平成30年定例会2月定例月会議の議案等の説明に先立ちまして、平成30年度における県政の展開方向について説明いたします。
(平成30年を迎えて)
平成30年は、「平成」という元号が1年を通して用いられる最後の年です。「平成」から次の時代に橋渡しをする節目の年であり、来たるべき次の時代の理想が込められた新しい元号について検討が進められることとなります。私は、この節目の年を、三重県の理想像を描く未来志向の年にしたいと考えています。
また、今年は明治維新、そして「北海道」の命名から150年です。北海道の名付け親は、三重県松阪市に生まれた松浦武四郎であり、今年生誕200年を迎えます。武四郎は北海道を6度も踏査し、明治政府の高官として北海道の郡名等の選定に携わりました。また、 吉田松陰をはじめ、明治維新へと時代を大きく動かした幕末の志士達と交流がありました。武四郎は理想の社会を追い求め、新たな国づくりに重要な役割を果たした郷土の偉人です。県民の皆様にも、武四郎の功績を再認識していただき、自分たちの住む地域の理想の姿に思いを致す1年にしていただきたいと思います。
(平成30年度の県政運営)
平成30年度は、みえ県民力ビジョン・第二次行動計画の計画期間の後半に入り、私の知事としての任期は最後の1年を迎えます。
「幸福実感日本一の三重」の実現に向けて、これまでの成果や課題を踏まえ、取組を加速させる必要があります。県民の皆様の明日への不安を取り除き、暮らしや経済が良くなっていくと実感できるように、また、将来世代も含め皆さんが夢や希望の実現に向けて前に進んでいけるように、財政が深刻な状況にあっても、安全・安心の確保に向けた取組を着実に進めるとともに、三重県の未来を切り拓くための攻めの取組に挑戦していかなければなりません。
こうした考え方のもと、持続可能な行財政運営に向けて「三重県財政の健全化に向けた集中取組」を着実に進める中で、六つの柱に沿った取組に注力し、県政を進めていきます。
(三重で学び働く)
三重県の有効求人倍率は、平成29年12月には1.67倍となるなど、近年は高水準で推移しており、労働力不足が深刻化しています。これまで以上に地域社会や産業を支える人材の育成・確保が重要となってきており、一つ目の柱として「三重で学び働く~人材育成・確保と働き方改革」に取り組みます。
働き方改革の第2ステージとして、先進的な企業の取組を拡大するため、労働力不足が深刻な業種等を対象に積極的な支援を行います。また、教育現場における働き方改革として、外部の人材を運動部活動指導員として新たに配置し、中学校・高等学校の部活動の指導に係る教員の負担軽減を図ります。
若者の働く場として第一次産業の魅力を高めるため、農業においてICTの活用による労働環境の改善や生産性の向上を促進します。水産業においては、経営体の協業化・法人化の取組を進めていきます。
後継者難による廃業や地域経済の損失を抑えるため、三重県の中小企業・小規模企業の円滑な事業承継に向け、「三重県事業承継支援方針」に基づき、経営者が事業承継に向けた早期準備の必要性を認識する「プレ承継」、事業承継計画の作成等の環境整備を行う「事業承継」、事業承継を契機として後継者が経営革新を進める「ポスト承継」の各段階に応じたきめ細かな支援を、各支援機関と連携しながら総合的・集中的に取り組みます。
また、農業をビジネスとして展開できる雇用力のある経営者等を育成する「みえ農業版MBA養成塾」を開設するとともに、次代の林業を担う人材を育成する「みえ森林・林業アカデミー」の来年4月の本格開講に向け、本年10月にプレ開講します。
南部地域へのU・Iターン就職を促進するため、小規模事業者等におけるインターンシップを複数市町が連携して推進する取組を支援します。
農林水産業の担い手確保や障がい者の社会参画の拡大に向けて、農林水産業と福祉の連携の取組を拡充します。農福連携では、「農福連携全国都道府県ネットワーク」の活動を通じた情報発信を強化します。また、林福連携を進めるため、福祉事業者と林業関係事業者とのマッチングなどに取り組みます。さらに、水福連携の本格展開を図るため、海上において障がい者が安全で効率的に作業を行うことができるプログラムを開発します。
子どもたちの夢や希望をかなえる学力を育むため、全国学力・学習状況調査やみえスタディ・チェックの結果等を踏まえ、課題に対応したチェックシート等の活用や実践推進校への学力アドバイザーの派遣による授業改善などに取り組みます。
小学校英語教育の早期化・教科化に対応し、英語教育を効果的に行えるよう、小中学校のモデル校を指定し実践研究を行います。また、数学的思考力を育成するWEB教材の研究・開発を民間企業と連携し進めるとともに、小学校で実践研究を行います。
子どもたちが多様性を尊重し、自己肯定感を高めることができるよう、小中学校において、アドバイザーの指導等を受けながら、考え議論する道徳の授業に取り組み、その成果を水平展開します。
農業に関する実践力を身に付け、経営者や地域の農業分野のリーダーとなり得る人材を育成するため、全ての県立農業高校で福島県の高校生とも交流しながら、国際水準のGAPに関する教育を推進します。また、工業高校専攻科や家庭科の生徒が国際的な感覚と広い視野を持つことができるよう、海外インターンシップを実施します。
県及び県内の全高等教育機関で組織する「高等教育コンソーシアムみえ」の運営体制の強化を支援することなどにより高等教育機関の魅力向上を図り、学生の県内定着につなげます。
(三重で育む)
家庭の経済状況により貧困の中で将来に希望を持てない子どもや、虐待やいじめにより苦しんでいる子どもなど、社会の支援を必要としている子どもたちがまだまだたくさんいます。このため、二つ目の柱として「三重で育む~全ての子どもが希望とチャンスをつかむ社会的支援」に取り組みます。
子ども・子育て施策については、医療・介護の社会保険制度のように社会全体で支える持続可能性の高い制度がない中で、取り組むべき課題が山積しています。三重県に暮らす子どもたちが、未来に向かって不安や葛藤を乗り越え、チャンスをつかみ、希望をかなえるために挑戦できるよう、持続的な支援を行うため「子ども基金」を創設し、企業も含めた社会全体で子どもたちを応援していきます。
生活困窮家庭の子どもの将来の自立を促進し、貧困の連鎖の防止を図るため、生活困窮家庭の中学生に加え、新たに高等学校を中退した人を含む高校生世代も対象として、学習支援や進路相談などを行います。
家庭の経済状況にかかわらず、子どもが安心して医療を受けることができるよう、一定の所得制限を適用した家庭の6歳までの子どもの医療費について、医療機関での窓口無料化に対応するため、市町に対する補助制度を拡充します。
里親制度の周知や里親への登録を促進するため、多くの里親が必要となる北勢地域を中心に、里親の普及啓発等を行います。また、里親の養育力のさらなる向上をめざした研修を実施します。
児童養護施設に入所する児童の自立支援に向けて、入所児童が退所後の進学や就職について、情報や助言を得て考える機会を提供するため、施設出身の大学生等をアドバイザーとして派遣します。
平成28年度の児童虐待相談件数の内、北勢児童相談所の件数は753件と全体の約6割を占めており、中でも鈴鹿・亀山地域は280件で中勢児童相談所の件数に迫る状況となっています。これまでも北勢児童相談所の体制を強化してきたところですが、虐待相談に対し、より迅速かつ的確に対応するため、来年4月を目途に鈴鹿・亀山地域を担当する児童相談所を新設する準備を進めます。また、児童虐待の重篤事案に対応するため、カナダ トロント市の警察や司法機関等の専門家による支援機関である「ブースト」を参考に、新たな児童相談ネットワークの構築を図り、多機関の連携を推進するとともに、子どもの権利擁護に取り組みます。
子どもたちが健やかに成長し、安心して生活できる社会をめざし、社会総がかりでいじめの問題を克服することが重要であることから、三重県いじめ防止条例案を今定例月会議に提出したところです。条例では、子どもを含めたさまざまな主体の役割等を位置付けるとともに、子どもたちが主体的に行動できるようになることを基本理念としており、いじめの防止について話し合う意見交換会や、弁護士と連携したいじめ防止授業を実施するほか、子どもたちの相談に幅広く対応するため、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)相談窓口を新たに開設します。
(三重を強く豊かに)
三つ目の柱は「三重を強く豊かに~防災・減災対策とインフラ整備」です。
昨年10月に発生した台風第21号・第22号では、県内各地で甚大な被害が発生しました。被災された皆さんが一日も早く普段の生活を取り戻せるよう、公共土木施設や農地、農業用施設、林道、治山施設等の災害について、国や市町、関係機関と連携し、引き続きスピード感を持って復旧に取り組みます。
「三重県防災・減災対策行動計画」に基づき、重点的に取り組む課題である「共助」の取組の活性化を図るため、みえ防災・減災センターやセンターに職員を派遣した市町、県が連携し、効果的な解決手法の検討や実践・検証等を行い、市町への水平展開を図ります。また、「三重県広域受援計画」に基づき、県と市町が一体となった災害時受援体制の構築を進めます。
台風第21号では、中小河川において氾濫などの甚大な被害が発生したことを踏まえ、過去に浸水被害が生じた箇所などに、新たに危機管理型水位計を設置するとともに、農地等の浸水被害を未然に防止するため、老朽化した排水機の更新等に取り組みます。また、九州北部豪雨では、急流河川などで大量の土砂や流木が発生し被害が拡大したことを踏まえ、土砂、流木捕捉効果の高い透過型砂防えん堤等の整備を進めます。
テロを許さない社会・地域づくりをめざすため、伊勢志摩サミットを契機に発足した「テロ対策パートナーシップ」を中核とした官民一体の取組を推進します。また、近年深刻化するサイバー空間の脅威から県民を守るため、県内企業や経済団体、教育機関等16の関係機関による産学官連携の枠組みを通じ、サイバーセキュリティ意識の向上等を図ります。
平成30年度には、新名神高速道路の県内区間全線や東海環状自動車道の東員インターチェンジ~大安インターチェンジ(仮称)間の開通が予定されており、これらも含め、引き続き高規格幹線道路等の着実な整備を促進します。また、農林水産業の競争力を強化するため、農業用水路のパイプライン化や林道の開設、拠点漁港における防波堤の延伸など生産基盤の整備に取り組みます。
2027年のリニア中央新幹線の東京・名古屋間の先行開業を見据え、その波及効果を県内において最大化するため、東海三県一市による情報共有や連携活動に向けた検討を行うほか、三重県への時間短縮による効果等の調査を行います。また、名古屋・大阪間の早期開業に向け、沿線の府県市、経済団体等と連携したJR東海への提案活動や国への働きかけ、広報・啓発活動を行います。
(三重で生きる)
誰もが住み慣れた地域で、質の高い医療・介護・福祉サービスを受けることができるよう、新たにスタートする「三重県医療計画」や「三重県がん対策戦略プラン」、「みえ高齢者元気・かがやきプラン」、「みえ障がい者共生社会づくりプラン」等に基づく取組を着実に推進する必要があり、四つ目の柱として「三重で生きる~安心を提供する医療・介護・福祉の充実」に取り組みます。
医師不足・偏在の解消を図るため、引き続き医師修学資金貸与制度の運用を図るとともに、若手医師のキャリア形成を支援する三重専門医研修プログラムの運用を行います。また、看護師の確保に向けて、再就業支援や働きやすい環境づくりを進めます。
患者の病態等により受診が困難な方に対する診療や指導を補完するため、タブレット端末等のICT機器を用いた遠隔診療の実証事業に取り組みます。
中山間地域などの医療・介護等のサービスが十分に確保できない地域では、保健・医療・介護・福祉の連携がより重要になることから、県立一志病院を中心とした多職種連携の取組成果を活用し、市町における人材育成等を支援します。
地域包括ケアシステムの一層の推進を図るため、地域ケア会議の立ち上げ・充実のための研修やアドバイザー派遣等を行います。また、介護人材の確保が喫緊の課題となっており、職場環境の改善に積極的に取り組んでいる介護事業所が社会的に評価される仕組みづくりや、介護職場における介護助手の導入・定着に向けた支援に取り組みます。
県民が主体的に健康づくりに取り組めるよう、市町における「健康マイレージ事業」の導入を推進します。また、糖尿病の発症予防・重症化予防に向け、身近な地域で予防等の支援に向けた指導ができる人材を育成し、生活習慣病対策を進めます。
障がい者の地域移行を進めるためのグループホームや日中活動の場の整備を促進するとともに、福祉型障害児入所施設にコーディネーターを配置し、過齢児の地域移行等を進めるなど、障がい福祉サービスの充実を図ります。
(三重で躍動する)
平成30年は「みえのスポーツイヤー」の2年目となります。平成最後の開催となるインターハイ「2018 彩る感動 東海総体」を成功させ、本年に開催が正式決定される3年後の三重とこわか国体・三重とこわか大会にしっかりとつなげるため、五つ目の柱として「三重で躍動する~人が輝くスポーツの推進」に取り組みます。
インターハイに出場する選手が最高のパフォーマンスを発揮することができるよう、会場地市町、関係団体等と連携し開催準備に万全を期します。また、三重とこわか国体・三重とこわか大会の開催に向けて、広報や宿泊施設の確保等の取組を強化します。さらに、東海三県で最初に実施される東京オリンピック・パラリンピックフラッグ歓迎イベントと、三重とこわか国体・三重とこわか大会開催決定イベント等を連携して行うことで、両大会を効果的にPRし、開催気運を盛り上げます。
三重とこわか国体での天皇杯・皇后杯獲得をめざして、ジュニア・少年選手の育成を図るとともに、国体後も継続して三重県の競技スポーツを担う人材の育成につなげるため、優れた指導者の養成と指導体制の構築に向け「チームみえ・コーチアカデミーセンター」の取組を開始します。また、トップアスリートが県内に定着できるよう、競技団体と緊密に連携しながら、就職を支援する取組を加速させます。
三重とこわか大会から正式競技となるボッチャについては、国内初となるボッチャの国際大会が3月15日から8日間の日程で伊勢市において開催されます。県としても、この大会を通じてボッチャの普及を図るとともに三重県の魅力を海外に発信していきます。
(三重が選ばれる)
伊勢志摩サミットの効果を今後も持続させるため、国内外の皆さんの三重県への関心をさらに高め、観光や投資、移住等のさまざまな分野で選んでもらえるよう、六つ目の柱として「三重が選ばれる~地域力・営業力のさらなる強化」に向けた取組に注力していきます。
インバウンドの拡大を図るため、市町や民間業者と連携し、ゴルフツーリズムの推進や外国客船の誘致、国際会議等MICEの誘致などの取組を進めます。また、日本を訪れる外国人旅行者の旅行ニーズを適切に把握するための実態調査を行うとともに、SNSを活用したキャンペーンなど情報発信の強化に取り組みます。台湾において「日台観光サミットin三重」5周年を記念したフェアを開催し、物産と観光のプロモーションを行います。
国内誘客を図るため、宿泊比率の高い関西圏にターゲットを絞ったキャンペーンを実施します。また、東紀州地域の観光地域づくりに向け、外国人アドバイザーの派遣による宿泊施設等における外国人対応の充実など、市町等によるインバウンド受入環境の整備等を支援します。また、伊勢志摩国立公園エコツーリズム推進協議会とも連携し、公園内のビューポイントの整備や地域資源の活用などを進めます。
移住を希望する方々に一人でも多く三重県を選んでいただけるよう、「ええとこやんか三重 移住相談センター」を中心に、引き続き、きめ細かな相談対応を行っていきます。また、市町や関係機関と連携し、多様な就労情報を掘り起こすとともに、ワークもライフも充実した三重での「暮らし方」の魅力を発信します。さらに、移住の決定に有効な、地域との交流につながる現地訪問への誘導を強化します。
東京オリンピック・パラリンピックを契機とした三重県産農林水産物の国内外での販売拡大をめざし、情報発信力の強い首都圏等のラグジュアリーホテルでの三重県フェアや関係事業者に向けたレセプションを開催するなど、戦略的なプロモーション活動を展開するとともに、海外との取引が有利に進められるよう、国際水準のGAP認証の取得拡大に取り組みます。また、三重県産の牛肉や伊勢茶、かんきつ等の農畜産物、日本酒について、それぞれターゲットとする地域をしぼった上で、海外展開の取組を強化していきます。
みえジビエのブランド力向上・消費拡大に向け、ICTを活用した捕獲強化や、捕獲から処理加工・流通に関わる事業者が一体となって、安全で高品質なみえジビエを安定的に供給する仕組みを構築します。
県内ものづくり企業の競争力の強化や付加価値額の増大につなげるため、県内中小企業・小規模企業の基礎技術力の向上を支援します。また、国・ジェトロ等と連携しながら海外ミッション等で構築したネットワークを活用し、外資系企業による県内への投資を促進します。
(組織改正等)
これらの注力する取組を効果的に実施していくため、県の組織体制を見直すこととしています。
地域包括ケアシステムの構築に向けた医療と介護の一層の連携や国民健康保険の財政運営に的確に取り組むとともに、子どもの貧困対策や社会的養護の推進、児童虐待の防止など、子どもをめぐる課題等により機動的に対応することができるよう、現行の健康福祉部を「医療保健部」と「子ども・福祉部」の2部に再編します。
また、平成30年は三重とこわか国体・三重とこわか大会が正式決定される年であり、両大会の開催気運を高めるとともに、本格化する準備・運営業務を円滑に推進できるよう、現行のスポーツ推進局を「国体・全国障害者スポーツ大会局」に改正し、体制を充実・強化します。
このほか、迅速な災害復旧やインフラ整備の推進、産業政策のさらなる展開等に向けて関連する組織改正等を行い、こうした課題に的確に対応していきます。
(三重県財政の健全化に向けた集中取組)
本県の財政状況は極めて深刻な状況にあることから、「三重県財政の健全化に向けた集中取組」に基づき、歳出構造の抜本的な見直しや、より一層の歳入確保に引き続き取り組みます。
歳出面では、あらゆる視点から成果と課題を検証したうえで、事務事業や県単独補助金の見直しを進めるとともに、県債発行の抑制に努め、県債残高を減少させていきます。また、徹底した業務の廃止などを行いながら職員数の見直しに取り組むとともに、国や他府県との均衡の観点から退職手当の見直しを行うなど、総人件費の抑制を図ります。さらに、維持管理費の抑制と県民サービスの向上の両面から、県有施設について、廃止・統合や民間活力の導入など、必要な見直しを進めます。
一方、より一層の歳入確保に向けて、未利用財産の売却のほか、クラウドファンディングの活用など、多様な財源の確保に引き続き努めます。
こうした取組を着実に進めることにより、財政の健全化に向けた道筋をつけられるよう、全庁を挙げてしっかりと取り組んでいきます。
(平成30年度当初予算のポイント)
このような平成30年度における県政の展開方向を踏まえた上で、平成30年度当初予算は、次の点を重視した予算としました。
まず、極めて深刻な財政状況の中にあっても、安全・安心の確保や未来を切り拓くための攻めの取組には予算を確保しました。中でも、防災・減災などの喫緊の対策に対応するため、投資的経費は抑制しつつも、公共事業については前年度を上回る規模を確保しました。さらに、子どもたちの未来のための取組やスポーツの推進などについても予算を重点化しています。
一方で、持続可能な行財政運営に向けて、「三重県財政の健全化に向けた集中取組」に基づき、事務事業を徹底的に見直すなど、歳出構造を見直しています。
また、「平成30年度三重県経営方針(最終案)」で「平成30年度に注力する取組」に位置付けた六つの柱については、重点的に取り組んでいきます。
(予算の規模)
以上のような考え方に基づき予算編成を行った結果、当初予算の額は、一般会計で、前年度1号補正後予算額と比べ0.9%減の6,968億889万3千円、特別会計で、75.6%増の3,553億5,081万6千円、企業会計で、3.1%増の396億1,603万円となり、三会計を合わせた予算額は、15.7%増の1兆917億7,573万9千円となっています。
まず、一般会計の歳入予算のうち主なものについて説明いたします。
県税収入について、地方消費税で、国内消費の回復基調による譲渡割の増や、国際的な原油価格の上昇に伴う貨物割の増が見込まれることなどから、県税収入全体としては、対前年度0.9%増の2,472億9,200万円を計上しています。
地方交付税について、国の平成30年度地方財政対策を踏まえ、対前年度0.8%増の1,393億5,000万円を計上しています。
県債について、「三重交通Gスポーツの杜 伊勢」など大規模施設の整備費の減などにより、前年度1号補正後予算額と比べ7.8%減の996億600万円を計上しています。
基金繰入金について、財政調整基金からの繰入の減などにより、前年度1号補正後予算額と比べ50.9%減の104億7,513万円を計上しています。
次に、議案第1号の平成29年度三重県一般会計補正予算(第8号)は、国の平成29年度補正予算(第1号)に対応し、第1次産業関連施設の整備や公共事業の追加などに係る経費について補正を行うもので、一般会計で149億2,154万4千円となっています。
歳入の主なものとして、国庫支出金について、公共事業関係で57億4,594万2千円を、合板・製材生産性強化対策事業費補助金で3億753万8千円を、それぞれ増額するなど、合わせて62億7,453万6千円を増額しています。また、県債について、補正予算債で79億4,200万円を増額するとともに、基金繰入金について、財政調整基金繰入金で2,171万7千円を増額するなど、合わせて2,804万6千円を増額しています。
歳出の主なものとして、国の補正予算に伴い、公共事業について、自然災害リスクが高い地域・施設等における防災・減災対策等を行うため、国補公共事業を88億1,101万3千円、国直轄事業を29億2,996万7千円、それぞれ増額するほか、第1次産業における競争力強化に向けた生産基盤の整備等を行うため、農業農村整備事業で25億8,107万3千円を増額しています。
地域材の競争力強化に向けて、合板工場に原木を安定的に供給する事業者に対して間伐材の生産や路網整備を支援するため、2億69万4千円、木材加工施設の整備を支援するため、1億684万4千円を、それぞれ増額しています。また、種子繁殖型イチゴ新品種の開発に向けて、農業研究所の研究施設を改修するため、7,563万6千円を増額しています。
次に、議案第2号から第8号までの補正予算は、人事委員会勧告に基づく給与改定に伴う人件費について、それぞれ補正を行うもので、各会計の補正額は、一般会計で10億7,213万5千円、特別会計で733万1千円、企業会計で2,192万5千円、それぞれ増額するものです。
(予算以外の議案等の概要)
次に、今回提案しています予算以外の議案は、条例案38件、その他議案17件の合計55件でありますが、その概要について説明いたします。
基金に関し、議案第26号は、子どもが生まれ育った環境に左右されず、豊かに育ち、自己実現を図ることを支援する事業並びに妊娠、出産及び子育てに資する事業に要する経費の財源に充てるため、三重県子ども基金を設置するものです。また、議案第39号は、政令に規定する後期高齢者医療財政安定化基金の拠出率を標準として条例で定める割合について改正を行うもので、議案第40号は、基金の設置目的を達成するための事業の実施期間の延長に鑑み、規定を整備するものです。
議案第27号は、住宅宿泊事業法に基づく、住宅宿泊事業の適正な運営の確保を図るために必要な規定を整備するものです。
議案第28号は、いじめ防止対策推進法の趣旨を踏まえ、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するため、基本理念を定め、県等の責務及び県民等の役割を明らかにするとともに、いじめの防止等のための対策の基本となる事項を定める条例を制定するものです。
議案第29号、第48号、第49号、第52号、第53号及び第61号は、関係法律の一部改正等に鑑み、規定を整備するものです。
議案第30号及び第32号は、組織機構の見直しに伴い、改正を行うものです。
議案第31号は、関係法律に基づき、知事の権限に属する事務の一部を市町が処理することについて改正を行うものです。
議案第33号及び第55号は、定数の見直し等に伴い、職員の定数について、それぞれ改正するものです。
議案第34号は、特別職に属する国家公務員の期末手当の支給割合等に鑑み、所要の改正を行うものです。
議案第35号は、県の厳しい財政状況を考慮し、知事等の給与を特例的に減ずるものです。
議案第36号及び第56号は、人事委員会の議会及び知事に対する平成29年10月11日付けの給与改定に関する勧告等に鑑み、所要の改正を行うものです。
議案第37号は、職員が特定大規模災害に対処するため災害応急作業に従事した場合等の特殊勤務手当の支給に関する規定を整備するものです。
議案第38号及び第57号は、民間における退職給付及び国家公務員の退職手当の支給の実情に鑑み、退職手当の額の引下げ等を行うものです。
議案第41号から第45号まで及び第54号は、関係政令の一部改正等に鑑み、手数料の規定を整備するものです。
議案第46号及び第47号は、関係法律の一部改正等に伴い、規定を整理するものです。
議案第50号は、寄附金を受け入れる特定非営利活動法人を加えるものです。
議案第51号は、伊賀市の都市計画区域の統合に伴い、規定を整理するものです。
議案第58号は、三重県立名張桔梗が丘高等学校及び三重県立名張西高等学校を廃止するものです。
議案第59号は、三重県立志摩病院において、通所リハビリテーション等を行うに当たり、使用料等についての規定を整理するものです。
議案第60号は、工業用水道事業の円滑な維持運営を図るため、工業用水の料金の額を改定するものです。
議案第62号は、関係法律の一部改正により、事業者の指定権限等が市町に移譲されることに伴い、三重県指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準等を定める条例を廃止するものです。
議案第63号は、関係法律の廃止に伴い、主要農作物種子のほ場審査等に関する条例を廃止するものです。
議案第64号は、包括外部監査契約を締結しようとするものです。
議案第65号及び第66号は、県の行う建設事業の経費に関し、関係市町に負担を求めようとするものです。
議案第67号から第70号までは、流域下水道の維持管理に要する経費に充てるため、関係市町の負担を定めようとするものです。
議案第71号から第73号までは、工事請負契約を締結又は変更しようとするものです。
議案第74号から第79号までは、損害賠償の額の決定及び和解をしようとするものです。
議案第80号は、議会の議決を要する計画を策定しようとするものです。
以上で諸議案の説明を終わり、次に、報告事項について説明いたします。
報告第1号から第22号までは、議会の委任による専決処分をしましたので、報告するものです。
報告第23号は、地方独立行政法人三重県立総合医療センターの常勤職員の数について、関係法律に基づき、報告するものです。
以上をもちまして提案の説明を終わります。
なにとぞ、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。