平成13年第3回三重県議会定例会 知事提案説明 平成13年9月
平成13年第3回定例県議会の開会にあたりまして、ただいま上程されました議案についての説明に先立ち、当面の県政運営にあたっての考え方を申し述べ、県民の皆様と議員の皆様の深いご理解とご協力をお願い申し上げます。
(さらなる改革に向けて)
三重県は、生活者起点の県政を推進するため、新しい総合計画「三重のくにづくり宣言」を策定するとともに、その実現に向けて「事務事業評価システム」や「行政システム改革」など従来の行政の考え方や枠組みを見直す改革を進めてきました。
国においては、本年6月に「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」、いわゆる「骨太の方針」を策定し、民営化・規制改革プログラム、生活維新プログラム、地方自立・活性化プログラム、財政改革プログラムなど7つの改革プログラムをパッケージで進めることを打ち出しています。さらに、来年度予算編成に向けて、環境問題への対応、地方の個性ある活性化、科学技術の振興、IT国家の実現などの重要な7つの分野について重点的に取り組むこととしています。
県の改革は、国に先んじて取り組んできたところであり、今後も、来年度予算編成や第二次実施計画策定などに取り組むなかで、さらなる「県政の改革」を進めてまいります。
また、最近の景気や雇用情勢については大変厳しい状況にあることから、県としては、「三重県緊急雇用対策推進本部」を設置したところであり、国において実施される雇用対策に迅速に対応するとともに、能力開発による就労支援や本県の実情に即したセーフティーネットの充実、新たな産業育成や企業誘致の推進など総合的な取組を進め、雇用の創出・安定に努めていきます。
(「三重のくにづくり宣言」第二次実施計画の策定)
「三重のくにづくり宣言」については、平成13年度までの5か年を対象とした第一次実施計画を策定し、その着実な推進を図ってきたところですが、引き続き、21世紀初頭における県政運営を「三重のくにづくり宣言」に基づいて的確に行うため、平成14年度から16年度までの3か年の第二次実施計画を策定します。
第二次実施計画では、「三重のくにづくり宣言」の政策体系に沿って、より県民と共有できるわかりやすい数値目標に見直し、事業の推進を図ることとしています。
(「政策推進システム」と「行政経営品質向上活動」)
今議会において、「第二次実施計画」と併せ「政策推進システム」について、それぞれの案に関する、現時点の作業成果をお示しさせていただきます。
今回お示しする「政策推進システム」は、生活者起点の行政経営を支える中核的な仕組みとして考えているものです。新しい政策評価システムの構築、予算編成方法等の見直し、責任と権限の明確なフラットな組織づくりなどにより、第二次実施計画を的確にマネジメントするためのシステムとなるようにしたいと考えています。
また、県庁を県内最大のサービス産業ととらえ、顧客本位で生活者起点の行政を展開するため、「管理」型から「経営」型へ県庁組織全体を改革する「行政経営品質向上活動」に取り組んでいます。
この「政策推進システム」と「行政経営品質向上活動」を県政改革の二大戦略として、県民満足度の高い県政の実現を目指します。
「第二次実施計画」と「政策推進システム」については、今後の県政運営の基本となるものであり、私自身が県内各地でご説明することも含めて、県議会はじめ幅広く県民の皆様のご意見も伺って、より良いものとなるよう努めてまいります。
次に、県政の具体的な取組についていくつか述べさせていただきます。
(循環型社会づくり)
第一に、循環型社会づくりへの取組です。地球環境の劣化を創造的に解消し、循環型社会を構築することが21世紀の最重要課題のひとつです。
2000年の国会は「環境国会」と呼ばれ、循環型社会形成推進基本法など6本の法律が成立しました。この国会において、必然的に発生する「公害」に、「規制」で対応する「環境対応」の考え方から、生産活動にかかわらず環境は保全すべきであるという「環境保全」の考え方に変わりました。
私は、21世紀は、この「環境保全」の考え方を、環境と経済を同軸でとらえた「環境経営」の理念へと進化させ、この理念に立って本県の環境政策を推進する決意です。
こうした観点から、本年第1回定例会以後制定の環境関係三条例において、「三重県生活環境の保全に関する条例」では、事業者自らが自主的に環境負荷を低減するシステムを構築する規定を設け、また、「三重県リサイクル製品利用推進条例」では、リサイクル製品の利用が一層進むよう、県の優先購入を規定しました。さらに、「三重県産業廃棄物税条例」の制定を受け、環境の21世紀を築くための産業活動への積極的な支援を進めることとしています。
この理念は、三重県民すべてが共有し、あらゆる活動の主体が連携し、協働する必要があると考えています。
このため、環境功労の知事表彰においても、個人や団体の環境への取組と同様、これまで環境と対立するとされてきた企業活動についても、環境経営を推進する理念のもと、環境に熱心な取組をたたえ、広く公表させていただきました。
先般、宮川が全国一級河川の水質ランキングで一位に復活しましたが、これも流域の市町村、NPOなど多くの皆様との協働・連携の成果であると考えます。
今後とも、県民、企業、市町村との協働・連携をさらに充実強化し、循環型社会の構築に向けて取り組んでまいります。
(IT革命への対応等)
第二に、IT戦略です。本県においては、行政の効率・高度化、住民の利便性の向上を目指した電子自治体の実現及び地域経済の活性化を目指したITビジネスの促進に取り組んでいるところです。
これらを推進していくにあたっては、大量の情報流通を可能にし、県民が広く利用できるネットワークインフラが不可欠であると考えており、CATV網を活用した全県的なブロードバンドネットワーク(高速・大容量の情報通信網)の構築を進めているところです。
また、このネットワークを活用して、IT教育、就労訓練等の人材育成や、SOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)等の就労形態の普及促進など、ITを活用した障害者の自立支援策を積極的に推進することとして、四日市市のショッピングセンター内にサテライトオフィスを設置するとともに、障害者の自立支援組織の設立に向けた取組を行っているところです。
こうした取組に加え、建物や道路、駅や駅周辺などの交通結節点のバリアフリー化などを行い、障害者が社会参加できるチャンスを広げ、バリアフリー社会づくりに繋げていきたいと思います。
この秋には、「第14回全国スポーツ・レクリエーション祭」を始め、「第7回チャレンジド・ジャパン・フォーラム(CJF)2001国際会議inみえ」、「第1回園芸福祉全国大会in三重」、「第55回全国お茶まつり21世紀記念大会」、「東海道400年祭・inみえ」などが開催されます。これらを成功させて本県の一層の情報発信に努めていきますのでよろしくお願い申し上げます。
それでは、上程されました補正予算8件、条例案4件、その他議案16件合わせて28件の議案について、その概要をご説明申し上げます。
補正予算は、国庫支出金の額の確定に伴い事業費等に増減が生じた事業及び新たに実施が必要となった事業などについて、それぞれ補正を行うものです。
各会計の補正額は、一般会計では41億1,515万6千円の増額、特別会計では3,108万3千円の増額、企業会計では16億6,680万3千円の減額であり、三会計の補正額合計は24億7,943万6千円となります。
まず、一般会計についてその概要をご説明申し上げます。
歳入は、地方交付税について、普通交付税の額の決定に伴い22億2,494万5千円の増額、地方特例交付金については、額の決定により2億6,583万6千円の減額をしています。また、国庫支出金について、国の補助事業や公共事業の確定などにより5億4,600万9千円の減額、県債について20億6,200万円の増額、繰入金について、財政調整基金からの繰入金の減額などにより2億2,733万6千円の減額をしています。
歳出は、桑名市内に不法投棄された産業廃棄物を行政代執行により生活環境保全上支障がないよう処理するために必要な経費として6億6,900万円、電子県庁を推進するため行政WANシステムの拡充等に要する経費として3億6,419万8千円、地方バス路線を維持するために国が創設した広域幹線バス路線に対する補助制度に対応する経費として2億4,366万1千円、「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録を推進し、それを活用した東紀州地域の活性化を図るための経費として3,995万5千円、県有施設のバリアフリー化を進めるため草の実リハビリテーションセンター及び志摩庁舎の改修に要する経費として3,924万8千円、伊勢志摩の再生を図るため観光客の行動パターンや満足度を明らかにする観光入込客動態調査に要する経費として2,500万円をそれぞれ計上しています。また、公共事業について36億5,852万2千円を減額する一方、緊急地方道路整備事業について17億1,000万円、直轄事業負担金について20億9,489万6千円をそれぞれ増額しています。
これらの歳入歳出予算のほか、債務負担行為並びに地方債の追加及び変更をお願いしています。
次に、特別会計及び企業会計のうち主なものについて、ご説明申し上げます。
特別会計では、流域下水道事業特別会計について国庫補助金の確定などに伴い17億5,617万6千円の増額、また、公共用地先行取得事業特別会計について直轄事業に係る先行取得事業費が前年度に繰り上げて執行されたことにより17億2,499万9千円の減額をしています。
企業会計では、水道事業会計について高料金対策借換債の額が確定したことに伴い16億9,712万1千円の減額をしています。
以上で補正予算の説明を終わり、引き続き条例案等の諸議案についてご説明申し上げます。
関係法律等の一部改正にかんがみ、議案第9号は、選挙運動用自動車の使用及びポスターの作成に係る公費負担の限度額について、議案第10号は、個人の県民税の課税特例措置に係る規定について、それぞれ条例を改正するものです。
議案第11号は、県立看護大学の入学料の額を国及び他府県の看護系大学の額との均衡を考慮して改定を行うものです。
議案第12号は、北伊勢工業用水道事業において、給水区域を拡大するとともに、一日最大給水量を変更するため、条例を改正するものです。
議案第13号から議案第23号までは、いずれも工事請負契約を締結又は変更しようとするものです。
議案第24号及び議案第25号は、新生児ドクターカー及び総合文書管理システム等を推進するための機器を取得しようとするものです。
議案第26号は、県有地の所有権確認及び境界確定等を求める訴えを提起しようとするものです。
議案第27号は、工作物の設置又は管理の瑕疵に起因して発生した事故について、議案第28号は教育施設の管理の瑕疵に起因して発生した事故について、それぞれ損害賠償の額を決定し、和解しようとするものです。
以上で諸議案の説明を終わり、次に、報告事項についてご説明申し上げます。
報告第1号から報告第20号までは、議会の委任による専決処分をしましたので、ご報告するものです。
報告第21号は、議会の議決すべき事件以外の契約等について、条例に基づき報告するものです。
最後に、水道事業会計、工業用水道事業会計、電気事業会計及び病院事業会計の平成12年度決算について、それぞれ認定をお願い申し上げます。これらの決算は、地方公営企業法第30条第2項の規定に基づき、監査委員の審査を経ておりますことを申し添えます。
以上をもちまして提案の説明を終わります。
なにとぞ、よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。