令和元年定例会11月定例月会議の議案等の説明に先立ちまして、当面の県政運営にあたっての私の考え方を申し述べます。
(台風19号等被害への対応と防災・減災対策)
先月12日、大型で強い勢力の台風第19号の影響で、全国で多くの尊い命が失われ、住家、道路、河川などに甚大な被害が発生しました。この台風により関東甲信越地方、東北地方を中心として各地で観測史上1位を更新する記録的な大雨がもたらされ、70以上の河川で堤防が決壊し、10月25日の大雨による被害も含めると、住宅の全半壊、床上・床下浸水など9万棟以上の被害があり、98名の方が亡くなられました。県内でも3名の方が負傷され、県道の法面崩落などの被害があったほか、伊勢市、志摩市で浸水による住家被害が60件発生しています。
亡くなられた方々に、深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
県外の被災地に向けては、国や全国知事会の調整による対口支援として、長野県中野市に10月15日から10月22日まで、発災直後の被災状況やニーズ把握、災害廃棄物処理の支援のため県職員4名を派遣し、10月30日には派遣した職員から被災状況や支援内容の報告を受けました。また、中部9県1市における協定及び中部圏知事会の要請に基づき、長野県内の災害査定業務の支援のため、土木技師を延べ4名派遣しています。また、災害廃棄物処理の支援のため、長野県内に津市、四日市市、松阪市、鈴鹿市、南伊勢町からも職員を派遣しているほか、千曲市と長野市の災害廃棄物については、県内で処理が行われています。このほか、避難所等における住民の健康管理の支援のため、10月18日から11月16日まで、宮城県伊具郡丸森町(いぐぐんまるもりちょう)へ、四日市市、鈴鹿市、名張市、志摩市とともに、保健師14名を派遣しました。福島県内市町には、四日市市から下水処理施設の復旧、桑名市から農業用処理施設の復旧、また、名張市から給水に関する支援が行われています。
引き続き、被災された方々や被災地の思いに寄り添い、県内市町と共に積極的な支援を行います。
10月18日には、三重県南部で一時間に120ミリを超える猛烈な雨が観測されました。今回の大雨では、尾鷲市内で住家の床上・床下浸水被害が24棟あったほか、紀北町内では県道で法面の崩落、熊野市内では2か所でがけ崩れが発生しており、10月末に熊野市を訪問し、被害状況を確認しました。
気象庁による「記録的短時間大雨情報」の本県の発表基準「1時間あたり120ミリ」は全国的に最も高いものです。この基準に達する大雨は、2012年から昨年まで観測されていませんでしたが、今年はこの記録的短時間大雨情報がこれまで最多の9回発表されました。今後も風水害につながるような記録的な大雨の発生が危惧され、危険箇所の点検、がけ崩れ等の未然防止や避難行動の促進対策のほか、県民の皆様が災害時に避難所で過ごしやすいよう、避難後の対策も充実させるなど、地域の防災力の向上の必要性をあらためて認識しました。
9月上旬の大雨による被害も含め、被災者の皆様が一日も早く普段の生活を取り戻すことができるよう、国や市町と連携し、全力を挙げて災害復旧に取り組んでいきます。
このような状況を踏まえ、11月12日から14日にかけて行った 令和2年度予算の確保に向けた国への要望では、麻生財務大臣、菅内閣官房長官、武田国土強靱化担当大臣、二階自由民主党幹事長に対し、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」の 目標を確実に達成するための予算確保とともに、強靱な国土づくりを強力かつ継続的に進めるため、3か年緊急対策後も必要な予算・財源の安定的な確保を強く訴えました。このほか、緊急防災・減災事業債等の延長や国の地方整備局の人員体制の維持、充実を図ることについても要望しました。
なお、おおむね10年先を見据え平成27年に策定した、県の国土強靭化の取組方針「三重県国土強靱化地域計画」については、計画策定後の状況変化等を踏まえ、来年秋頃を目途に改訂作業を進めていきます。
また、近年、全国各地で豪雨等による水害や土砂災害が発生していることに加え、今後も気候変動の影響により、水(みず)災害が頻発化・激甚化することが懸念されることから、流域全体で備える水災害対策を総合的に検討するため、国土交通省の社会資本整備審議会に「気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会」が新たに設置され、私が本委員会の委員に就任することとなりました。平成23年の紀伊半島大水害など県内で発生した台風や豪雨による水災害への対応や、9月まで全国知事会の危機管理・防災特別委員長を務めた経験を踏まえ、国の水災害対策にしっかりと意見を申し上げるとともに、委員会の議論などを県内の防災対策に生かしていきたいと考えています。近年の気候変動は地球温暖化に原因があると考えられており、防災対策の観点からも温室効果ガス排出削減は喫緊の課題となっています。温室効果ガス削減に関しても、取組を加速させていきます。
10月26日から27日にかけ、消防庁長官出席のもと、緊急消防援助隊近畿ブロック合同訓練及び近畿府県合同防災訓練が松阪市、津市、伊賀市及び明和町において開催され、74機関、約4,500人の参加がありました。
緊急消防援助隊は、大規模災害等に被災した都道府県内の消防力では対応が困難な場合に、全国の消防機関が相互に援助できるよう、阪神・淡路大震災を教訓として消防庁が創設したもので、平成23年の東日本大震災をはじめとする大規模災害に出動しています。毎年度、全国6ブロックにおいて消火・救助技術や指揮・連携活動能力等の向上を目的とした訓練が実施されており、令和元年度は、 近畿ブロック合同訓練と併せて、三重県総合防災訓練、松阪市、 伊賀市及び明和町による市町総合防災訓練や関西広域連合による 広域応援訓練などで構成する「近畿府県合同防災訓練」を実施し、緊急消防援助隊の出動体制、各部隊の活動技術向上及び自衛隊、海上保安庁、警察等関係機関との連携活動の強化を図りました。
このほか、平成20年度に制定した「三重県防災対策推進条例」については、基本理念に「防災の日常化」を位置付けることをはじめ、近年の災害の検証を踏まえ、受援体制の確立や職員の育成、台風接近時の減災対策といった追加修正等を行うこととしており、中間案を策定しているところです。
これらの取組を通じて、県の災害対応力の向上に加え、県民の 皆様一人ひとりの防災意識を高めていきます。
(行幸啓)
10月22日、皇居にて「即位礼正殿の儀」が挙行されました。天皇陛下が御即位を公に宣明されるとともに、御即位を国内外の代表がことほぐ儀式であり、約180か国、約2,000名の来賓の方々とともに、私も参列させていただきました。御即位を内外に宣明されたお言葉を聞き、脈々と受け継がれてきた日本の歴史の一面に立ち会うことができ、感動を覚えました。
この日、三重テラスでは、「即位礼正殿の儀」のパブリックビューイングを行い、三重県にゆかりや関心のある多くの皆様にお集まりいただき、御即位をお祝いしました。
また、10月末には「饗宴の儀」、今月14日から15日にかけては、「大嘗宮の儀」に、18日には「大饗の儀」に参列させていただいたところです。28日には京都御所において催されるお茶会にも出席させていただきます。令和の時代の幕開けから早半年が過ぎ、あらためて、県知事としてこれらの儀式等に参列させていただけたことは、光栄の極みです。
なお、天皇陛下の御即位をお祝いするため、蒔絵で鳳凰をあしらった「鈴鹿墨」を献上させていただきます。
11月21日から23日にかけては、「即位礼及び大嘗祭後神宮に親謁の儀」を執り行うため、天皇皇后両陛下が御即位後、初めて三重県に行幸啓されました。沿道等で熱烈な歓迎と祝福に満ち溢れた奉送迎をしていただいた4万人を超える県内外の皆様に、心から感謝申し上げるとともに、三重の地でこのような歴史的な儀式を迎えることができた感激と光栄を皆様と共有することができ、このうえない喜びを感じています。
外宮では恵みの雨が、内宮では眩しい日の光が注ぐ荘厳な空気の中、御親謁にあたり、両陛下は「即位礼正殿の儀」と同じ装いで臨まれました。陛下の凛としたお姿を拝見し、日本国および日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすという強い御決意を感じ、県知事として私も身が引き締まる思いがいたしました。
また、陛下に御挨拶した際、平成25年に御一緒に歩かせていただいた熊野古道が世界遺産登録15周年を迎え、同じく世界遺産のスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路と相互交流を図るための覚書を締結したことをお話ししたところ、古道も巡礼路も歩かれた陛下からは、いずれの道も大変美しかったことや、古道を案内された地元の人への感謝について、お言葉をいただきました。
これまでさまざまな形で御協力いただきました県民の皆様にあらためて感謝するとともに、これからの令和の時代に、県民の皆様が笑顔で安心して幸せに暮らしていただけるよう、しっかりと取り組んでいく決意を新たにいたしました。
(CSF(豚コレラ)への対応)
県内でのCSF(Classical swine fever 豚コレラ)への対応については、9月末から10月にかけ、四日市市、鈴鹿市、亀山市の3市において、野生いのししに対する2回目の経口ワクチン散布を行いました。
10月21日には、国へ提出しました「三重県豚コレラワクチン接種プログラム」について国の確認が完了したことから、同日付けで予防的ワクチン接種を命令する告示を行い、10月25日から県内全域の養豚農場等において、約8万9千頭の豚などにワクチン接種を行いました。他県や民間の獣医師の協力をいただきながら、延べ185名の獣医師が接種作業にあたり、計画どおり10日間で防疫上適切に完了することができました。今月15日からはワクチン接種豚の出荷も始まっています。
また、CSFが発生した県内農場においては、国の防疫指針に基づく環境検査の結果、農場内の清浄性が確認できたことから、今月12日から事業を再開しました。
引き続き、飼養衛生管理基準の遵守徹底や飼養豚等への適切な ワクチン接種など農場を守る対策をはじめ、生産者、と畜・食肉流通事業者等に寄り添ったきめ細かな経営支援対策や風評被害対策、経口ワクチンの重点散布や野生いのししの捕獲頭数の拡大を図る対策など、CSF対策の強化について、緊張感を持って全力で取り組んでまいります。
(アコヤガイのへい死等への対応)
三重県において本年7月頃から、アコヤガイの稚貝や核入れした貝に外套膜が萎縮する症状やへい死などが確認されました。県では市町と連携し、経営安定に向けた水産制度資金の無利子化や保証料の無償化への支援、調査・研究体制の強化などについて、対応を進めてきました。
真珠養殖の生産現場では、早期の原因究明等を要望する声が相次いでいるほか、優良な稚貝を新たに生産・供給する必要があるなど、さまざまな課題が生じていることを受けて、10月23日に志摩市長、南伊勢町長、地元国会議員とともに、農林水産副大臣等に対して要望を行いました。副大臣からは、農林水産省としても原因究明にしっかりと取り組み、真珠養殖業者の経営安定のための共済制度についても検討を進めていくなど心強い回答をいただきました。
原因究明については、これまでの調査結果からへい死等の原因につながる病原体などは確認されなかった一方、冬季の海水温が高くエサが少なかった環境が貝の栄養レベルの低下に作用し、その後のへい死等の発生に影響していることが分かりました。このため、水温等の漁場環境に応じて、適切に養殖管理を実施することが重要であることから、英虞湾に設置したICTブイで測定した湾内の水温などのデータを公開し、今後の養殖管理に役立ていただきたいと考えています。また、これらのデータを活用した適正養殖管理マニュアルを年内に作成し、真珠養殖業者への周知徹底を図ります。
(地方創生の推進)
9月27日、全国知事会の地方創生対策本部長に就任し、国の第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定が間近に迫り、地方創生の深化に向け新たな一歩が始まるこの時期に、重責を担うこととなりました。
依然深刻な状況にある人口減少等に歯止めをかけるため、あらゆる施策を切れ目なく強力に展開していくとともに、地方創生の取組を通じて、それぞれの地域で住みよい環境を確保すること、質の高い、豊かな生活・就労・結婚・子育てといった国民の希望を実現することに、全力を注ぐ必要があると考えます。これまで地方創生対策本部は委員長やプロジェクトリーダー等の13自治体で組織されていましたが、地方創生は全ての都道府県に関わる課題であり、 都市部と地方部が互いに積極的に議論を交わし、危機意識を持ちながら一丸となって推し進めていくべきものであることから、新たに全都道府県の参画を得て、全力で取り組んでまいります。
11月11日には全国知事会と内閣総理大臣との懇談会において、地方創生対策本部長として、地方創生の推進について申し入れを行いました。第2期総合戦略が始まる令和2年度は東日本大震災からの復興・創生期間の最終年度であり、東京オリンピック・パラリンピックが開催される節目の年です。このことから、地方創生のモデルとなるような復興の早期実現が重要であり、また、東京2020(にーぜろにーぜろ)大会のレガシーを力とした全国各地域の地方創生の加速化、さらに、地方創生推進のベースでもある未来技術の活用、健康づくり、防災・減災、国土強靱化、過疎地域の新たな振興も第2期総合戦略に盛り込むこと、国と地方が「ワンチーム」となって地方創生を新たなステージに押し上げていくために政府挙げての支援が必要であることについて提言しました。このほか、地方創生推進交付金をはじめとする地方創生関連予算や税制の拡充についても提言し、総理からは「国としてもしっかり応援し、地方創生に日本の未来を託していきたいと考えている」などの心強い発言をいただきました。
(みえ県民力ビジョン・第三次行動計画と行財政改革)
「みえ県民力ビジョン・第三次行動計画(仮称)」については、今月1日にいただいた中間案に対する県議会からの申し入れや、 9月から10月にかけて行ったパブリックコメントなどを踏まえ、記述の精査、充実を図るとともに、各施策の令和5年度の目標値を設定し、また、SDGsのゴールについて、施策ごとに関係を整理し、最終案を取りまとめました。今議会での御議論等を踏まえ、来年2月に議案として提出する予定です。
また、行財政改革取組については、今回「第三次三重県行財政改革取組(仮称)」中間案を取りまとめました。中間案では、素案でお示しした基本的な考え方に加え、「スマート改革の推進」、「コンプライアンスの推進」、「持続可能な行財政運営の確保」の三つの柱ごとに、それらを進めるための具体的な取組項目をお示しするとともに、個々の具体的取組ごとに、現状、課題、改革の方向性及び今後の取組内容をロードマップ(工程表)として取りまとめました。
(子どもを守る)
三重県内の児童虐待相談件数は、本年度9月末までの受付ベースの速報値で約1,100件と、前年を上回るペースで増加しています。現在、「三重県子どもを虐待から守る条例」改正の中間案を策定しているところであり、虐待の未然防止や子どもの安全を最優先に対応すること、虐待の早期発見等、関係機関が果たすべき役割や、子どもの権利擁護、社会的養育及び自立支援に関する施策の充実など、本県におけるこれまでの取組の進展や成果をしっかりと検証して必要な事項を書き込むこととしています。また、子どもが権利の主体であることや体罰を行ってはならない旨など、法改正への対応を踏まえるとともに、子どもや家庭を社会全体で見守る、虐待は絶対に許さない、という強いメッセージを発信していけるような内容にしたいと考えています。
11月は「子ども虐待防止啓発月間」であり、また、「いじめ防止強化月間」でもあります。いじめ防止応援サポーターと連携した県内5駅(四日市・津・名張・宇治山田・尾鷲)での街頭啓発、小学生から大人までの世代が一堂に会しての「三重県いじめ防止サミット」の開催など、県民の皆様とともにさまざまな取組を実施しています。
先月公表した平成30年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、県内の公立小中学校及び県立高等学校・特別支援学校におけるいじめの認知件数は、過去5年間で最多の3,105件となり、前年度より886件増加しました。いじめの内容は、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が56.1%と最も多くなっています。
いじめは、いじめを受けた子どもの教育を受ける権利を奪い、大切な命までも危険にさらす、決して許すことのできないものです。子どもたちをいじめから守り抜くという強い決意のもと、社会総がかりでいじめの問題の克服に全力で取り組んでいきます。
(公立・公的医療機関の再編統合)
9月末に厚生労働省の有識者会議で、「再編や統合の必要性について議論が必要」と判断された公立・公的医療機関名が公表され、県内では7つの医療機関が該当しました。
今回、国が根拠としたデータは2年前のものであり、本県で対象とされた医療機関の中には、その後、再編統合や機能転換等を行った医療機関も含まれる結果となっています。
地域の個別事情を踏まえず、画一的な分析のみで機械的に医療機関名を公表したことは、地域の住民や医療従事者の不安をいたずらに掻き立てるもので、遺憾であると言わざるを得ません。
本県では、これまでも地域医療構想調整会議において、地域の実情を踏まえた議論を行っており、引き続き医療関係者や地域の皆様と地に足のついた議論をしっかりと行い、将来にわたって安心できる医療提供体制の構築を進めていきます。
(競技力向上)
9月28日から10月8日まで開催された「いきいき茨城ゆめ国体」では、サッカー女子・伊賀フットボールクラブくノ一の連覇や、ラグビーフットボール成年男子・Honda HEAT(ホンダヒート)の優勝などの活躍により、天皇杯順位は前年度の20位から14位へと向上し、皇后杯順位は 前年度の20位を維持しました。これまで取り組んできた指導者の養成や確保、選手の強化活動への支援、トップアスリートの県内への定着などの成果があらわれつつあると考えています。
令和3年に開催される三重とこわか国体での天皇杯・皇后杯獲得に向け、トップアスリートの確保や選手・チームの強化を加速させ、さらなる競技力向上に取り組んでいきます。
10月12日から14日にかけて開催予定であった「いきいき茨城ゆめ大会」は台風第19号の影響で全日程中止となり、参加を予定していた選手の皆様には大変残念な結果となりました。しかし、この大会に備えて、積み重ねてきたトレーニングは決して無駄にはなりません。来年度、そして2年後に三重県で初めて開催される全国障害者スポーツ大会である三重とこわか大会に向けて、活躍を期待しています。
今月2日まで開催されたラグビーワールドカップ2019日本大会では、大会期間を通じての観客動員数が延べ約170万人にのぼり、国内はもとより世界中から高い関心と注目を集めた中、日本代表は過去最高のベスト8に入り、日本中に広く夢と希望と感動を与えてくれました。今大会に日本代表として出場した具 智元(グ ジウォン)選手とレメキ ロマノ ラヴァ選手はHonda HEATに所属する選手で、具選手は日本代表が戦った5試合全てに出場しその押し負けない強さを、レメキ選手は4試合でそのスピードを見せつけました。魂のこもった熱いプレーで初の決勝トーナメント進出に貢献した功績をたたえ、両選手に「三重県スポーツ特別奨励賞」を授与することを、また、両選手を支援し、茨城国体のラグビー成年男子で見事優勝されたHonda HEATを支えてきた本田技研工業株式会社鈴鹿製作所に「三重県スポーツ功労団体賞」を授与することを決定しました。
東京オリンピックに向けては、四日市市出身の中村匠吾(なかむらしょうご)選手がMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)を制し代表を勝ち取り、同じく四日市市出身の向田真優(むかいだまゆ)選手が2019年レスリング世界選手権で銀メダルを獲得し、女子53㎏(キログラム)級の代表に内定しています。また、東京パラリンピックに向けては、ドバイ2019世界パラ陸上競技選手権大会において、鈴鹿市出身の伊藤智也(いとうともや)選手が男子車椅子400mで銀メダル、100mと1,500mで銅メダルを獲得し、津市出身の前川楓(まえがわかえで)選手が女子走幅跳で4位となり、代表に内定しました。
選手の皆様の今後の活躍を応援するとともに、来年度開催される東京2020大会や2年後の三重とこわか国体・とこわか大会に向けて気運がさらに盛り上がることを期待しています。
(海外ミッション)
昨年10月、バスク自治州と産業連携に関する覚書を締結しました。今年11月5日から10日にかけて、県内市町や企業と連携し、産業分野での交流の具体化を図るとともに、バスク自治州との交流を、食や世界遺産の巡礼道の分野にも広げることを目的としてスペインを訪問しました。
産業交流では、バスク自治州を拠点とする企業連合組織であるモンドラゴン市内の協同組合グループや現地企業を、自動車や航空関係の県内企業とともに訪問し、企業誘致や産業交流の促進に関するトップセールスを行いました。また、重工業の衰退により不況に陥っていた炭鉱、造船の街を芸術で復活させたビルバオ市を、地方創生のモデルとして視察しました。
世界一の美食の街と称されるサン・セバスティアン市では、食を通じた料理人の交流の場を視察しました。この場には、プロの料理人3名をはじめ、料理人をめざす若者として三重調理専門学校から1名、相可高校から2名が参加しており、今回の経験を美食による地域づくりにつなげてほしいと思います。
また、サン・セバスティアン市は、平成29年1月に多気町が美食を通じた友好の証を締結していることから、多気町長とともに同市を訪問し、今後の食の交流に係る意見交換を行ったほか、県内の食関連事業者などが商談を行う交流会において、現地バイヤーと料理人38名に対し、三重の食の魅力を紹介するプレゼンテーションを行いました。本年2月に日EU経済連携協定が発効し、日本産農林水産物の欧州への輸出拡大が期待されています。食に関して国際的な発信力を有するサン・セバスティアン市でのトップセールスをきっかけに、県産品の欧州への販路開拓に取り組みたいと考えています。
世界遺産の巡礼道の交流では、熊野市長とともにサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路(ろ)を視察しました。数百キロメートルにも及ぶ巡礼道が世界遺産に登録されているのは、この巡礼路と熊野古道のみであることから、相互の交流を図るための覚書を締結しました。これを契機に、バスク自治州との交流を深め、世界に向けた熊野古道の情報発信につなげていきたいと考えています。
以上の産業、食、巡礼道の3つの分野に関しては、バスク自治州政府の首相と、誘致や相互往来などの具体的な協力事項について合意し、共同発表を行いました。州首相との会談においては、バスク人と三重県民との間の感謝・勤勉・誠実という共通の価値観を確認し、信頼関係を構築できました。このことは、今後、産業、食、巡礼道にかかる交流を進めていく上で、大きな成果であると考えます。
加えて、松阪市長、熊野市長らとともにマドリードにある国連世界観光機関(UNWTO)を訪問し、持続可能な観光振興の推進などについて意見交換を行ったほか、その土地の食文化に触れることを目的とするガストロノミーツーリズムの推進に関して世界的なネットワークを持つUNWTOに対し、県内での食の交流の促進について協力を求めました。
スポーツに関しては、志摩市長とともに、スペイン・スポーツ庁とスペイン・トライアスロン連盟を訪問しました。志摩市は、東京2020大会において、スペインのトライアスロン代表チームの事前キャンプの受入が決まっていることから、東京2020大会後の交流促進についてスポーツ庁長官と意見交換を行いました。
UNWTO及びスポーツ庁、トライアスロン連盟訪問で得られた知見を生かして今後の観光振興、スポーツ交流に取り組んでいきたいと考えています。
今回のスペイン訪問では現地報道機関からも注目を集め、三重県の存在感を十分に示すことができました。また、今回の訪問を通じてお会いした関係者に来県を呼びかけたところ、タピア経済開発 インフラ大臣が来年、来日する予定と伺いましたので、ぜひ三重県にお越しいただき、さらなる交流の発展につなげていきたいと考えています。
(中小企業・小規模企業の振興)
「三重県中小企業・小規模企業振興条例」が平成26年4月に施行されて以来、県内総生産は名目で3年連続増加し、実質では平成 18年度以降、過去最高を記録するなど、条例に基づく施策は実を結びつつあります。
一方、条例に基づき今年度上期に実施した、これまでの支援施策の効果検証において、中小企業・小規模企業の経営者の皆様から「災害の備えへの支援がほしい」、「労働力不足に陥る中、働き方改革が進まない」といった声をお聴きするなど、社会経済情勢の変化等により、中小企業・小規模企業を取り巻く環境には大きな影響が生じていることが判明しました。このことから、本条例について、新たな課題に対応した基本的施策の追加などの改正が必要であると考えています。
三重県経済をさらに発展させ、厚みを増し、新たな課題への対応を迫られている中小企業・小規模企業が、引き続き地域社会の持続的な形成及び維持に重要な役割を果たすために、具体的にどのような改正をすべきか、今後検討を進めてまいりたいと考えています。
(キャッシュレスの取組の推進等)
先月の消費税率引上げに伴う国内のキャッシュレス化に向けた機運の高まりを一過性に終わらせないため、「三重県キャッシュレス推進方針」を策定しました。
本方針は、県内中小企業・小規模企業の生産性向上や消費者、観光客の利便性向上を図り、新たな需要を取り込み、県庁の行政サービスも率先して取り組むなど、オール三重で地域活性化を図ることを目的とするものです。
現行の本県キャッシュレス比率20%を令和7年に50%へ引き上げることを目標とし、今後、本方針に基づき、県内のキャッシュレス化に向けた取組を進めていきます。
消費税率の引き上げに関しては、自動車や家電の駆け込み購入が見られ、特に8月の家電販売額は前年同月比19.1%増と大幅な増加がみられました。駆け込み購入後の反動が懸念されることや、平成26年の税率引き上げ時には、地方の消費の落ち込みが都市部より大きく、回復も遅かったことから、地方経済や県民の皆様の生活への影響について、今後も注視していきたいと考えています。
(歴史・文化の魅力発信)
県総合博物館(MieMu)は、今年、開館5周年を迎えました。7月6日から9月16日に開催した5周年記念特別展「この男がジブリを支えた。近藤喜文展」は過去最多の7万人を超えるなど、開館からこれまでに150万人を超える皆様に親しんでいただいています。
また、御代替わりにあたり、日本遺産「斎宮」に注目が集まっています。斎宮跡は国史跡指定40周年、斎宮歴史博物館は10月に開館30周年を迎え、これまでに184万人を超える皆様にお越しいただきました。
平成30年度、史跡西部において飛鳥・奈良時代の斎宮の実態解明を目的とした発掘調査を行ったところ、飛鳥時代の総柱(そうばしら)建物による倉庫群などの重要な発見がありました。学術的にも価値のある初期斎宮は解明が進み注目を集めるとともに、観光資源としてのポテンシャルが高く、効果的な情報発信を行うチャンスであるととらえています。
今後も、県民の皆様が地域に誇りと愛着を感じられるよう、さまざまな文化に親しんでいただく機会を提供するとともに、県内外に三重の文化や歴史に関する情報発信を進め、地域の活性化や観光振興につなげていきます。
(土砂条例の制定)
港湾を経由して、県内に土砂等が大量に搬入され、その埋立て等により県民の皆様に不安が広がっていたことから、無秩序な土砂等の埋立てなどを規制することを目的として、「三重県土砂等の埋立て等の規制に関する条例」案を今定例月会議に提出しました。
条例では、土砂基準に適合しない土砂等の埋立てなどを禁止するとともに、一定規模以上の埋立て等を許可制としたほか、土砂の発生場所等の確認や周辺地域の住民への説明会の開催、申請書等の閲覧に関する制度を設け、必要な規制を行うことにより、災害の未然防止及び生活環境の保全を図り、県民の皆様の安全で安心な暮らしを確保していきます。
(議案等の概要)
引き続き、上程されました補正予算22件、条例案16件、その他議案9件合わせて47件の議案について、その概要を説明いたします。
議案第43号から第58号までの補正予算は、県税や地方交付税などの歳入の増減、CSFやアコヤガイへい死への対策、園児等子どもが日常的に移動する経路の安全確保対策、本年発生した災害への対応、国庫支出金の額の確定に伴う事業費の増減などについて、それぞれ補正を行うものです。
各会計の補正額は、一般会計で47億5,373万円を減額、特別会計で32億9,793万1千円を増額、企業会計で9億8,759万円を減額するものです。
まず、一般会計についてその概要を説明いたします。
歳入の主なものとして、県税については、法人事業税、地方消費税、法人県民税が減収となる見込みなどから163億4,600万円を減額しています。
地方交付税について8億2,196万円を増額する一方、国庫支出金については、公共事業関係で3億6,186万5千円、子ども・子育て支援事業費補助金で3億3,912万1千円をそれぞれ減額するなど、あわせて9億6,083万7千円を減額しています。財産収入については、木曽岬干拓地工業用地に係る土地売払収入等で14億3,978万円を増額する一方、繰入金については、財政調整基金等で70億5,345万円を減額しています。県債については、減収補てん債で136億8,900万円を増額するなど、あわせて143億800万円を増額しています。
歳出の主なものとして、飼養豚へのCSFワクチン接種等を行うため、2,640万9千円を増額するほか、検査施設の新設等により野生いのししのCSF感染に関する検査体制を強化するため、6,121万1千円を増額するなど感染拡大防止対策を行います。また、風評被害対策として県産豚肉の消費維持や拡大に向けた支援・啓発を拡充します。
アコヤガイのへい死等による真珠養殖に携わる方々の不安を解消するため、養殖現場からの要望が高い種苗生産に必要な親貝の確保や採卵に向けた育成に取り組むため、504万2千円を増額するとともに、種苗生産の委託や真珠養殖業者の経営支援に係る融資の無利子化等を行うために債務負担行為の追加等を行います。
また、本年5月に滋賀県大津市で発生した園児死亡事故を受け、子どもたちの安全を早急に確保するため、県管理道路の中で1日当たりの交通量が1万台以上の交差点のうち対策が必要な全箇所と、1万台未満の交差点等についても早期の対応が可能な箇所に対し、保育所等の要望を踏まえながら、ガードパイプ等の防護柵や車止めの設置などの対策を実施します。あわせて、交通安全施設のうち優先度が高い箇所に対し、横断歩道等の塗り替えを実施します。
本年9月上旬の豪雨や台風第19号などによる被害の早期復旧を図るため、災害復旧やがけ崩れ緊急対策、県立学校の修繕を行うなど、あわせて9億1,956万円を増額しています。
本県における地方消費税収入見込額の減収に伴い、他の都道府県に対し支払う地方消費税清算金について26億645万3千円を減額しています。
次に、特別会計及び企業会計のうち主なものについて、説明いたします。
特別会計では、県債管理特別会計について9億7,210万1千円を減額する一方、国民健康保険事業特別会計で32億1,195万9千円、流域下水道事業特別会計で7億2,382万4千円をそれぞれ増額しています。また、企業会計では、水道事業会計について3億9,618万8千円、工業用水道事業会計について3億764万7千円、電気事業会計で3億2,312万5千円をそれぞれ減額しています。
次に、議案第80号から第85号までの補正予算は、人事委員会勧告に基づく給与改定に伴う人件費について、それぞれ補正を行うもので、各会計の補正額は、一般会計で5億2,387万7千円、特別会計で350万2千円、企業会計で1,107万8千円をそれぞれ増額するものです。
まず、一般会計についてその概要を説明いたします。
歳入の主なものとして、国庫支出金については、義務教育費負担金で7,112万5千円を増額し、繰入金については、財政調整基金等で4億5,249万3千円を増額しています。
歳出では、人事委員会の給与改定に関する勧告に鑑み、人件費で5億2,387万7千円を増額しています。
次に、特別会計及び企業会計について、説明いたします。
特別会計では、子ども心身発達医療センター事業特別会計について350万2千円増額しています。また、企業会計では、病院事業会計について643万2千円、水道事業会計について249万3千円、工業用水道事業会計で161万円、電気事業会計で54万3千円をそれぞれ増額しています。
以上で補正予算の説明を終わり、引き続き条例案等の諸議案について説明いたします。
議案第59号は、公文書の適正な管理、特定歴史公文書等の適切な保存、利用等を図り、もって県政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、県の諸活動を現在及び将来の県民に説明する責務が全うされるよう、公文書等の管理に関する基本的事項を定めるものです。
議案第60号は、土砂等の崩落、飛散又は流出による災害の未然防止及び生活環境の保全に資するため、必要な事項を定めるものです。
議案第61号は、地方公営企業の設置及びその経営の基本に関する事項その他必要な事項を定めるため、三重県流域下水道事業条例の全部を改正するものです。
議案第62号は、関係法律の制定等に伴い、本人確認情報を利用できる事務についての規定を整理するものです。
議案第63号は、関係法律に基づき、知事の権限に属する事務の一部を市町が処理することについて改正を行うものです。
民法の一部改正に鑑み、議案第64号は、遅延損害金についての規定を、議案第69号は、連帯保証人等の規定を整備するものです。
議案第65号は、関係政令等の一部改正に伴い、手数料の額等を改正するものです。
議案第66号は、三重県福祉基金、三重県中小企業振興基金、三重県体育スポーツ振興基金、三重県環境保全基金及び三重県子ども基金の財源に充てるため、法人の県民税の法人税割に係る税率の特例措置の適用期限を延長するものです。
議案第67号及び第68号は、大学等における修学の支援に関する法律の制定に鑑み、それぞれ規定を整備するものです。
議案第70号は、三重県営鈴鹿スポーツガーデンの施設整備に鑑み、施設の利用に係る料金の額を改正するものです。
議案第86号は、特別職に属する国家公務員の期末手当の支給割合の改正等に鑑み、特別職に属する職員の期末手当の支給割合の改正を行うものです。
議案第87号は、知事等の給与を特例的に減ずるものです。
議案第88号及び第89号は、人事委員会の議会及び知事に対する令和元年10月11日付けの給与改定に関する勧告等に鑑み、所要の改正を行うものです。
議案第71号は、宝くじを発売することについて、令和2年度の発売総額など必要な事項を定めるものです。
議案第72号から第74号までは、工事請負契約を締結又は変更しようとするものです。
議案第75号は、財産を取得しようとするものです。
議案第76号は、財産を処分しようとするものです。
議案第77号から第79号までは、公の施設の指定管理者を指定しようとするものです。
以上で諸議案の説明を終わり、次に、報告事項について説明いたします。
報告第63号から第74号までは、議会の委任による専決処分をしましたので報告するものです。
報告第75号は、議会の議決すべき事件以外の契約等について、条例に基づき、報告するものです。
以上をもちまして提案の説明を終わります。
なにとぞ、よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。