(平成25年度当初予算編成の考え方)
このような、平成25年度における県政の展開方向を踏まえた上で、平成25年度当初予算編成の考え方について説明いたします。
平成25年度当初予算は、「みえ県民力ビジョン・行動計画」の2年目として、行動計画に掲げた目標の実現に向けた取組を着実に推進することを基本方針とし、「平成25年度三重県経営方針(案)」を踏まえて、編成しました。あわせて、国の緊急経済対策を活用し、緊急かつ集中的に取り組むべき防災対策等を積極的に実施するため、平成24年度2月補正予算と一体的にとらえた14ヶ月予算として編成しました。
また、極めて厳しい財政状況の中、限られた財源を柔軟に無駄なく配分するため、新たな予算編成プロセスのもと、施策別財源配分制度の廃止や私と部局長による協議の充実等を通じて、注力すべきものには注力する一方で、厳しい優先度判断による事業の選択と集中を図りました。
とりわけ、「平成25年度三重県経営方針(案)」において、社会情勢の変化等に対応するため特に注力して取り組むこととした事業については、別枠で予算を確保するなど、「三重県のブランド力アップ~三重の魅力を大きく発信~」「地域を守る~防災・減災対策の推進~」「子どもを守る~児童虐待やいじめへの対応~」といった課題に的確に対応していきます。
一方、将来世代に負担を先送りしない、持続可能な財政運営を確立するため、可能な限り臨時財政対策債等を除く県債発行を抑制するとともに、総人件費の抑制を図るなど、財政健全化への取組を進めます。
(予算の規模)
以上のような考え方に基づき予算編成を行った結果、当初予算の額は、一般会計では、前年度当初予算と比べ0.8%増の6,749億4,562万2千円、特別会計で、23.9%増の1,817億5,522万9千円、企業会計で、5.8%減の390億8,780万1千円となり、三会計を合わせた予算額は、4.5%増の8,957億8,865万2千円となっています。
また、平成24年度2月補正予算は、一般会計で284億5,931万3千円となっており、平成25年度当初予算と合わせた14ヶ月の予算ベースでは、前年度当初予算と比べ5.1%増の7,034億493万5千円となっています。なお、基金積立金を除くと、一般会計で195億8,169万8千円となっており、平成25年度当初予算と合わせた14ヶ月の予算ベースでは、前年度当初予算と比べ3.8%増の6,945億2,732万円となっています。
このうち、まず、当初予算の一般会計の歳入予算のうち主なものについて説明いたします。
県税収入について、地方消費税が輸入額増による貨物割の増により増収となる見込みであるものの、法人関係税は円高水準が継続していた前年の実績に基づき申告されるため減収となることなどから、対前年度0.1%減の2,064億7,400万円を計上しています。
地方交付税について、国の平成25年度地方財政対策を踏まえ、2.6%減の1,352億円を計上しています。
国庫支出金について、地域経済活性化・雇用創出臨時交付金等の増により、10.5%増の768億2,276万8千円を計上しています。
県債について、新県立博物館整備等の減により、9.7%減の1,214億5,400万円を計上しています。
基金繰入金について、財政調整のための基金等からの繰入の増加により、63.8%増の391億149万3千円を計上しています。
なお、平成24年度2月補正予算の歳入予算のうち主なものは、国庫支出金について、公共事業関係で72億3,814万1千円、森林林業整備加速化・林業再生事業費補助金で28億7,414万5千円、緊急雇用創出事業臨時特例交付金で22億5,100万円を増額するなど、合わせて161億8,484万円を、県債について、公共事業関係で110億6,800万円を増額するなど、合わせて111億1,300万円を、それぞれ増額しています。
(主な取組)
次に、平成24年度2月補正予算と平成25年度当初予算を合わせた14ヶ月予算の主な取組について説明いたします。
「三重県のブランド力アップ~三重の魅力を大きく発信~」「地域を守る~防災・減災対策の推進~」「子どもを守る~児童虐待やいじめへの対応」といった課題への的確な対応としては、すでに述べた取組を、着実に推進していきます。
新たな仕組みの構築など諸課題への的確な対応としては、まず、「みえライフイノベーション総合特区」における取組を推進するため、総合特区地域協議会やみえライフイノベーション推進センター連絡会議を設置・運営するとともに、国内外の企業等に対する本特区の戦略的PR活動や海外連携、広域連携を促進します。また、新たな産業の創出の可能性調査を実施し、今後の戦略的な製品化促進プロジェクトを検討・実施します。
平成19年度に策定した「三重の文化振興方針」については、教育、産業、観光などの他分野との連携といった幅広い視点から今後の文化行政のあり方を検討し、外部の意見も幅広く取り入れながら、10年先を見据えた新しい指針を策定します。
新県立博物館については、平成26年春の開館に向けて、施設整備や広報活動を進めるとともに、MMM(みえマイミュージアム)プロジェクトなど県民参加型の取組や多様な主体との連携により、「みんなでつくる博物館」のための組織や運営の仕組みを構築します。
平成26年4月1日に導入する予定の「みえ森と緑の県民税」については、様々な媒体を用いた丁寧な周知を行うとともに、平成26年度に税収を活用した事業を迅速に展開できるよう、県による森林整備の事業予定地の調査、市町との協議等、必要な事前準備を行います。あわせて、賦課徴収に要する市町税システムの改修経費等を市町に対して交付します。
また、失業者の雇用の場を確保し生活の安定を図るため、緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用し、起業10年以内の事業者を主な対象に、地域資源を活用したサービスの提供などの活動を支援することにより事業拡大を促進し、雇用・就業機会の創出につなげていきます。
さらに、平成33年度に本県で開催する国民体育大会の運営経費については、多額の費用が必要と想定されるため、財政負担の平準化を図ることを目的として、三重県国民体育大会運営基金を新たに設置します。
次に、14ヶ月予算に計上しました「選択・集中プログラム」のうち、これまでに述べた取組以外の主な取組について説明いたします。
(緊急課題解決プロジェクト)
一つ目は、「緊急課題解決プロジェクト」についてであります。
「命と地域を支える道づくりプロジェクト」として、緊急時の救助・救援、災害時の復旧・復興を担う「新たな命の道」を確保するとともに産業活動や観光交流に伴い増加する交通需要に対応するため、幹線道路等の整備を進めます。また、紀伊半島のミッシングリンクとなっている未事業化区間、熊野大泊・新宮間の早期事業化に努めます。
「命と健康を守る医療体制の確保プロジェクト」として、医師の不足や偏在の解消を図るため、三重県地域医療支援センターにおいて、新たに県内の医師需給状況等の把握や将来推計を行うことにより、今後の重点化すべき施策を検討するほか、医師修学資金貸与制度の運用等の取組を通じて、若手医師等の県内定着を進めます。また、県内医療機関における看護職員不足の解消のため、病院内保育所の運営支援等に取り組むとともに、就労環境改善のためアドバイザーを派遣することなどにより、看護職員の離職防止、復職支援を行います。さらに、在宅医療の充実を図るため、市町の在宅医療連携体制の構築に向けた取組を支援するとともに、在宅医療・在宅看取りの普及啓発を行います。
「働く意欲が生かせる雇用確保プロジェクト」として、中小企業の新分野進出を促進するため、新たに首都圏営業拠点を活用したビジネスマッチング等による三重の若手経営者と首都圏の企業家との出会いの場の構築など人的ネットワークづくりに取り組みます。また、女性の就労を促進するため、相談支援等のほか、新たに女性経営者等との意見交換を行うなど就労につながる取組を展開します。
「家族の絆再生と子育てのための安心プロジェクト」として、子育ての不安感や負担感の軽減を図るため、参加体験型のプログラム「親なびワーク」を、児童虐待未然防止の観点も踏まえて、乳幼児の親を重点的な対象として、リニューアルします。また、放課後児童クラブの設置や運営に対して、市町の要望を踏まえ支援を行うとともに、市町が行う子ども医療費助成事業に要する経費について補助を行います。
「『共に生きる』社会をつくる障がい者自立支援プロジェクト」として、県民が障がい者と接したり交流したりする機会や場が乏しく、社会全体の障がい者雇用の重要性に対する理解が進んでいないことから、障がい者に対する理解と雇用の促進を図るため、調査・課題分析を行うとともに、経済・労働団体、行政、専門家等によりアンテナショップカフェ等新たな仕組みづくりの検討を行います。また、近年の発達障がい児に対する支援ニーズの増加に対して、身近な地域で、早期に適切な相談や療育が受けられるよう、医療、福祉、教育が連携して、個々の障がいや成長段階に応じた途切れのない発達支援を総合的に行う「こども心身発達医療センター(仮称)」の整備に向けて各種調査・設計を進め、工事に着手します。あわせて、同センターに併設して、県内の発達障がい児、肢体不自由児等の教育支援の拠点となる特別支援学校の新設に向けて、準備を進めます。
「三重の食を拓(ひら)く『みえフードイノベーション』~もうかる農林水産業の展開プロジェクト」として、もうかる農林水産業を実現するため、産学官の多様な主体による「みえフードイノベーション・ネットワーク」を推進し、さらなるプロジェクトの創出や県外からの来訪者を意識した商品づくりに取り組み、売れる新商品の開発を強化します。また、県産品の国内外での認知度向上、販路開拓を支援するため、県内事業者の商談や意見交換の場づくりを行います。さらに、台湾及びタイで物産展を開催し、海外への県産品の輸出拡大に取り組みます。
「日本をリードする『メイド・イン・三重』~ものづくり推進プロジェクト」として、中小企業の海外展開を支援するため中国及び東南アジア諸国連合(ASEAN)にビジネスサポートデスクを引き続き設置するとともに、公益財団法人国際環境技術移転センター(ICETT)のネットワークを活用した環境ビジネス展開支援の方向性を検討します。また、「三重県中小企業振興条例(仮称)」の制定に向けた調査検討を行います。
「暮らしと産業を守る獣害対策プロジェクト」として、集落ぐるみで獣害対策に取り組む地域を支援するため、地域リーダーの育成支援等を行うとともに、国の交付金を活用し侵入防止柵などの施設整備を促進します。また、集落ぐるみで行う追い払い活動に対して支援します。さらに、農林水産被害の低減に向けて野生鳥獣個体数を減少させるため、囲いわな方式によるサルの大量捕獲技術の開発を行うとともに、市町間連携によるニホンジカやイノシシの一斉捕獲の取組等を支援します。
「地域を守る産業廃棄物の不適正処理是正プロジェクト」として、住民の安全・安心を確保するため、産業廃棄物が不適正処理された事案のうち、桑名市五反田、桑名市源十郎新田、四日市市大矢知・平津、四日市市内山の四事案について、国の支援を得て行政代執行による環境修復事業に着手します。
(新しい豊かさ協創プロジェクト)
二つ目は、「新しい豊かさ協創プロジェクト」についてであります。
「未来を築く子どもの学力向上協創プロジェクト」として、県民総参加による学力向上の取組を充実するため、「まなびのコーディネーター」を活用して、地域の教育力を生かし、子どもたちの学びを地域で支える「みえの学び場」づくりを推進します。また、専門性の高い図書館司書の有資格者を派遣し、司書教諭や担任等に対して学校図書館を活用した授業の支援等を行うとともに、家族で読書を楽しむ「ファミリー読書」を推進します。さらに、フューチャー・カリキュラム実践研究委員会及び小中学校の教科別のプロジェクトチームを設置し、授業改善モデルの作成に向けた実践研究に取り組むとともに、授業改善モデルの普及を図るため、公開研究授業を行い、教職員の授業力向上をめざします。
「夢と感動のスポーツ推進協創プロジェクト」として、本県で行う国民体育大会やインターハイに向けた中長期的な競技力向上を図るため、指導者の資質向上やジュニア世代への働きかけを強化していきます。また、スポーツを地域の経済や観光の振興につなげる市町の取組や市町が開催するスポーツイベント等にメディカルサポートやトップアスリートを派遣するなどの支援を行い、地域スポーツの推進及び地域の活性化に取り組みます。さらに、全国障害者スポーツ大会の開催に向けては、障がい者スポーツの普及と機会の充実を図るとともに、全国大会等で活躍できるアスリートを育てるための環境づくりに取り組みます。
「スマートライフ推進協創プロジェクト」として、非可食性バイオマスを原料とした燃料や化成品を製造するバイオリファイナリーにかかる研究プロジェクト化をめざすため、コンビナート企業等と連携して研究会の設置を行います。また、木質バイオマス原料の安定供給体制を構築するため、供給事業者への設備支援等を行うとともに、平成26年度稼働予定の発電施設の原料需要に対応するため、未利用原木ストックヤードの確保を支援します。さらに、地域の活性化や災害時の電力確保を図るため、農業用水を利用した小水力発電施設の整備等を行います。
「県民力を高める絆づくり協創プロジェクト」として、県民の皆さんの参画を促し、NPO活動の促進を図るため、「夢をかたちにするまちづくり~『新しい公共』のヒント集~」の内容を広く、県民、NPO、企業、行政等へ周知するとともに、NPO等の実践活動発表会等を行います。また、平成26年の「美し国おこし・三重」県民力拡大プロジェクトに向けて、「プレ縁博みえ」などのプレイベントを実施します。
(南部地域活性化プログラム)
三つ目は、「南部地域活性化プログラム」についてであります。
南部地域への誘客を促進するため、複数市町が連携して取り組む幹線道路を活用した取組を支援します。また、若者世代の流出や少子化が著しい南部地域において、市町等が行う婚活支援の取組を支援します。さらに、南部地域の新たな雇用の創出を促すため、地域資源を活用した新しい事業展開や事業拡大を行う事業者に対し支援します。
最後になりますが、国の平成25年度地方財政対策において地方公務員給与費の減額等の措置が講じられたことに伴う歳入減については、当面の対応として、人件費においてその一部の予算計上を見送るとともに、財政調整基金の緊急対応分の一部を取り崩しています。一方、その給与削減額に見合った事業費として設定された特別枠のうち、地方交付税・臨時財政対策債で措置される「地域の元気づくり事業費」については、現時点で試算した相当額30億円を、財政調整基金に積み立てています。
(予算以外の議案等の概要)
次に、今回提案しています予算以外の議案は、条例案44件、その他議案11件の合計55件でありますが、その概要について説明いたします。
議案第20号は、県民の心身の健康の増進に寄与するため、三重県木曽岬干拓地わんぱく原っぱの設置及び管理について必要な事項を定める条例を制定するものです。
基金に関し、議案第21号は、第76回国民体育大会の円滑な運営に必要な経費の財源に充てるために、議案第22号は、災害に強い森林づくり及び県民全体で森林を支える社会づくりを推進する施策に要する経費の財源に充てるために設置するものです。また、議案第40号から第46号までは、基金の設置目的となる事業の実施期間や採択期限の延長に鑑み、規定を整備するものです。
議案第23号は、災害に強い森林づくり及び県民全体で森林を支える社会づくりを推進する施策に要する経費の財源に充てるため、三重県県税条例に規定する県民税の均等割の税率の特例を定めるものです。
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の施行による関係法令の一部改正等に鑑み、議案第24号から第31号までは、軽費老人ホーム等の設備及び運営等に関する基準等をそれぞれ定めるもので、議案第53号は、職業能力開発校において行う職業訓練等に関する規定を整備するもので、議案第63号は、「三重県風致地区内における建築等の規制に関する条例」を廃止するものです。
議案第32号は、関係法律に基づき、三重県新型インフルエンザ等対策本部に関し必要な事項を定めるものです。
議案第33号は、関係法律の一部改正に伴い、三重県情報公開条例等の規定を整理するものです。
議案第34号は、関係法律に基づき、知事の権限に属する事務の一部を市町が処理することについて改正を行うものです。
条例の一斉点検・見直しにより、議案第35号は、県統計調査に関する規定並びに県統計調査に係る調査票情報の二次利用及び提供に関する規定を、議案第39号は、警察職員を除く職員の救慰金の額等に関する規定を、議案第62号は、警察職員の救慰金の額等に関する規定を、議案第47号は、家畜商講習手数料についての規定を、議案第48号は、保健所手数料についての規定を、議案第52号は、みえ県民交流センターの利用に関する規定を、議案第54号は、学校の教室等の出入口等に関する規定を、それぞれ整備するものです。
議案第36号、第55号及び第61号は、定数の見直し等に伴い、職員の定数等について、それぞれ改正するものです。
議案第37号及び第56号は、人事委員会の給与改定に関する勧告等に鑑み、号級の切替えに伴う経過措置等の規定等を整備するものです。
議案第38号及び第57号は、民間における退職給付及び国家公務員の退職手当の支給の実情に鑑み、退職手当の額の引下げを行うものです。
議案第49号は、試験研究機関における試験項目の変更及び試験等の手数料の額を改定するとともに、公益上特に必要がある場合に使用料及び手数料の額の減免を行うことができるよう規定を整備するものです。
議案第50号は、関係政令の一部改正に鑑み、風俗営業許可申請手数料等についての規定を整備するものです。
議案第51号は、三重県介護保険審査会の公益を代表する委員の定数に関する規定を整備するものです。
議案第58号は、三重県総合文化センターの利用者の利便性の向上を図るため、施設の利用に関する規定を整備するものです。
議案第59号は、青蓮寺発電所及び比奈知発電所の譲渡並びに三重ごみ固形燃料発電所に係る電気の供給先の選定方法の見直しに伴い、規定を整理するものです。
議案第60号は、工業用水道事業の円滑な維持運営を図るため、工業用水の料金を改定するものです。
議案第64号は、包括外部監査契約を締結しようとするものです。
議案第65号、第66号及び第68号は、県の行う建設事業の経費に関し、関係市町に負担を求めようとするものです。
議案第67号は、国が行った土地改良事業の負担金の償還に要する経費に充てるため、市町の負担金を徴収しようとするものです。
議案第69号及び第70号は、工事請負契約を締結しようとするものです。
議案第71号は、県道の路線を廃止しようとするものです。
議案第72号及び第73号は、議会の議決を要する計画について、策定しようとするものです。
議案第74号は、公務災害補償等に関する事務の受託を廃止するための協議をしようとするものです。
以上で諸議案の説明を終わり、次に、報告事項について説明いたします。
報告第1号から第21号までは、議会の委任による専決処分をしましたので、報告するものです。
報告第22号は、地方独立行政法人三重県立総合医療センターの常勤職員の数について、関係法律に基づき、報告するものです。
報告第23号は、議会の議決すべき事件以外の契約等について、条例に基づき、報告するものです。
以上をもちまして提案の説明を終わります。
なにとぞ、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。