平成20年第1回定例会6月会議の議案の説明に先立ちまして、ミャンマーのサイクロン、中国四川省を震源とする大地震で尊い命を奪われた皆様に深く哀悼の意を表します。
避難生活を余儀なくされた方をはじめ、被災者の皆様に、こころからお見舞いを申し上げますとともに、県としましても、市町とともに国からの救援物資等の要請に応えていきたいと考えています。
また、三重県におきましても東海・東南海・南海地震の発生が危惧されているところであり、今後、取組を一層充実していきたいと考えています。
続きまして、当面の県政運営についての考え方を申し述べます。
(国政の状況)
私は、地球規模での環境問題や食糧問題、国と地方を取り巻く危機的な財政状況や税財源をめぐる構造的な問題、地域間格差をはじめとするさまざまな格差問題、医療や年金といった社会保障のあり方をめぐる問題など、国内外の重要課題が山積していることを、たいへん憂慮すべきことと受けとめており、国難ともいえる状況にあるのではないかと感じています。
このような状況にいたる背景、本質としては、経済や社会のグローバル化、人口減少、社会の成熟化といった構造的な時代の変化が進んできていることにあるのではないかと考えています。世の中のあり様が大きく変化するなかで、今求められているのは、国民が将来への希望を持ち、安心して暮らすことのできる、この国の姿を明らかにすることであり、本県としても生活に密着した地域の視点に立って、積極的に提言、発信していきたいと考えています。
一方、本年7月に開催される北海道洞爺湖サミットの主要課題の一つである地球環境問題に対応するため、世界全体の温室効果ガスを2050年までに半減することや、産業、部門別に温室効果ガスの削減に取り組む「セクター別アプローチ」の構築など、論点が明らかになりつつあります。G8サミットの議長国として政府の役割を十分発揮し、国際社会の協力のもとに、地球規模での取組につなげていただくよう期待しているところです。
(第二期地方分権改革)
次に、第二期地方分権改革については、地方分権改革推進委員会から、5月30日に第一次勧告が内閣に提出されました。
今回の第一次勧告をみると、国と地方の役割分担の基本的な考え方や、国から地方への大幅な権限移譲の方向性が明確に打ち出されており、その考え方や方向性については評価していますが、具体的な内容は多くが年内に予定されている第二次勧告以降に先送りされています。
これまでの委員会審議で明らかになったように、今回の分権改革に対しての各府省の姿勢は総じて後ろ向きであり、勧告内容の実現に向けて政府として真摯に取り組んでいただきたいと考えています。
また、ナショナルミニマムを担保するための制度や仕組、国民の生命・財産を守る観点からの大規模災害発生時などにおける国の役割、完全自治体としての「地方政府」を確立するための行財政基盤の整備とその道筋などについても、さらに議論を深めることが必要であると考えています。
(道路特定財源)
次に、道路特定財源の問題につきましては、1か月の暫定税率失効によって生じた歳入の減収分について、国の責任で早急かつ確実に補填するよう要望しているところです。
また、今後の道路特定財源の一般財源化等の改革については、地方における必要な道路整備のための安定的な財源が確保されることを前提としたうえで、地方の道路整備のニーズや厳しい財政の状況を十分踏まえること、特に、地方における道路整備は、道路特定財源だけでは不十分なため、一般財源と地方債も活用して事業を行っている実態等に十分配慮し、税源移譲を含めた地方税財源の充実強化を図ることを強く求めているところです。
以上、国等の動向を踏まえ、私の考え方を申し述べましたが、次に今後、県政を展開する上で、留意して取り組むべき点について申し述べます。
(平成20年度の取組)
昨年の7月には、県政を取り巻くさまざまな課題に的確に対応し、県民の皆さんの生活の質を高めていくため、第二次戦略計画を策定しました。そして、みえ経営改善プラン(改定計画)の推進にあわせて、「文化力」に基づく政策を、「新しい時代の公」にふさわしい進め方で展開する「質の行政改革」を本格的に推進することによって、厳しい財政状況においても、公共サービスの水準の維持、質の向上が図れるよう取り組んでいます。
本県の経済は、北勢地域を中心に引き続き活発な設備投資が行われるなど、好調な企業活動に加え、平成19年の観光入り込み客数が伊勢志摩、東紀州地域を中心に伸びたことで、前年比3.2%増の3,397万人となり、実質的に平成6年に次ぐ高い数字を記録するなど、全体として着実に元気になってきており、ワクワクドキドキの三重の未来づくりに向けて、チャンスが拡がっていると感じているところです。
本年度は、県民しあわせプランの実現に向け、今まで以上に取組を本格化する「行動」の年度、「具体化」の年度と位置付け、変化する状況に的確に対応しながら、県政を推進していきたいと考えています。
(こども政策の新しい展開)
その一つとして、本年度設置したこども局では、これまで取り組んできた「子育て支援」に加え、子ども自身の「育つ力」を育む「子育ち支援」を子ども政策の柱として位置付けたところです。子どもたちの思いをしっかり受けとめ、社会全体で子どもの育ちを支援できるよう取組を進めてまいります。
(美(うま)し国おこし・三重)
また、「美(うま)し国おこし・三重」については、平成20年2月に設立した、多様な主体で構成する「美(うま)し国おこし・三重」実行委員会において、基本構想を具体化する基本計画を策定しているところであり、今会議に県としての基本計画中間案(素案)をお示しいたします。
その後、議会でのご議論等を踏まえたうえで、さらに市町や地域づくり関係者など、多様な主体との意見交換も行い、第2回定例会9月会議に県としての計画を議案として提出したいと考えています。
(新県立博物館)
次に、新県立博物館については、平成19年度に策定した「新県立博物館基本構想」をもとに、本年度は、魅力ある博物館として具体化するための「新県立博物館基本計画」を策定します。今後、検討状況や内容をご報告しながら、議会や県民の皆さまとともに検討を進め、9月会議には中間案、11月会議には最終案としてお示ししていきたいと考えています。
(石原産業への対応)
なお、今般、石原産業株式会社に関して、虚偽報告や無届出など多数の違法行為が次々に明らかになってきたことは、極めて遺憾であり、改めて同社に対して強い憤りを感じています。県としては引き続き、監視指導を一層強化するなど、四日市市や国の関係機関とも連携し、厳しく対処してまいります。
(議案等の概要)
以上、特に留意すべき点について、申し述べましたが、引き続き、上程されました補正予算1件、条例案5件、その他議案6件合わせて12件の議案について、その概要を説明いたします。
議案第86号の一般会計補正予算は、福祉医療費助成制度の改正であり、乳幼児医療費補助金については、通院分医療費の補助対象年齢を4歳未満から義務教育就学前までに拡大し、障がい者医療費補助金については補助対象に精神障害者保健福祉手帳1級所持者の通院分医療費を新たに追加し、一方で、乳幼児、障がい者及び一人親家庭等医療費補助金において入院時食事代を補助対象外とする制度改正を行うものです。
この制度改正により、1億9,486万9千円増額し、補正に要する財源として、財政調整基金からの繰入金を計上しています。
また、この歳入歳出予算のほか、三重県交通安全研修センターにかかる指定管理期間の更新に伴う債務負担行為を設定しています。
以上で補正予算の説明を終わり、引き続き条例案等の諸議案について説明いたします。
議案第87号は、知事の権限に属する事務の一部を市町が処理することについて改正するものです。
議案第88号は、関係法律の一部改正等にかんがみ、手数料についての規定を整備するものです。
議案第89号は、農村地域工業等導入地区として指定された地区における県税の特例措置を延長するものです。
議案第90号は、県立高等学校の配置及び規模の適正化を図るため、新たに伊賀市に高等学校を設置するものです。
議案第91号は、県民の多様な医療ニーズに的確に対応するため、使用料についての規定を整備するものです。
議案第92号から第97号は、滞納県税を徴収するための訴えを提起しようとするものです。
以上で諸議案の説明を終わり、次に、報告事項について説明いたします。
報告第37号から第39号までは、議会の委任による専決処分をしましたので、報告するものです。
報告第40号から第49号までは、平成19年度一般会計、特別会計及び企業会計のうち、翌年度へ繰り越した経費について、それぞれ繰越計算書を調製しましたので、報告するものです。
報告第50号は、議会の議決すべき事件以外の契約等について、条例に基づき、報告するものです。
以上をもちまして提案の説明を終わります。
なにとぞ、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。