平成12年第2回三重県議会定例会 知事提案説明 平成12年6月
平成12年第2回定例県議会の開会にあたりまして、ただいま上程されました議案についての説明に先立ち、当面の県政運営にあたっての考え方を申し述べ、議員の皆様と県民の皆様の深いご理解とご協力をお願い申し上げます。
(地方自治法の抜本改正)
昭和22年に「日本国憲法」と同時に施行された「地方自治法」は、いわゆる地方分権一括法により、新「地方自治法」ともいうべき戦後最大といわれる抜本改正がなされ、明治維新、戦後改革に続く大改革であるといえます。その中で、「機関委任事務制度」が廃止されたことは、地方分権推進の大きな第一歩であり、国と地方の関係を上下・主従の関係から対等・協力の関係へと変換するものであります。これは、とりもなおさず、地方自治体の自己決定権の拡大とともに、自己責任の明確化ということであり、地方自治体に責任ある地方行政の担い手たり得ることが求められているといえます。
(地方分権型行政システムの胎動)
また、地方分権一括法では、地方税財政制度の抜本的な改革などが課題として残されているものの、地域の実情に応じた多様な行政や生活者起点の総合行政への転換を可能なものとし、県民の負託に応え得る「地方自治体」に生まれ変わる契機として、分権・自治型
社会の構築に向け、ようやく地方分権型の行政システムが動き出したと実感しているところです。
地方自治体は、今後、これらのシステム転換に的確に対応するだけでは足りず、どのように地域を先導していくのか、また、その能力があるのかを問われることになります。
私は知事に就任して以来、サービスの受け手の立場に立った「生活者起点の県政」の実現に努めてまいりましたが、この構造的なシステム転換をチャンスととらえ、全力をあげて取り組んでまいりたいと考えています。とりわけ、20世紀から21世紀へと、世紀の橋を渡る本年度は、次の施策に重点を置いて取り組んでまいりたいと考えています。
(新しい政策推進システムの構築)
まず、総合計画の着実な推進についてであります。平成9年に新しい総合計画「三重のくにづくり宣言」を策定して以来、これを着実に推進することを県政の中心課題に据え、政策体系ごとに定めた目標の達成、総合行政や広域行政の推進に努めてきたところでありますが、今後も、一層、簡素で効率的な行政運営により、総合計画を推進していきます。
このため、現在の880の数値目標を、県民と共有できる分かりやすい目標に見直すとともに、事務事業評価システムや予算編成システムと整合性の取れたものとし、新しい政策推進システムの構築を図り、第二次実施計画に反映させたいと考えています。
(行政システム改革の推進)
次に、行政システム改革についてであります。生活者起点の県政を推進するためには、職員一人ひとりが「率先実行(みんなで、みずから、みなおす、三重づくり)」で取り組むことが不可欠です。
このため、これまでの改革を職員自身の内からの改革へと発展させることを目指して、行政システム改革のバージョンアップ(機能の充実・強化)に取り組んでいます。本年度は、昨年度実施した行政経営品質の外部診断結果を活用して行政運営の見直しを行うとともに、今後一年間の各部局・県民局のビジョン、政策課題、行政改革課題への取組などについての「平成12年度各部局・県民局『率先実行』取組」を作成し、各部局長のリーダーシップのもと各職員が率先実行し、その成果を年度末に評価する取組を行い、 Plan-Do-Seeのマネジメント・サイクルを確立し、成果志向の行政運営への転換をさらに進めていきたいと考えています。
(IT革命への対応)
情報・通信技術の飛躍的な発達に起因するIT革命は、従来の社会の枠組みをフラット化し、ネットワーク型社会へと移行させ、行政のあり方にも大きな変革をもたらしています。このような中で、情報ネットワークを活用した行政の効率化・高度化、住民サービスの向上、情報の共有化による協働の促進を目指した「電子県庁」の推進や、新しい情報産業の創出、障害者雇用を推進する「志摩サイバー・ベース・プロジェクト」などの施策を積極的に展開してまいりたいと考えています。
(スプリング・レビューの取組)
平成12年度の予算編成においては、スプリング・レビュー(春の業務見直し)として、早い時期から予算と仕事のやり方の両面から事務事業の見直しを進めたところです。
平成13年度においても、公債費が80億円近く増えるのをはじめ、義務的経費が増加することや、一方で、県税収入の大きな伸びが期待できないことなどから、厳しい予算編成が予想されます。
このため、本年度もスプリング・レビューとして、事務事業評価システムを活用して、事業実施後の評価を的確に検証するとともに、施策目的と基本事務事業との関連を検証し、平成13年度の予算編成に繋げることにより、事業の「量から質へ」の転換を図り、行財政の体質改善を図りたいと考えています。
(生活創造圏づくりの推進)
地方分権一括法の施行により、これまでにも増して、地域住民のニーズを迅速かつ的確に県政に反映するとともに、それぞれの地域がそれぞれの地域の実情に応じて、自主的な取組を進めることが期待されています。
このため、議員の皆様のご提案により制定していただきました「三重県生活創造圏ビジョン推進条例」の支援のもと、生活創造圏ビジョンを住民、NPO、市町村などの皆様とともに推進し、魅力ある生活創造圏づくりに取り組んでいきたいと考えています。
(職員労働組合との緊張感ある協働)
時代が大きく変革するなか、県民に説明責任を果たせる労使関係のもと、労使それぞれが自立性を確保しつつ、対等の立場に立って、オープンで建設的な議論を行い、様々な課題に協働して取り組む場として、「労使協働委員会」を設置し、生活者起点のより良い県政の実現を目指していきたいと考えています。
それでは、上程されました条例案等の諸議案について、その概要をご説明申し上げます。
地方分権の本格的な実践の時代を迎え、地方分権にふさわしい県と市町村の新たな協働の関係を構築するため、議案第6号は、三重県青少年健全育成条例をはじめ9条例の規定を整備するものです。
議案第1号及び議案第2号は、関係法律の改正等により、三重県環境衛生適正化審議会の名称等を変更するとともに、中山間地域についての規定を整備するため、また、議案第3号から議案第5号までは、関係法令の改正等により、県税の課税免除等の特例措置の規定を整備するため、さらに、議案第7号は、県立員弁高等学校の名称を変更するため、それぞれ関係条例を改正するものです。
議案第8号は、県営ほ場整備事業の施行に伴い、久居市と一志郡白山町との境界を変更しようとするものです。
議案第9号から議案第13号までは、いずれも工事請負契約を変更しようとするものです。
議案第14号は、四日市市が自治大臣に対して特例市の指定に係る申出をすることについて、同意するものです。
議案第15号は、県有施設の設置又は管理の瑕疵に起因して発生した事故について、損害賠償の額を決定し、和解をしようとするものです。
議案第16号及び議案第17号は、議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する事務について、三泗農業共済事務組合をはじめ11団体の事務の受託を廃止し、また、三泗鈴亀農業共済事務組合をはじめ4団体の事務の一部を受託するものです。
以上で、諸議案の説明を終わり、次に、報告事項についてご説明申し上げます。
報告第1号から報告第7号までは、議会の委任により知事が専決処分をしましたので、ご報告するものです。
報告第8号から報告第14号までは、平成11年度一般会計、特別会計及び企業会計のうち、翌年度へ繰り越した経費について、それぞれ繰越計算書を調製しましたので、ご報告するものです。
以上をもちまして提案の説明を終わります。
なにとぞ、よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。