平成14年第2回三重県議会定例会 知事提案説明 平成14年6月
平成14年第2回定例県議会の開会にあたりまして、ただいま上程されました議案についての説明に先立ち、今後の県政運営にあたっての考え方を申し述べ、県民の皆様と議員の皆様の深いご理解とご協力をお願い申し上げます。
(地域経営のありかたと県のチャレンジ)
私は、21世紀に求められる地域づくりに、自立と分権型社会への対応の真価が問われることになると考えています。このことを、地域経済の活性化や地域社会の発展など、地域の経営という視点から捉えると、その地域の持つ特色を活かした雇用の創出や経済基盤の拡充を図る戦略を立て、それぞれの持つ魅力を情報発信することにより、互いに競い合い、自立することが求められているということです。そのような環境では、それぞれの地域自体、また、そこに暮らす住民の皆様、企業や団体など、それぞれに自己決定、自己責任が求められるという厳しい一面もあります。
視点を変えて捉えれば、私たちは、そういった変革の真っただ中にあり、新しい価値を共に創り出し、そして共有できる絶好のチャンスが与えられていると考えることもできます。
このような認識のもと、行政も環境変化に機敏に対応する必要があり、自らが改革を実践し、現在の社会的な閉塞感の打破にも、チャレンジしていく必要があると考えています。
そこで、液晶産業という国際的にも競争力のあるリーディング産業の立地・集積を、地域経営における絶好のチャンスとしてとらえ、「三重のくにづくり」へのチャレンジをスピーディーに進めるため、プロジェクト“C”グループを総合企画局に設置し、各部局横断的に取り組むこととしました。
この新しいプロジェクトでは、くらしに豊かさを実感でき、新しい価値観を共有するビジョンを示し、リーディング産業の誘致を周辺地域の既存産業や、地域社会へのインパクトに変え、さらに県内に点在する地域資源の優位性を生かし、持続的な発展につながるよう、戦略的に実施していきます。
(市町村合併の取組)
次に、地域経営に関して、もう一つの大きな行政課題である市町村合併についての考え方を申し述べます。
住民にとって身近な自治体である市町村の合併について、今日の地方行財政を取り巻く厳しい環境、少子・高齢社会への対応などを含め、魅力ある地域づくりを進めるため、それぞれの地域が、幅広い議論のもとに自主的に判断することが重要であると、私は従来から申し上げてまいりました。
さらに付け加えますと、地域が合併によりどのような姿になるのか、また、自治体が権限と財政基盤の強化を最大限に活用し、地域のニーズを反映した施策をどのように提供していくのか、といった事柄について、地域住民の参画のもとで、オープンな議論が進められる必要があると考えています。
市町村合併は、地域の将来にとって重大で、かつ、差し迫った課題でありますので、県では、地域のありようについて十分議論が尽くされ、それぞれの地域において市町村合併に関する主体的な検討が進展するよう、引き続き積極的に支援していきます。
(大規模地震対策の取組推進)
次に、人命と安全なくらしを守る観点から、大規模地震対策についてご説明申し上げます。
東海・東南海・南海地震について、その発生が危惧されています。東海地震については、県内18市町村が去る4月24日に地震防災強化地域に追加指定されたことにより、県及び指定を受けた市町村では、今年中に、警戒宣言発令後の避難・警戒対策を盛り込んだ地震防災強化計画を作成し、地域防災計画を見直すこととしています。強化地域内の病院等の施設や事業所では、指定から6か月以内に避難計画等を盛り込んだ応急計画を作ることになっています。
さらに、県では、過去において津波等による甚大な被害の発生を経験している東南海・南海地震への対応をも念頭に置き、現行の地震対策の検証・総点検を行うとともに、人命優先、生活確保の観点から避難地、避難路の点検やライフラインの確保など、総合的な対策を今年度中にアクションプログラムとして策定し、地震対策の充実強化を図ってまいります。
(政策推進システムの運用)
最後に、生活者起点の行政経営を進める二大戦略の一つである政策推進システムの運用について、ご説明申し上げます。
「三重のくにづくり宣言」第二次実施計画の実施に併せ、新たに導入しました政策推進システムでは、前年度の取組を評価し、その結果を県民の皆様に情報提供していくとともに、積極的にご意見をいただくこととしています。
現在、平成13年度の成果と課題、それらを踏まえた今年度の取組方向を「三重のくにづくり白書」として、取りまとめているところです。今議会中に未定稿として議員の皆様にお示しし、その後公表していきます。
さらに、8月に「三重のくにづくりトーク」や県民1万人アンケートを実施し、議員の皆様からのご意見と併せ、翌年度の県政運営に反映していきたいと考えています。
また、県民の皆様が身近なテーマや地域が抱える問題等について、インターネットを使って双方向に議論する場として、「三重県民e-デモクラシー」を去る5月31日に開設いたしました。県のIT基盤を生かした県民参加の手法として進めていきたいと考えています。
それでは、上程されました補正予算1件、条例案9件、その他議案6件合わせて16件の議案について、その概要をご説明申し上げます。
今回の一般会計補正予算は、7,853万2千円の増額補正で、これにより、平成14年度の予算総額は、一般会計で7,632億3,142万円となり、特別会計、企業会計を合わせた三会計の合計額は、8,697億5,398万9千円となります。
歳出としては、低水温により被害を受けた真珠養殖業者の経営再建を支援するための融資制度を創設し、その利子補給の経費825万円、亀山市内において適正な処理がされていない産業廃棄物を、原因者に代わり処理するための経費7,028万2千円を計上しています。
これら補正にかかる財源については、財政調整基金からの繰入金825万円、諸収入7,028万2千円を計上しています。
これら歳入歳出予算のほか、真珠養殖業者に対する支援のための損失補償及び利子補給並びに工事請負契約に係る債務負担行為の追加をしています。
以上で補正予算の説明を終わり、引き続き条例案等の諸議案についてご説明申し上げます。
議案第2号は、県の発注する建設工事等について、入札及び契約の適正化を図るため、三重県入札等監視委員会を設置しようとするものです。
また、関係法律等の改正等に基づき、議案第3号は地震災害警戒本部に関する条例を制定し、議案第4号は土地収用にかかる鑑定人等の旅費等の支給及び手数料について、議案第5号から第7号までは県税の特例措置について、議案第9号は警察官に貸与する装備品目等について、それぞれの規定を整備するため関係条例を改正し、議案第10号は、三重県開発地区における県税の特例に関する条例を廃止しようとするものです。
議案第8号は、三重県立総合医療センターの診療科目を改正するとともに、使用料の規定を整備しようとするものです。
議案第11号から第16号までは、いずれも工事請負契約等を締結又は変更しようとするものです。
以上で、諸議案の説明を終わり、次に、報告事項についてご説明申し上げます。
報告第1号から第4号までは、交通事故に関して、報告第5号、第6号は道路の設置又は管理の瑕疵に起因する事故に関して、それぞれ相手方と和解し、損害賠償の額を定めることについて、専決処分をしましたので、報告するものです。
報告第7号から第15号までは、平成13年度一般会計、特別会計及び企業会計のうち、翌年度へ繰り越した経費について、それぞれ繰越計算書を調製しましたので、報告するものです。
報告第16号は、議会の議決すべき事件以外の契約等について、条例に基づき、報告するものです。
以上をもちまして提案の説明を終わります。
なにとぞ、よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。