮者就労準備支援事業費等補助金で29億1,840万1千円をそれぞれ増額するなど、合わせて107億1,234万8千円を増額しています。
繰入金について、財政調整のための基金で3億1,156万5千円、地域医療介護総合確保基金で600万円を増額しています。
次に、歳出のうち主なものを説明します。
(新型コロナウイルス感染症対策)
県民の皆様の命を守るため、国の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金等を活用し、更なる空床確保や院内感染に配慮した個室化のための改築、人工呼吸器等の設備整備等に要する経費として、19億899万4千円を増額しています。
感染拡大に伴う患者等への検査の急増や、今後想定される社会的検査を迅速かつ円滑に行えるよう、抗原定量検査機器等の購入など検査体制の強化に要する経費として、2,000万円を計上しています。
迅速かつ円滑にワクチンを接種できるよう、医療機関と連携して受診体制の整備を進めるとともに、県民の皆様が安心してワクチンを接種できるよう、相談窓口を設置するための経費として、1億2,662万6千円を増額しています。
さらなる感染拡大を防止するため、接待を伴う飲食店やカラオケ店等への見回りを緊急的に実施するとともに、県内飲食店等を安心して利用できる環境づくりを進め、経済の再生につなげる認証制度を創設する経費として、合わせて1億2,355万3千円を計上しています。
中小企業・小規模企業が効果的な感染防止対策を講じられるよう、感染防止の専門家を派遣するとともに、さらなる感染防止対策に必要な物品等の購入を支援するため、2億3,857万8千円を計上しています。
県が独自に行う県全域を対象とした営業時間の短縮要請について、全面的に協力いただける飲食店に対して協力金を支給するため、45億3,915万6千円を計上しています。
中小企業・小規模企業が第4波を乗り越えて、事業継続や業態転換を図るための取組を支援するため、3億1,436万4千円を計上しています。
休業等を理由に一時的な資金が必要な方への緊急の貸付や、失業や収入減少等による生活の立て直しのための貸付について、特例貸付の申請期間が延長されたことに伴い、貸付原資等を追加補助するため、29億1,840万1千円を増額しています。
コロナ禍における偏見や差別、誹謗中傷等に苦しむ県民の皆様の不安解消に繋げるため、ラジオ等を活用し、コロナ禍における人権問題のわかりやすい啓発とともに、人権相談窓口の利用の呼び掛けに要する経費として、458万8千円を増額しています。
(豚熱感染拡大防止対策)
本年4月に県内で発生した豚熱に対して、発生農場における殺処分などの防疫措置に要する経費及び、豚熱等の家畜伝染病の更なる発生に備えて防疫措置等を迅速かつ的確に実施するために必要な経費として、5億7,741万円を増額しています。
合わせて、発生農場における飼養衛生管理の強化に必要な設備等の導入支援とともに、県内の養豚農場周辺での野生動物の監視等を通じた侵入防止対策や農場内における豚熱感染防止対策の強化への支援を行うため、8,888万円を計上しています。
今後も緊急度に応じて、適時適切に対策を追加する予定ですので、ご理解・ご協力をお願いします。
以上をもちまして提案の説明を終わります。
なにとぞ、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。