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令和02年11月20日

令和2年三重県議会定例会 知事提案説明(追加提案・その14)

 令和2年定例会11月定例月会議の議案等の説明に先立ちまして、当面の県政運営にあたっての私の考え方を申し述べます。
 
(りっ)(こう)()の礼)
 昨年5月1日、新しい令和の時代が始まり、11月には天皇皇后両陛下がご即位後、初めて本県に行幸啓されました。県内外の皆様の熱烈な歓迎と祝福に満ちあふれる中、この三重の地で歴史的な儀式が行われました。
こうした皇位継承に伴う一連の儀式において最後を飾る「立皇嗣の礼」が、11月8日、皇居にて挙行されました。
 「立皇嗣の礼」の儀式の一つである「立皇嗣宣(りっこうしせん)(めい)の儀」において、(ふみ)(ひと)親王(しんのう)殿下(でんか)が皇嗣となられたことを天皇陛下が公に宣明(せんめい)し、三権の長をはじめとした参列者がことほぎました。
 この儀式は、当初、本年4月に行われる予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、延期されていたところであり、この度、つつがなく挙行されたことを大変喜ばしく思っています。
 「立皇嗣の礼」の後に行われる神宮ご参拝の行事日程が決まることを心待ちにしており、ご来県される際には、関係者と緊密に連携し、万全の体制でお迎えしたいと思います。
 
 
(新型コロナウイルス感染症への対応)
 国内で最初の新型コロナウイルス感染症の感染者が発生してから、10か月が経過しました。この間、県内の感染者数は累計で600人を超え、また、この感染症に関連してお亡くなりになった方は、7名となっています。あらためて哀悼の意を表するとともに、感染された皆様には、心からお見舞い申し上げます。
 県内では、10月15日に新型インフルエンザ等対策特別措置法による要請を解除した後、感染状況は落ち着いていました。しかしながら、その後はクラスターの発生も含め、家庭内感染を中心に連日感染者が発生している状況です。全国的には11月以降感染者が急増し、1日当たりの最多感染者数を度々更新するなど感染が拡大し、クラスターも増加、多様化していることから予断を許さない状況にあります。
 このことから、昨日11月19日、最大限の警戒感をもって感染防止対策を徹底し、感染拡大の芽を早期に摘みとっていくため、大人数や長時間に及ぶ飲食など「感染リスクが高まる『5つの場面』」や全国的にクラスターの発生がみられる施設における感染防止対策の徹底について、新型インフルエンザ等対策特別措置法第24条第9項に基づく協力要請を行いました。
 また、これまで、感染拡大の予兆を察知するため、新規感染事例数や新規感染者数、入院患者数等を指標としてモニタリングしてきたところですが、県内の感染傾向や状況の変化をふまえ、的確に感染拡大の傾向をとらえて適時に対策がとれるよう、感染経路不明率や新規感染者増加割合などを指標とするなど、モニタリング指標の見直しを行っています。
 今後も引き続き、警戒を緩めることなく、必要な対策を進めます。
 
 冬季に入り、感染拡大の波が繰り返されるおそれがあり、インフルエンザ流行期における診療検査体制について、医師会等の関係団体とも連携しながら議論を進め、発熱患者等の診療・検査を行う451の医療機関を「診療・検査医療機関」として指定し、発熱患者等が地域において広く診療・検査を受けることのできる体制を整備したところです。また、検査能力については、保健環境研究所や11か所の地域外来・検査センターに加えて、大学や医療機関、民間検査機関において、1日当たり最大6,600件まで増強を図ります。
 さらに、今定例月会議には「三重県感染症対策条例(案)」を提出しており、この条例案では、新型コロナウイルス感染症を教訓として、本県の感染症の発生の予防とそのまん延の防止だけでなく、県民の皆様に安心して暮らしていただける社会の実現をめざし、感染症に関する差別や誹謗中傷を禁止する規定も盛り込んでいます。
 
(感染症に係る差別や偏見への対応)
 この8月に私がメンバーとなった国の「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の「偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ」において、感染症にかかる偏見・差別事例の全国の実態を調査したところ、感染者やその家族、医療従事者等が誹謗中傷を受け、サービスの利用を拒否されたり、感染者の方が雇い止めを受け退職を余儀なくされたりするなど、実害が生じた事例も多く確認されました。また、感染の事実がない方であっても不当な扱いを受けた事例も散見され、誰もが当事者となりうることを強く認識いたしました。
このような実態を踏まえ、県としては、偏見・差別の解消に向けた総合的な対策に取り組むことが必要と考えています。
 啓発などで人権意識を醸成し、教育で差別や偏見を許さない心を育むとともに、ネット上の不適切な書込み対策や相談体制の強化により、被害者に寄り添った支援を行うなど、関係機関と連携しながら部局横断的な取組を進めていきます。
 
(防災・減災、国土強靱化) 
 10月上旬、日本に接近した台風第14号の影響で、紀宝町において山腹の崩落が発生しました。私も速やかに現場に赴き被害状況を確認し、住民の皆様の安全を最優先に確保するとともに、復旧に向けて早急に対応するよう指示しました。幅約140メートル、長さ約200メートルにわたる大規模な地すべりであり、依然として崩落の可能性がある箇所も残っていたことから、15日に林道入口に大型土嚢を設置するなど応急措置を講じました。また、20日に地盤伸縮計を設置し、翌日には周辺住民の避難対策のために、その計測結果をインターネット経由で1時間おきに、住民を含め関係者が共有できるように対応しました。今後、土砂崩落部において、12月上旬までに下方に土砂止めを設置し、加えて来年夏までに迂回路として利用される農道の拡幅等必要な措置を行うなど、専門家の意見も参考としながら紀宝町など関係機関と連携して、スピード感をもって進めていきます。
 
 11月15日、三重県総合防災訓練を伊勢市、玉城町、度会町内において開催し、30団体、約850人の参加がありました。
 この訓練は、地域の実情に応じた内容で、関係機関や地域住民が参加し、毎年実施しているもので、今回は新型コロナウイルス感染症が発生している状況で南海トラフ地震が起きることを想定し、伊勢市内において津波避難タワー等への避難やヘリコプターによる救助・搬送、ドローンによる被害状況調査を行い、3市町においては避難所の運営や物資の輸送などの訓練を行いました。
 このような取組を通じて、関係機関との連携活動の強化を図るとともに、県の災害対応力と県民の皆様一人ひとりの防災意識を高めていきます。
 
 防災・減災、国土強靱化については、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」終了後も対策が必要な箇所が多数残っています。また、三重県議会をはじめ県内全29市町議会で国土強靱化対策の継続及び拡充を求める意見書が議決されています。このため、令和3年度予算の確保に向けた国への要望活動においても、加藤官房長官、小此木国土強靱化担当大臣に事業期間を5年とした新たな緊急対策の策定と内容の充実、必要かつ十分な予算、特に当初予算の確保及び緊急防災・減災事業の延長などを要望しました。
 また、11月12日に、私も理事として出席した全国治水事業促進全国大会において赤羽国土交通大臣にご出席いただき、気候変動を踏まえた治水事業の強力な推進、3か年緊急対策後の必要・十分な予算の確保と流域治水対策の推進について要望しており、大臣から「3か年緊急対策後も切れ目なく、防災・減災対策を計画的に進められるよう、必要・十分な予算の確保に努める」との言葉をいただき、心強く感じています。
 さらに、災害だけでなく、新型コロナウイルスの感染拡大を経て、大都市部への過度な一極集中のリスクが認識され、豊かで暮らしやすい地域の形成と多核連携型の国づくりをしていく上で、大都市部と地方部をつなぎ、人の移動や物流を支える高規格幹線道路ネットワークの整備は重要性を増しています。今年6月、私は全国高速道路建設協議会の筆頭副会長に就任し、県内関係者はもとより全国の自治体や関係団体の皆様と連携し、高規格幹線道路ネットワーク整備に向けて全力で取り組んでおり、11月18日には私から菅総理大臣に、防災・減災、国土強靱化の強力な推進に向けたミッシングリンクの早期解消や暫定2車線区間の4車線化など高規格幹線道路ネットワークの早期整備と機能強化の実現を要望しました。特に高速道路の料金所のETC専用化等によるキャッシュレス化など、高速道路のデジタル・トランスフォーメーションの推進を要望し、大変関心をもって受け止めていただきました。
 本県においては、関係府省庁の支援等を活用し、防災・減災、国土強靱化に向けた取組をさらに加速させていきます。
 
(デジタル化等の推進)
 本県では、これまでもAI技術の活用による児童虐待対応や、災害時の避難行動の促進のほか、ウェアラブル端末を用いた生活習慣病対策、空飛ぶクルマによる新しいビジネスの創出など、新たな技術を活用した社会課題解決に取り組んできました。
 また、世界経済やイノベーションを支えるエンジンであるデータ、その収集・活用を支えるツールとなるICTを両輪として活用することにより、地域経済の活性化や地域課題の解決をめざすため、10月30日、「みえICT・データサイエンス推進協議会」を設立しました。この協議会は「三重県IoT推進ラボ」を改組したもので、産学官が連携して、ICT導入やデータ活用促進のためのセミナー、企業への専門家の派遣、人材育成などを進めます。
 さらに、県庁内では、今年度からデジタル・トランスフォーメーションをけん引する「スマート人材」の育成を進めているところです。
国においては9月の新内閣発足以降、規制改革やデジタル庁の創設に向けた検討が急ピッチで進んでいます。10月26日には菅総理の所信表明演説があり、各省庁や自治体の縦割りを打破し、行政のデジタル化を進めていくこと、テレワークやワーケーションなど新しい働き方を後押しすること、行政への申請などにおける押印を原則すべて廃止することなどが表明されました。
 本県においては、県独自の行政手続きや内部手続きに係る押印は、全て廃止する方向で検討・取組を進めているところです。
 また、10月1日付けでいち早く、内閣府の規制改革や行政改革担当の河野大臣の直轄チームに職員を1名派遣するとともに、行政のデジタル化の推進に向けて、必要な情報収集や国と地方の連携強化を図るため、10月19日から内閣官房IT総合戦略室にも職員を  1名派遣しています。
 さらに、国においては、10月にデジタル・ガバメント閣僚会議のもとにデジタル庁の設置やIT基本法の改正について検討を行う「デジタル改革関連法案ワーキンググループ」を設置し、私も構成員に就任しました。また、全国知事会に新たに設置された「デジタル社会推進本部」の副本部長にも就任し、デジタル社会の実現に向けた検討や国への提言活動などに取り組んでいるところです。
 このように、デジタル社会推進に向けた動きが急速に進む中、今後は国と地方が一体となって、目指すべきデジタル社会像を住民とともに共有し、具体的な取組を進める段階に入ります。本県として、スピード感をもって取組を進めるため、来年度から最高デジタル責任者(Chief Digital Officer)を置き、実行組織として、三重県版デジタル庁である「デジタル社会推進局(仮称)」を設置すべく、今後、組織体制などについての具体的な検討を進めます。
 
(活力ある地方の実現に向けて)
 地方創生を推進し、県内外のさまざまな人から選ばれ、豊かに暮らすことができる活力ある三重を創るために、引き続き、希望がかなう少子化対策を進めていく必要があります。
 本県では取組の一つとして、職場でともに働く部下の仕事と家庭の両立等を応援する「イクボス」の普及・啓発を進めてきたところです。今月、NPO法人ファザーリング・ジャパンの主催による、「第2回イクボス充実度アンケート調査」において、本県は2017年度の第1回調査に続き、都道府県部門で第1位となり連覇を達成しました。本県において「県庁の男性育児休業・休暇の取得率などが相対的に高く、年間総労働時間も減少していること」、「みえのイクボス同盟の加盟数が全国一となるなど、企業への普及が進んでいること」などの点が、特に評価されたと聞いています。
 男性の育児参画の大切さを理解し、取組を進めている企業や関係団体、市町の皆様のご尽力の賜物であり、大変嬉しく思います。
 イクボスに期待される役割は、新型コロナウイルス感染症による「新しい生活様式」の定着に伴い、テレワークなど多様な働き方に対する支援や男性の育児休業のさらなる取得率向上などを進める中で、さらに広がっていくものと考えられます。
 今後も県庁内での取組を一層進めるとともに、企業や関係団体、市町の皆様とオール三重で一致団結して、男性の育児参画の推進をはじめとする少子化対策の取組を加速していきます。
 
 11月5日に開催された全国知事会議では、地方創生対策本部長として、国に対する「活力ある地方の実現に向けた提言(案)」を提案しました。新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金については、都道府県分だけでも6,134億円の不足が見込まれ、多数の知事から、さらなる増額が必要であること、また、雇用情勢が悪化しており、リーマンショック時を上回るような雇用対策が必要であることなどの意見がありました。
 このような意見を踏まえた上で、本日開催される政府主催の全国知事会議においては、第3次補正予算における大規模な雇用経済対策の実施と、地方創生臨時交付金の増額、さらに令和3年度当初予算での必要額の確保などについて菅総理に要望していきます。
 
(脱炭素社会の構築に向けて)
 地球温暖化に起因すると考えられる気候変動の影響が深刻化する中、本県では昨年12月、国に先駆け2050年までに県域からの温室効果ガスの排出実質ゼロをめざすこととして、脱炭素宣言「ミッションゼロ2050(にせんごじゅう)みえ」を表明しました。
 また、10月26日には、菅総理の所信表明演説において、2050年までに脱炭素社会の実現をめざすことが宣言され、脱炭素に向けて国を挙げて取り組んでいくことが新たに示されました。
 このような中、脱炭素社会の実現を見据えて温室効果ガス排出削減の取組を進めていくため、三重県の特性に応じた気候変動への適応策を新たに盛り込んだ総合的な計画として「三重県地球温暖化対策総合計画(仮称)」の中間案を取りまとめたところです。本計画においては、2030年度の温室効果ガスの削減目標について、国の26%を上回る30%とすることとしています。
 さらに、「SDGs未来都市」としてSDGsの考え方も取り入れながら、県民や事業者の皆様が一緒になって脱炭素社会の実現に向けて取り組むためのプラットフォーム「ミッションゼロ2050(にせんごじゅう)みえ推進チーム(仮称)」を構築し、12月にキック・オフ会議を行います。
 また、県庁内においても、「三重県脱炭素社会推進本部(仮称)」を設置し、私が本部長、各部局長等が本部員となり、県が率先して取り組んでいきます。
 三重ならではの豊かさを享受することができ、将来にわたり健康で安全・安心に暮らすことができる環境を守るため、市町とも連携しながら、オール三重で着実に取組を進めていきます。

(東京2020オリンピック聖火の巡回展示)
 東京2020オリンピックの聖火が、11月7日から3月16日まで 4か月間にわたり、全国14道府県で展示されています。数少ない展示場所として、また、全国2か所目として本県が選ばれ、11月13日から17日にかけて、桑名市、伊賀市、鳥羽市、津市、尾鷲市で展示され、7,800人の方にご覧いただきました。野口みずきさんや吉田沙保里さんたちが大切につないできた「希望の光」を通して、コロナ禍にあっても、多くの県民の皆様に元気を取り戻していただけたのであれば大変嬉しく思います。
 今回の展示に続き、来年4月に実施される聖火リレーを通じて県民の皆様の東京2020大会への期待感を高め、三重とこわか国体・三重とこわか大会の成功へとつなげていきます。
 
(三重とこわか国体・三重とこわか大会の開催)
 三重とこわか国体・三重とこわか大会の2021年の開催が、開催1年前となる9月25日に確定しました。
東京2020大会の直後の開催となり、世界を相手に戦った選手が、三重県で開催される両大会に参加することも期待されます。「東京2020大会の感動を再び三重で感じたい」、そうした思いを胸に、全国から多くの皆様に本県へお越しいただく機会になります。また、県内のアスリートたちにとっては、コロナ禍の苦しい時期を乗り越え、ひたむきに続けてきた練習の成果を全国に知らしめる活躍の舞台となります。
 一方で、両大会を安全・安心に開催するためには、新しい生活様式に基づく十分な感染症対策を講じる必要があります。
 このため、特に開・閉会式については、競技会への影響の排除、徹底した感染防止対策、選手や観覧者等の削減による感染リスクの低減に加え、多様な式典演出に対応できる施設で行う必要があることから、これらの条件を満たす、三重県総合文化センターで行うこととしました。また、選手と式典を分離し、安全・安心を確保した上で、デジタル技術を活用して両大会への想いや感動を創出するなど、前例にとらわれない、国体史上初となる「オンライン式典」を実施します。
 コロナ禍においても、このような準備をすれば、安全・安心に国体・大会を開催できるという、新しい両大会の形を三重から示し、スポーツの持つ素晴らしさや、夢と希望、勇気を県民の皆様、全国の皆様に届けるという使命感を持ち、オール三重で準備を進めていきます。
 
(性の多様性条例の検討)
 「性の多様性を尊重し、誰もが安心して暮らせる三重県づくり条例(仮称)」については、10月に中間案をとりまとめ、パブリックコメントを実施したところ、350通を超えるご意見をいただきました。現在、最終案の策定を進めています。
 一方、パートナーシップ制度については、「当事者の安心感や地域の理解につながるため導入すべき」とのご意見や「慎重な検討が必要である」など議会等でのご意見も踏まえつつ、あらためて導入自治体への聴取りや県内全市町へ意見照会を実施するなど、県で導入することの是非やそのあり方について、検討を重ねてきました。
そうした中で、「県内全域で利用できる統一的な制度となる」、「各自治体が導入するには時間がかかる」などの理由により、21市町から県での導入が望ましいとのご意見をいただきました。また、パブリックコメントにおいても、パートナーシップ制度について、中間案では盛り込んでいなかったことを受け、制度導入を望むものが多くありました。さらには、当事者や地域の方々から要望もいただいたところです。
 同性カップルなどの当事者の方々の中には、存在を認められない不安や家族同様の扱いを受けられないなどの課題を抱えている方がいます。パートナーシップ制度導入自治体への聴取りでは、当事者の方々から制度があることで存在を認められたこと自体への喜びの声があることや、導入後に、住民からの苦情や適用にかかるトラブルは発生していないと伺っています。
 これらのことから、利用できる選択肢として制度を整えることが、現にある不安の解消等、さらには当事者である子どもたちにとって将来への希望にもつながるものであるとの思いから、私は、一人ひとりを大切に、多様性を認め合うダイバーシティ社会をめざす県として、パートナーシップ制度を導入していきたいと考えています。
 今後、条例の最終案と合わせて、パートナーシップ制度案について、議会等でご説明させていただき、整備に向けて取り組んでいきます。
 
(県内経済の再生に向けて) 
 新型コロナウイルス感染症は県内経済にも甚大な影響をもたらしましたが、本県ではリーマンショック時を上回る規模の資金支援をはじめとして、観光業、飲食業など感染症拡大の影響を受けた方々を全力で支援し、切れ目のない経済対策を実施してきました。
 県とともに県内事業者の皆様が懸命にご対応いただいた結果、鉱工業生産指数や在庫指数、県内延べ宿泊者数などが徐々に改善しつつあるとともに、県内の負債額1千万円以上の企業倒産件数は昨年と比べても増加していないなどの成果が表れています。
 また、今年10月に入って、キノコを栽培する大手企業が多気町に大規模な生産拠点を立地することとなり、多気町、県との立地協定を行ったほか、半導体製造の大手企業が来春、四日市市内に新たな製造棟を建設することが決まりました。感染症の影響で雇用の喪失や企業の投資抑制が懸念される中、本県への進出は貴重な雇用の場の創出、地域経済の活性化につながることから、その意義は非常に大きなものであり、大変嬉しく思います。
 しかしながら、今後、感染症の再拡大や長期化のおそれがあり、雇用情勢の一層の悪化も懸念されることから、引き続き、感染症対策の実施を大前提として、県内経済の再活性化に向けてさらなる雇用・経済対策に注力する必要があります。
 このため、国に対しては、令和3年度予算の確保に向けた要望や全国知事会による要望活動など、あらゆる機会を通じて、令和3年度当初予算の編成を待つことなく、速やかに第3次補正予算を編成するなど、感染症対策、雇用・経済対策を実施するよう要望しています。
 県としても、県民の皆様、県内事業者の皆様の不安感や危機感にしっかりと寄り添いながら、的確に必要な取組を進めていきます。
 
 県内の秋の行楽シーズンに向けて、本県独自の宿泊割引券「みえ得トラベルクーポン」の発行を近隣県から全国へと段階的に拡大しながら実施したところ、合計約7万5千枚が発行当日に配布終了となるなど大変好調であり、県民の皆様や県外の皆様の「三重を旅したい」という期待感や旅行需要の喚起につながっています。
 また、本県独自の宿泊割引事業の実施と、国の「Go To トラベル事業」の実施による相乗効果が発揮され、オンライン旅行取引事業者による2019年と2020年の比較において、事業実施前の6月時点では、宿泊予約件数が対前年同月比で約55%と大幅な減少となっていましたが、10月には件数が対前年同月比で約132%に増加するとともに、客単価も約128%に転じるなど、事業実施の効果が確実に表れています。さらに、観光関連事業者からは「観光客が戻ってきた実感がある」「9月以降、満室で従業員が足りないほど」との声があがるなど、県内の観光産業は回復基調にあります。一方で、来年2月以降の宿泊予約が低調であるなど、観光産業が本格的に回復したとは言い難い状況であるため、11月16日に発行した「みえ得トラベルクーポン」の利用期限を来年2月末までに設定したほか、今後も引き続き観光産業の再生に向け、必要な対策を講じていきます。
 県内での教育旅行を支援する「南部地域体験教育旅行促進事業費補助金」や「県内教育旅行促進支援事業」においては、11月15日時点で、合わせて1,233校、約8万1千人分の利用に上っています。宿泊した子どもたちから旅館には「良い思い出になった」「このような状況で受け入れてくれてありがとう」などの喜びや感謝が伝えられており、修学旅行を受け入れた旅館からは、こうした子どもたちの言葉に元気をもらったというお話もうかがっています。
 さらに、県内で持続可能な観光地づくりによる地域活性化に向けた取組を中長期的に進めていくため、11月16日、株式会社地域 経済活性化支援機構(REVIC)と県内の3つの金融機関、三重県の5者で、「三重県における観光による地域活性化に関する連携協定」を締結しました。
 このような中長期的な視点も持ちながら、本県への誘客や県内周遊の促進に継続的に取り組み、観光消費額のさらなる増加につなげるなど、県内観光の活性化を図っていきます。

(平和への取組)
 今年は終戦から75年の節目の年となります。
 県内では、戦後生まれの人の割合が県人口の8割を占めるようになり、戦争を実体験として次世代に伝えていくことが年々難しくなっています。このような中、未来を担う若い世代をはじめとする多くの県民の皆様に、戦争の悲惨さや平和の尊さを伝えていくことが大変重要と考えており、戦争に行った方などのインタビューの映像記録の貸出しや、県総合博物館での「平和に関するパネル展」に加えて、7月に県立宇治山田商業高校において、戦争経験者と生徒による「平和に関する意見交換会」を開催しました。
 来週には、今年で建立55周年を迎える沖縄の「三重の塔」を訪問し、慰霊式に参列します。太平洋戦争中に沖縄や南方の諸地域等で犠牲になられた本県出身者約5万3千(はしら)をお祀りする慰霊塔です。御霊(みたま)の安らかならんことをお祈りするとともに、歴史を風化させることなく未来へつなげ、希望と活力に満ちた時代を築くために力の限り尽くすことを、戦没者の御霊とご遺族の前でお誓いします。
 大戦の傷跡は、75年経った今もなお、人びとの心に深く残っています。戦争の惨禍を二度と繰り返さないためにも、明日を生きる世代のために、平和の尊さや大切さを次世代に語り継いでいくことが今を生きる私たちの使命であり、引き続き取組を進めていきます。
 
 
(議案等の概要)
 引き続き、上程されました補正予算16件、条例案7件、その他議案18件合わせて41件の議案について、その概要を説明いたします。
 
 議案第145号から第160号までの補正予算は、県税や地方交付税などの歳入の増減、「“命”と“経済”の両立をめざす『みえモデル』」を踏まえた取組、紀宝町内で発生した災害への対応、三重県国民体育大会・全国障害者スポーツ大会運営基金への積立などについて、それぞれ補正を行うものです。
 各会計の補正額は、一般会計で243億7,516万8千円を増額、特別会計で33億2,336万4千円を増額、企業会計で21億367万3千円を減額するものです。
 まず、一般会計についてその概要を説明いたします。
 歳入の主なものとして、県税については、法人事業税、軽油引取税が減収となる見込みなどから68億5,000万円、地方譲与税については37億4,500万円をそれぞれ減額しています。
 地方消費税清算金については30億8,100万円、地方交付税については27億1,550万3千円をそれぞれ増額しています。
 国庫支出金については、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金で82億1,178万5千円、生活困窮者就労準備支援事業費等補助金で41億1,062万2千円、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金で5億1,504万4千円をそれぞれ増額するなど、合わせて126億3,261万5千円を増額しています。
 県債については、臨時財政対策債で23億300万円、地方税の徴収猶予制度に伴う一時的な減収に対応する徴収猶予特例債で16億円、減収補てん債で15億円をそれぞれ増額するなど、合わせて53億7,200万円を増額しています。
 繰入金については、企業庁電気事業会計にかかる資本金の額の減少により生じた資金である57億8,436万2千円を増額するなど、45億1,856万1千円を増額しています。
 歳出のうち主なものとして、まず「“命”と“経済”の両立をめざす『みえモデル』」を踏まえた取組の概要を説明します。
 
(県民の命を守り抜く感染拡大の防止)
 県民の皆様の命を守る医療提供体制を引き続き整備するため、これまでの「帰国者・接触者相談センター」から「受診・相談センター」へ名称変更し、発熱患者等が、相談する医療機関に迷う場合などについて対応するほか、検査体制の充実や重点医療機関に対する空床確保料の増額等を行うため、61億8,758万3千円を増額しています。                    
 認可外保育施設等の感染防止対策を強化するため、国の補助制度を活用して、衛生用品の購入等を支援するとともに、感染防止対策により負担が増加している同施設等で働く職員への感謝と応援の気持ちを伝える県独自の「みえ支え“愛”セット」(非接触型体温計等)を配布するため、6,471万3千円を増額しています。
(地域経済の再生と進化)
 感染拡大の影響による厳しい経営環境の克服に向け、景気回復の兆しをいち早く捉え、業績の回復・拡大に取り組む中小企業・小規模企業が、先行的に行う設備投資の資金を円滑に調達できるよう、緊急経済会合において融資期間の長期化等の要望があったことを踏まえて、新たな資金として「新型コロナ克服設備等投資支援資金」を創設し、それにかかる利子補給・保証料補助を行うため、債務負担行為を設定します。
 感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を受ける中小企業者や農業者、漁業者に対し、令和3年度以降に予算計上を行う利子補給や信用保証料補助に要する費用の財源に充てるため、三重県新型コロナウイルス感染症対応中小企業者等金融支援臨時基金を創設し、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用して24億4,302万6千円を積み立てます。
 
(分断と軋轢(あつれき)からの脱却)
 児童生徒が感染症を起因とする差別や偏見、誹謗中傷を許すことなく、安心して学校生活を過ごせるよう、児童生徒・保護者に向けて感染症の正しい認識と理解を深めるための啓発を行う経費として、411万9千円を計上しています。
 
 
(安全・安心な暮らしの再構築)
 休業等を理由に一時的な資金が必要な方に行う個人向け緊急小口資金等の貸付について、貸付原資など必要な費用を追加補助するため、40億7,789万9千円を増額しています。
 感染症対策に伴う小学校の臨時休業により、放課後児童クラブを午前中から開所したことなどに要した経費を補助するため、1億1,296万6千円を増額しています。
 
 次にその他の補正として、主なものを説明します。
 本年10月、紀宝町浅里地区の地すべり地で発生した山腹崩壊に対して、法面工や地すべり防止対策、農道を利用した迂回路の拡幅等を行うため、3億3,557万5千円を計上しています。
 施設見直しの検討過程において、民間活力導入のポテンシャルが高いことが認められた鈴鹿青少年センター及び鈴鹿青少年の森について、鈴鹿ポイントゲッターズのサッカースタジアムが建設される好機でもあることから、さらに魅力的な施設となるよう民間活力導入に向けた検討を進めるため、296万8千円を計上するとともに、3,100万円の債務負担行為を設定しています。
 三重とこわか国体・三重とこわか大会の成功に向けて、企業庁電気事業会計の資本金の額の減少により生じた資金と、ふるさと応援寄付金を両大会の開催費用等に活用するため、三重県国民体育大会・全国障害者スポーツ大会運営基金に57億8,963万7千円を積み立てます。
 令和元年度に実施した横断歩道の剥離進行等に関する調査結果に基づき、剥離が著しく進行し、視認性が低下している横断歩道(300本)について、優先度を考慮して塗り替えを実施するため、1,994万6千円を増額しています。
 職員の時間外勤務手当等を増額する一方、職員の新陳代謝に伴い給与費全般を減額するなど、合わせて14億1,117万5千円を増額しています。
 本県における令和元年度地方消費税収入額の増収に伴い、他の都道府県に対し支払う地方消費税清算金について51億4,044万6千円を増額しています。また、清算後に本県へ支払われる地方消費税収入見込額の増収に伴い、市町へ支払う地方消費税交付金について15億7,831万7千円を増額しています。
 
 次に、特別会計及び企業会計について、説明いたします。
 特別会計のうち主なものとして、県債管理特別会計では、利子償還金の減額等により、8億6,535万9千円を減額しています。また、国民健康保険事業特別会計では、令和元年度事業費確定に伴う国庫支出金の返還などにより、38億718万円を増額しています。
 企業会計では、水道事業会計で10億3,877万4千円、工業用水道事業会計で7億8,966万4千円、電気事業会計で4,345万円、病院事業会計で1億6,434万5千円、流域下水道事業会計で6,744万円をそれぞれ減額しています。
 以上で補正予算の説明を終わり、引き続き条例案等の諸議案について説明いたします。
 議案第161号は、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を受ける中小企業者等に対し、金融上の支援を行うために要する費用の財源に充てるため、三重県新型コロナウイルス感染症対応中小企業者等金融支援臨時基金を設置するものです。
 議案第162号は、本県における感染症の発生の予防及びそのまん延の防止を図り、もって県民が安心して暮らせる社会の実現を図るため、感染症対策に関し必要な事項を定めるものです。
 議案第163号は、職員の勤務の実態及び業務の特殊性の変化等に鑑み、特殊勤務手当の額の改定等を行うものです。
 議案第164号は、家畜改良増殖法等の一部改正に鑑み、手数料についての規定を整備するものです。
 議案第165号及び第166号は、関係法令の一部改正等に伴い、規定を整理するものです。
 議案第167号は、三重県営松阪野球場の施設等の利用料金の規定を整備するものです。
 議案第168号は、宝くじを発売することについて、令和3年度の発売総額など必要な事項を定めるものです。
 議案第169号は、県の行う土木関係建設事業の経費に関し、関係市町に負担を求めようとするものです。
 議案第170号から第172号までは工事請負契約の締結又は変更を、議案第173号は工事協定締結の変更をしようとするものです。
 議案第174号は、公立大学法人三重県立看護大学が達成すべき業務運営に関する目標を定めようとするものです。
 議案第175号から第184号までは、公の施設の指定管理者を指定しようとするものです。
 議案第185号は、公務災害補償等に関する事務の受託を廃止するための協議をしようとするものです。
 以上で諸議案の説明を終わり、次に、報告事項について説明いたします。
 報告第25号から第27号までは、議会の委任による専決処分をしましたので、報告するものです。
 報告第28号は、議会の議決すべき事件以外の契約等について、条例に基づき、報告するものです。
 
 以上をもちまして提案の説明を終わります。
 なにとぞ、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

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津市広明町13番地(本庁3階)
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