議案の説明に先立ちまして、報告を申し上げます。
(令和2年7月豪雨)
令和2年7月豪雨により、九州、中部、東北地方をはじめ、広範な地域において82名の方が亡くなられました。亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、負傷された方、家屋の損壊など被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
三重県としては、熊本県に対し、平成30年度以来2度目となるDHEATを派遣し、現地保健所の指揮調整の支援にあたりました。コロナ禍において発生した今回の豪雨災害を踏まえ、感染症に対応した避難所運営について市町と連携を図りながら、今後の災害に 備え万全を期します。
(新型コロナウイルス感染症への対応)
本年1月から続く新型コロナウイルス感染症との戦いについて、三重県において8月5日に過去最多となる24件の感染者が発生し、大学において比較的規模の大きいクラスターが発生するなど予断を許さない状況が続いており、三重県新型コロナウイルス「緊急警戒宣言」の期間を8月31日まで延長しているところです。
津市にてお亡くなりになられた方には、改めて深く哀悼の意を 表するとともに、感染された全ての皆様にお見舞い申し上げます。
なお、直近の新規感染者数は減少傾向にあり、人口10万人あたりの感染者数は2.5人を下回り、8月24日には35日ぶりに新規感染者が0になるなど、改善のきざしがみられる状況となっています。これもひとえに県民、事業者の皆様にご協力いただいたおかげで あり、感謝申し上げます。
ここで気を緩めることなく、県として引き続き、感染拡大防止対策を進めていきます。県民の皆様におかれましても、感染拡大防止の取組とその徹底にご理解とご協力をお願いします。
それでは、ただいま上程されました補正予算1件について、その概要を説明いたします。
(補正予算の概要)
議案第123号の補正予算は、「“命”と“経済”の両立をめざす『みえモデル』」に基づく取組を更に加速するとともに、国の第2次補正予算に基づく取組等を実施するため、県民の皆様の安全・ 安心に直接関わるものや資金繰りの支援など、直ちに必要となる 経費について、一般会計で181億95万円を増額するものです。
一般会計の概要を説明いたします。
歳入は、国庫支出金について、新型コロナウイルス感染症緊急 包括支援交付金で141億4,648万2千円、生活困窮者就労準備支援事業費等補助金で19億3,933万3千円、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金で11億9,361万8千円をそれぞれ増額 するなど、合わせて174億3,535万円を増額しています。
諸収入について、独立行政法人中小企業基盤整備機構からの収入として6億6,560万円を増額しています。
次に、歳出のうち主なものを説明します。
(県民の命を守り抜く感染拡大の防止)
県民の皆様の命を守る医療提供体制を引き続き整備するため、 抗原検査測定装置の導入支援やPCR検査機器の追加配備による 検査体制の増強を図ります。新型コロナウイルス感染症患者専用の病棟を設置する重点医療機関等に対して、空床確保料を補助するなど96億5,929万1千円を増額しています。
感染症への不安を抱える妊婦が、安心して出産できるよう、分娩前にPCR検査等を希望する妊婦に対して、検査費用を補助します。加えて、県独自の制度として、県内在住の妊婦が分娩予定の医療機関で必ず検査を受けられる仕組みを構築するため、国の補助額を超える検査費用について、検査を行う医療機関の負担とならないよう、協力いただく分娩取扱医療機関に補助します。なお、感染が判明した妊産婦は、出産後も一定期間の母子分離を強いられることなど、メンタルヘルス上の影響や母子関係障害などのリスクが懸念されることから、退院後、助産師等が自宅訪問や電話等により、不安や 孤立感の解消、育児技術の提供など妊産婦に寄り添ったケア支援を実施する経費など、1億9,488万1千円を計上しています。
接待を伴う飲食店、クラブ等のいわゆる「夜の街」において全国的にクラスターが発生していることを踏まえ、飲食店や宿泊施設に加え、理容・美容施設等の生活衛生関係営業施設が行う感染防止 対策の徹底を図るため、各業界団体が作成した感染拡大予防ガイドラインの周知・啓発を実施する経費として、666万8千円を増額 しています。
店舗や施設、イベント等における感染拡大を防止するため、LINE(ライン)公式アカウントを活用して、店舗やイベント会場に提示されたQRコードを利用者等が読み込んで登録することにより、必要と判断した場合に、登録者に対して感染症患者との濃厚接触の可能性を速やかに通知するシステムを導入するため、121万円を 計上しています。
県の災害対策活動に感染防止対策を講じながら円滑に実施できるよう、災害対策本部の密集を解消する屋外用大型エアテントや県 広域防災拠点の感染防止用品等を購入します。県内外の被災地への職員派遣に係る感染防止対策として、マスクなどの装備品購入、派遣職員に対するPCR検査費用等の経費に加え、市町における 避難所等の感染防止対策を支援するため、簡易ベッドや間仕切りの購入を行う経費など、4,603万6千円を計上しています。
感染防止対策を徹底した上で介護サービスや在宅サービスを行う事業所の環境整備やサービスの再開に必要な経費などを支援するため、29億7,800万円を増額しています。
患者と接する医療従事者や、障がい福祉施設等に勤務し利用者と接する職員に対する慰労金、感染症対策の最前線で懸命に尽力いただいている医療従事者等に対して感謝と応援の気持ちを伝えるため県独自に支給する応援給付金、保育所等で働く職員への感謝と応援の気持ちを伝えるため県独自で配布する「みえ支え“愛”セット」(衛生用品等)について、それぞれ支給対象者の増に伴い、合わせて16億2,980万8千円を増額しています。
(地域経済の再生と進化)
中小企業・小規模企業の事業継続を強力に支援するため設けた「三重県新型コロナウイルス感染症対応資金」については、8月20日現在で融資申込が10,151件、1,695億円に達するなど、中小企業等の経営環境は引き続き逼迫した状況となっていることから、その融資枠を2,000億円から3,000億円へ拡大するとともに、「セーフティネット資金」の融資枠についても500億円から1,000億円へ 倍増するため、7億1,460万円を増額しています。
感染症の影響による急激な環境変化により経営に支障をきたしている中小企業・小規模企業が自ら経営計画を策定し、その実現に 向けた取組を支援する「三重県経営向上支援新型コロナ危機対応 補助金」については、「新しい生活様式」に対応した事業活動への変革に向けたニーズが高いことから、全業種を対象とした「三重県版経営向上計画連携型」の追加公募を行います。加えて、県外の 飲食店で発生したようなクラスターを三重県では絶対に阻止し、 これまで以上の感染防止対策の徹底と営業活動の両立を支援する ため、「飲食店向け感染防止対策型」を新設するなど、1億8,180万5千円を計上しています。
県内宿泊施設や体験施設の利用を促進するため、感染症の状況を注視しながら実施している、みえ旅プレミアム旅行券等に対して 非常に多くのニーズが寄せられており、これまで発行した旅行券は全て発行を終了しています。県内の宿泊予約件数は6月時点では 前年比約55%に留まっていたのに対し、7月は約82%と大幅に 改善するとともに客単価も前年対比で約8%上昇しており、宿泊 需要の喚起につながっていることから、「新しい生活様式」における新たな観光スタイルである“マイクロツーリズム”を推進する 絶好の機会と捉え、宿泊クーポン等の発行枚数をさらに拡大する など、5億3,068万円を増額しています。
秋の行楽シーズンに向けて感染防止対策を徹底し、誰もが楽しめる安全・安心な観光地づくりをめざして、県内観光地においてAIを活用した混雑予測や小型モビリティなどを用いた実証実験を実施し、地域全体で行う新たな接客スタイルを検討するため、6,509万5千円を計上しています。
県外への教育旅行の実施が難しい中、多様で豊かな自然や歴史風土を有する南部地域の魅力を県内の児童生徒に認識してもらうため、体験を取り入れた教育旅行への支援制度について、県内学校を対象に実施した調査などでは、小中学校の修学旅行を中心に約3万5千人(延べ約600校)の県南部地域への教育旅行の実施が見込まれており、申し込みの増に対応する経費として、1億2,167万2千円を増額しています。
(安全・安心な暮らしの再構築)
休業等を理由に一時的な資金が必要な方への緊急の貸付、収入の減少や失業等により生活の立て直しのための安定的な資金の貸付に向けて、貸付上限額の引き上げなど特例措置が設けられた個人向け緊急小口資金等について、貸付原資など必要な費用を追加で補助 するため、19億3,213万4千円を増額しています。
失業や休業等による自殺リスクの高まりに対応するため、現在、平日昼間に開設している自殺予防・自死遺族電話相談について、 平日夜間及び休日にも相談対応を行う経費として、552万2千円を増額しています。
感染症に起因する人権侵害や誹謗中傷等を防止し、県民の皆様の正しい認識と理解を深めるため、ラジオを活用した啓発活動を継続して実施する経費として、237万6千円を増額しています。
このたび、国の新型コロナウイルス感染症対策分科会の下に、「偏見・差別とプライバシーに関するワーキング・グループ」が設置されたところ、全国知事会を代表して私がメンバーとして参画することとなりましたので、分断と軋轢の解消に向けて、三重県の取組や各地方からの意見を積極的に発信していきます。
みえ外国人相談サポートセンター(MieCo)で実施している外国人住民を対象とした社会保険労務士及び弁護士等による緊急 専門相談会について、感染拡大の影響を踏まえ、令和3年3月まで開催するため、120万7千円を増額しています。
文化活動を自粛・縮小せざるを得ない状況に置かれている県内の文化団体等に対し、活動を再開できるよう支援するため、県立文化施設の利用に関する相談業務を行うとともに、利用時の施設使用料等を補助します。相談業務で培った「新しい生活様式」に即した 施設利用事例を県全体に広げるための情報発信や、市町文化施設 担当者等を対象とした実践的な研修会を開催する経費など、2,723万8千円を計上しています。
今後も緊急度に応じて、適時適切に対策を追加する予定ですので、ご理解・ご協力をお願いします。
以上をもちまして提案の説明を終わります。
なにとぞ、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。