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平成20年11月26日

平成20年第2回三重県議会定例会 知事提案説明(追加提案・その7)

 平成20年第2回定例会11月会議の議案等の説明に先立ちまして、当面の県政運営についての考え方を申し述べます。

(米国発の世界金融危機とオバマ次期大統領)
 サブプライムローン問題に端を発し、リーマン・ブラザーズの破綻に象徴される米国発の金融危機は、ヨーロッパやアジア諸国をはじめ世界各国に連鎖し、世界規模の金融危機に拡大しました。アメリカ型の金融資本主義が、結果として全世界の実体経済に深刻な影響を及ぼしており、その拡大と長期化が懸念されるところです。
 10年近くにわたって米連邦準備制度理事会議長としてアメリカ経済を牽引してきたグリーンスパン氏が、金融資本主義は過ちであったと語っていましたが、アメリカ国民もこれまでの経済政策に「NO」をつきつけ、「変革」を掲げるバラク・オバマ氏を次期大統領として選択したところであり、今後の動向が注目されるところです。

(国内経済と経済対策)
 一方、我が国でも、この経済危機に連鎖して株価の乱高下や為替相場の急激な変動などの経済的な混乱が続いています。
 また、昨年末からの原油・原材料価格の高騰による影響等を含め、景気そのものの減速傾向が強まっています。
 このようななか、9月に発足した麻生内閣では、安心実現のための緊急総合対策として国費ベースで1.8兆円規模の事業を実施することに続いて、「生活者の暮らしの安心」「金融・経済の安定強化」「地方の底力の発揮」を重点分野とする国費ベースで5兆円規模の追加経済対策が打ち出されたところです。
 この対策のなかで、道路特定財源の一般財源化に際し1兆円を地方に交付することや、地方のインフラ整備のための交付金の創設など、地方を重視した対策を講じようとしている点を評価するところです。

(今後の国政の方向)
 私は、今回のアメリカ型の金融資本主義の背景にある市場優先の考え方は、我が国においても効率性や経済性を重視する流れを加速し、小さな政府論や改革を自己目的化する構造改革となって、地方の疲弊と格差問題の深刻化を引き起こした大きな要因の一つとして受けとめています。
 麻生内閣が、地方を重視するなど、これまでの政策路線を大きく転換するなか、中福祉中負担といった国のあり方を提示してきたことは、「この国のかたち」について議論する契機となったものと考えます。
 私としましては、今後の議論の深まりを期待するとともに、住民と向き合い、住民に身近な行政サービスを、住民の視点にたって提供する責務を有する地方の立場から、適切な地方行政の規模・あり方について積極的に発信していきたいと考えています。

 以上、国等の動向を踏まえ、私の考え方を申し述べましたが、次に今後、県政を展開する上で、留意して取り組むべき点について申し述べます。

(県内経済の状況)
 全国的な景気停滞懸念のなかにあって、本県においては平成19年の製造品出荷額の速報値が総額約11兆6,000億円となるなど、堅調に推移してきたところです。
 しかしながら、9月の県内の有効求人倍率が3年ぶりに「1.10」を下回るなど、直近の県内個人消費、企業の生産等のデータは総じて弱い動きを示しており、為替相場と国内外の消費の動向等によっては、さらに深刻な影響も懸念されることから、国の動向にも注視しつつ、県内の経済情勢をしっかり見きわめながら適切な対策を講じていきたいと考えます。

(「美(うま)し国おこし・三重」)
 「美(うま)し国おこし・三重」の取組につきましては、三重県基本計画について、真摯にご議論いただき、11月10日に議決いただいたところです。また、実行委員会においても基本計画の策定が行われたところです。今後は、基本計画に基づき、市町の主体性を尊重しながら多様な主体と一緒になって具体的な取組を進めてまいります。

(新県立博物館)
 新県立博物館については、9月から10月にかけて県内5か所で開催しました県民意見交換会やパブリックコメント、市町等の意見をふまえて取りまとめました基本計画最終案を今議会でお示しすることとしています。
 新県立博物館は、「文化と知的探求の拠点」として、三重の自然と歴史・文化に関する資産を保全・継承するとともに、県民の皆さんが地域の魅力を再発見し、地域への愛着と誇りを育む場となるものです。厳しい県の財政状況ですが、次代を担う三重の子どもたちを育み、未来を築いていくための投資であると考えています。
 今般、設計業務に着手するための補正予算を提出したところであり、新県立博物館の一日も早い開館に向けた取組を着実に進めていきたいと考えています。

(新型インフルエンザ対策)
 新型インフルエンザ対策については、県民の皆さんが正しい知識を持ち、的確で冷静に行動していただけるよう普及啓発を重ねるとともに、発生時の健康被害を最小限におさえるため、抗インフルエンザ薬などの備蓄や地域の医療体制の整備に取り組みます。
 さらに、万一発生した場合には、社会機能を維持することができるよう、全庁的な危機管理体制を整備していきたいと考えています。

(安全・安心の確保)
 安全・安心の確保につきましては、医師確保や救急医療の搬送などの医療の問題、事故米の流通や食品等への薬物の混入などの食の問題など、県民の信頼を揺るがせる事案が多発しています。
 県としては、県民の生命と健康を守ることが最も重要であるという認識のもと、問題の解消や改善に向けて関係機関と連携しながら、引き続き取り組んでいきたいと考えています。

(平成21年度当初予算編成の基本的な考え方)
 次に、平成21年度当初予算編成の基本的な考え方について説明いたします。
 本県の平成21年度の財政見通しは、歳入面では、景気が後退局面に入っており、平成20年度の法人二税は平成19年度を下回る可能性が極めて高くなっています。
 このため、平成21年度の県税収入は、平成20年度当初予算に対し減少することが見込まれる一方、地方交付税の見込みについても国の動向が不透明な状況となっています。
 また、歳出面では、社会保障関係経費の増加や、退職手当、公債費が今後も高い水準で推移することが見込まれるなど、県財政を巡る状況は厳しくなっています。
 平成21年度当初予算は、「県民しあわせプラン・第二次戦略計画」の3年目の年であることから、これまでの2年間の取組の成果と課題を見通したうえで、現下の厳しい財政状況を十分踏まえ、「重点的な取組」の見直しを行うなど、限られた行政経営資源のもと、さらなる「選択と集中」をより一層進め、メリハリのある予算にしたいと考えています。
 なお、今後も予算編成過程の情報を提供し、県民の皆さんや県議会と共有しながら、予算編成を行っていきたいと考えています。

(道路特定財源の一般財源化)
 また、10月末に出された国の追加経済対策においても、国が打ち出した地方重視の考え方に沿って、地方交付税の復元等について、しっかりと対応すべきものと考えています。このため、道路特定財源の一般財源化に際し交付される1兆円についても、現行の「地方道路整備臨時交付金」約7,000億円とは別枠で交付されるべきと考えています。
 私は、このことについて、11月19日の政府主催の全国知事会議において麻生総理に直接意見を申し上げたところであり、平成21年度予算編成に向け、引き続き、国に強く主張していきたいと考えています。
 以上が、当面の県政運営にあたっての考え方でございます。よろしくご理解、ご指導をいただきますようお願い申し上げます。

(議案等の概要)
 それでは、引き続き、上程されました補正予算15件、条例案15件、その他議案22件合わせて52件の議案について、その概要を説明いたします。
 議案第25号から第39号までの補正予算は、地方交付税及び県債などの歳入の増減や、国の補正予算等に伴う事業費の増減について、それぞれ補正を行うものです。
 各会計の補正額は、一般会計で26億3,387万1千円、特別会計で7億8,102万4千円をそれぞれ増額し、企業会計で10億8,986万円を減額するものです。

 まず、一般会計についてその概要を説明いたします。
 歳入の主なものとして、県税について法人関係税が減収する見込みなどから、20億5,100万円減額する一方で、法人関係税の減収を補てんするため減収補てん債を計上するなど県債について107億3,170万円を増額しています。
 また、繰越金について、平成19年度決算に伴い23億4,868万7千円を計上するとともに、地方交付税については、普通交付税の額の決定に伴い15億6,401万7千円を、基金繰入金については、財政調整基金の繰入金の減額などにより92億5,237万9千円を、それぞれ減額しています。
 歳出の主なものとして、公共事業等について、国の補正予算等に伴い44億417万5千円を増額するほか、地方消費税清算金について、都道府県間の清算に伴い22億2,500万円を増額しています。
 特別会計では、交通災害共済事業特別会計について5億6,102万8千円を増額し、また、企業会計では、水道事業会計について4億9,519万7千円、電気事業会計について3億2,015万4千円をそれぞれ減額しています。

 以上で補正予算の説明を終わり、引き続き条例案等の諸議案について説明いたします。
 議案第40号は、ふるさと納税制度に係る寄附金を適正に管理するための基金を設置するものです。
 議案第41号は、身体障害者及び知的障害者の相談機関として必要な機能を強化するため組織を統合し、「三重県障害者相談支援センター条例」を制定するものです。
 議案第42号から第44号まで及び第76号は、公立大学法人三重県立看護大学の設立に伴い、関係条例等を整備するものです。
 議案第45号及び第46号は、情報公開制度等の適正な運営を図るため、所要の改正を行うものです。
 議案第47号は、関係法律に基づき、知事の権限に属する事務の一部を市町が処理することについて改正を行うものです。
 議案第48号から第51号まで及び第75号は、関係法律の改正にかんがみ、所要の改正を行うものです。
 議案第52号は、港湾施設の管理の見直しに伴い指定管理者の指定等に関し、所要の改正を行うものです。
 議案第53号は、三重県立草の実特別支援学校を三重県立城山特別支援学校と統合して管理運営の一元化を図るため、所要の改正を行うものです。
 議案第54号は、産科医療補償制度の創設に的確に対応するとともに、使用料についての規定を整備するものです。
 議案第55号は、宝くじを発売することについて、平成21年度の発売総額など必要な事項を定めるものです。
 議案第56号から第60号までは、工事請負契約等を締結又は変更しようとするものです。
 議案第61号は、財産を取得しようとするものです。
 議案第62号は、損害賠償の額の決定と和解をしようとするものです。
 議案第63号から第74号までは、公の施設の指定管理者を指定しようとするものです。

 以上で諸議案の説明を終わり、次に報告事項について説明いたします。
 報告第24号から第33号までは、議会の委任による専決処分をしましたので報告するものです。
 以上をもちまして提案の説明を終わります。
 なにとぞ、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 総務課 企画調整班 〒514-8570 
津市広明町13番地(本庁3階)
電話番号:059-224-2056 
ファクス番号:059-224-3170 
メールアドレス:soumu@pref.mie.lg.jp

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