平成13年第2回三重県議会定例会 知事提案説明 平成13年6月
平成13年第2回定例県議会の開会にあたりまして、ただいま上程されました議案についての説明に先立ち、今後の県政運営にあたっての考え方を申し述べ、県民の皆様と議員の皆様の深いご理解とご協力をお願い申し上げます。
(新しい時代に対応できる県庁へ)
4月に発足した小泉内閣は「構造改革なくして日本の再生と発展はない」という信念の下で、「新世紀維新」実現のため、「聖域なき構造改革」に取り組み、行政についても「地方にできることは地方に委ねる」という方針を打ち出しております。
このことからも、「今」が、社会構造の枠組みのあり方が問われるほどの転換期であるということを、改めて思います。
三重県は、新しい時代に対応し、生活者起点の県政を実現するための改革として、「さわやか運動」による職員の意識改革、新しい県政の理念を示す「三重のくにづくり宣言」の策定、事業の成果を検証するための「事務事業評価システム」の導入、さらには、従来の行政の考え方や枠組みを見直し、行政のシステム全体の構造的な改革を行う「行政システム改革」などを進めてきました。
今後、こうした、これまでの取組に加えて、さらに、生活者起点に変わったと実感できる改革、すなわち、県民が自立して主役となる政策展開が図られるような「県政の改革」に取り組んでまいりたいと思います。
そのためには、時代に対応した、明確な使命に基づく新しい政策・施策の構築と、それらを実行するための仕組みを持つ必要があり、「政策推進システム(仮称)」の構築と「行政経営品質向上活動」を進めたいと考えています。
(「政策推進システム(仮称)」の構築)
平成13年度は、新しい総合計画「三重のくにづくり宣言」の第一次実施計画の最終年度であり、また、第二次実施計画策定の年でもあります。
この第二次実施計画は、政策自治体を目指す三重県が、21世紀を迎えて計画期間内にどのような政策展開をしていくかを明らかにする重要な計画であり、第一次実施計画の結果を総括し、その成果を踏まえつつ、新しい三重の価値創造につながるような計画としたいと考えています。
9月には、取り組むべき諸課題とその対応の方向性、重点化方針などを示した計画素案を公表し、県民や議員の皆様のご意見をお聴きし、計画の策定に反映していきたいと考えています。
また、第二次実施計画の推進にあたっては、管理から経営(マネジメント)へという行政経営手法の世界的な流れを念頭におき、県民から見た成果を表す数値目標を掲げ、その達成状況を中心とした施策・事業の評価を行い、次の政策展開につなげるとともに、予算編成などの行政経営のための資源配分機能や広聴・広報機能と連携させた「政策推進システム(仮称)」を構築し、成果志向で政策を推進する県政運営を確立していきます。
(「行政経営品質向上活動」の取組)
もう一つの取組である「行政経営品質向上活動」は、住民本位の視点から行政経営の仕組みを見直し、継続的に改善を進めようとする手法です。これは、今までの事務改善や改革運動等の各種の取組を体系的に整理・集大成し、生活者起点の行政経営についての自己革新能力を高める仕組みづくりを目指すものです。
この活動により、「三重のくにづくり宣言」の目標を達成するための行政経営が、県民の満足度の向上につながっているかを絶えず点検し、現実の行政活動を改善していきたいと考えています。
この取組を進めるにあたり、今月15日に全職員に対し「行政経営品質向上活動キックオフ宣言」を行うとともに、県庁講堂と各地域機関の11庁舎をテレビ会議で結んだ研修会を開催するなど、職員の意識向上に努め、全庁的に推進していきます。
この「政策推進システム(仮称)」の構築と「行政経営品質向上活動」を県政改革の二大戦略として位置づけ、県民満足度の高い県政を実現するため、全力を挙げて取り組んでまいります。
(電子県庁のバージョンアップ)
この二大戦略や様々な取組を進めるための基盤として、IT戦略を推進します。すなわち、行政の効率化・高度化、住民サービスの向上、情報の共有化による協働の促進を目指した「電子県庁」のバージョンアップ(機能の充実・強化)を行い、県民がいつでも、どこからでも行政情報に接することができ、情報を発信する環境を整え、電子的な行政サービスを受けられる環境整備を進めたいと考えています。
(産業・経済の活性化)
先般のアメリカ出張では、企業関係者の方々に、本県の豊かな自然環境や、現在進めている「志摩サイバーベース・プロジェクト」による高速大容量で低廉な情報通信基盤の整備などを説明し、本県への立地の優位性について、理解を示していただきました。
我が国の経済は、依然として厳しい状況にありますが、新産業・ベンチャー企業の育成、国内外からの企業誘致の推進、集客交流産業の振興などを引き続き進め、志摩サイバーベース・プロジェクト、クリスタルバレー構想や伊勢志摩再生プロジェクトなど本県の特性、強みを最大限生かしながら、産業・経済の活性化を推進していきます。
(地方分権と市町村合併)
昨年施行された、いわゆる地方分権一括法により、国が決定した政策を地方が実施するという従来の仕組みから、地方が自らの権限と責任において政策を決定し、それを実現していくという新しい仕組みに変わりました。この新しい仕組みのもとで、今後予測される少子・高齢社会への対応や、厳しい財政状況などを踏まえた地域経営を行っていくためには、住民に身近な地方自治体である市町村がその行政能力を高めていくことが大変重要となってきます。
その意味からも、市町村合併は避けて通れない課題であり、先月、全庁的な支援組織である「三重県市町村合併支援本部」を設置するとともに、県民局ごとに地方本部を設置し、県を挙げてこの問題に取り組み、21世紀にふさわしい市町村と県の関係を築いていきたいと考えています。
(新たな産業廃棄物行政への取組)
産業廃棄物行政については、これまで排出者責任の原則に立ち、県としては産業廃棄物処理業者に対する規制行政等を行う役割を担ってきましたが、循環型社会の構築を目指す中で、従来の枠を越えた積極的な施策展開を図る必要があると考えます。
このため、環境と経済を同軸に捉え、環境の21世紀を築くための産業活動への積極的な支援を行うとともに、産業廃棄物の処理に対する県民の信頼感を醸成し、産業基盤である最終処分場の円滑な確保を図ることにより、今後長期にわたり円滑な事業活動が推進できるようにしていきたいと考えています。
このような新しい施策を推進するため、法定外目的税として、産業廃棄物税を創設したいと考えています。
それでは、上程されました補正予算1件、条例案10件、その他議案6件合わせて17件の議案について、その概要をご説明申し上げます。
今回の一般会計補正予算は、8億3,723万1千円の増額で、これにより、平成13年度の予算総額は、一般会計で7,724億3,745万9千円となり、特別会計、企業会計を合わせた三会計の合計額は、8,787億7,660万円となります。
歳出としては、新たな産業廃棄物行政への取組として、産業廃棄物抑制等事業費補助金、企業環境ネットワーク支援事業費及び産業廃棄物リサイクル技術研究開発費など、環境の21世紀に通じる産業活動への支援のために2億3,281万4千円、また、産業廃棄物による新たな環境負荷への対策のために、廃棄物処理センター適正処理支援等事業費及び産業廃棄物監視強化対策事業費として1億6,914万3千円、その他賦課徴収に係る経費として904万3千円、合わせて4億1,100万円を計上しています。
また、紀南交流拠点事業の断念により、今後、紀南地域における新たな地域振興の基本方向をとりまとめるための検討に要する経費として457万6千円、道路の設置又は管理の瑕疵に起因して発生した事故に係る損害賠償のために必要な経費として1,969万8千円を計上しています。
次に、歳入としては、財政調整基金等の繰入金8億3,723万1千円を計上しています。
これら歳入歳出予算のほか、産業廃棄物抑制等のための設備機器整備資金借入に対する利子補給にかかる債務負担行為の追加をしています。
以上で補正予算の説明を終わり、引き続き条例案等の諸議案について、その概要をご説明申し・繧ーます。
議案第2号は、地方税法第4条第6項の規定に基づき、産業廃棄物の発生抑制、再生、減量その他適正な処理に係る施策に要する経費に充てるため、「三重県産業廃棄物税条例」を制定するものです。
議案第4号は、産業廃棄物税の創設にかんがみ、三重県環境保全基金条例及び三重県財政調整基金条例の積立て等に係る規定の改正を行うものです。
関係法律の制定等に基づき、議案第3号は、三重県情報公開審査会に諮問すべき実施機関等について追加を行うとともに、罰則規定を設けるため、議案第5号は、手数料について、議案第6号及び議案第7号は、県税の特例措置等について、議案第9号は、地方卸売市場の開設者等の分割について、議案第10号は、建築物に対する規制の適用除外の範囲等について、議案第11号は、宅地開発事業の施行について、それぞれ規定を整備するため、条例を改正するものです。
議案第8号は、改良普及員資格試験の受験資格について、必要な改正を行うものです。
議案第12号は、県営ほ場整備事業の施行に伴い、伊勢市と多気郡明和町との境界を変更しようとするものです。
議案第13号は、工事請負契約を、議案第14号は、工事委託契約をそれぞれ締結しようとするものです。
議案第15号は、中勢沿岸流域下水道(雲出川左岸処理区)事業用地を取得しようとするものです。
議案第16号は、道路の設置又は管理の瑕疵に起因して発生した事故について、損害賠償の額を決定し、和解しようとするものです。
議案第17号は、議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する事務について、伊勢広域環境組合の事務の一部を受託しようとするものです。
以上で、諸議案の説明を終わり、次に、報告事項についてご説明申し上げます。
報告第1号から報告第3号までは、議会の委任による専決処分をしましたので、ご報告するものです。
報告第4号から報告第9号までは、平成12年度一般会計、特別会計及び企業会計のうち、翌年度へ繰り越した経費について、それぞれ繰越計算書を調製しましたので、ご報告するものです。
以上をもちまして提案の説明を終わります。
なにとぞ、よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。