平成19年第4回定例会の開会にあたり、議案等の説明に先立ちまして、当面の県政運営についての私の考え方を申し述べます。
(食の安全・安心の確保)
まず、先般の菓子業界における法令違反の件について、県内の菓子製造事業者による不正が相次いだことを遺憾に思うとともに、県民の皆様に、行政に対する不信と食に対する不安を与えたことに、改めておわび申し上げます。
10月22日に、副知事を本部長とする「食の安全・安心確保危機対策本部」を立ち上げ、監視体制の整備、県の組織・システムの再構築、「食の安全・安心に関する県民の信頼確保のためのガイドライン」の作成などに取り組み、県民の皆様の食の安全・安心に対する信頼の回復に努めているところです。
また、この一環として菓子業界に対し緊急実態調査を行ったところであり、この調査結果を踏まえ、今後、菓子業界に対し必要な指導等を行っていきます。
(地方を取り巻く動き)
さて、地方をめぐる国の動きについてですが、11月16日に地方分権改革推進委員会が発表した「中間的なとりまとめ」において、自治事務に関して、原則として国の義務付け、枠付けを廃止することや、国道や河川など、国が担っている事務事業のうちの一部を地方に移譲すること、国対地方の税源配分を見直し、税収比1対1を目指すことなどが盛り込まれました。また、経済財政諮問会議においても、地方税のあり方や、地方と都市がともに支えあう活性化策等について議論が進められています。
これまでの国の財政再建を優先した地方交付税の大幅な縮小などにより、地方はすでに疲弊し、危機的な財政状況にあります。こうした状況から早く抜け出すため、地方における財源の充実強化や地域間格差の解消に向けて、国としてその責務を果たし、しっかり対応していただくよう強く求めていきます。
その上で、格差社会といわれるようなさまざまな課題を地域社会全体として受けとめ、誰もが社会的に孤立せず、支えあうことを基本とした社会の構築に向けた取組を進め、県全体が一層元気になるようしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
(県内経済の状況)
次に、県内経済の状況については、北勢地域を中心に引き続き活発な設備投資が行われ、好調に推移しています。
平成18年の工業統計調査(速報)では、県内の製造品出荷額は、前年に比べ14.1%増加し、10兆7,885億円になり、初めて10兆円の大台を超え、全国10位となっています。
今後、本県のさらなる産業振興をめざして、知識集約型産業構造への転換を力強く推し進めていきたいと考えています。その一環として、加工組立産業と素材・部材産業との連携によるイノベーションを誘発するため、平成19年度中を目途に、最先端の研究開発から中小企業の課題解決支援、人材育成までを1か所で行う「高度部材イノベーションセンター」の整備を進めているところです。
去る11月18日から24日まで、グレーター・ナゴヤ・イニシアティブ協議会の派遣団長としてドイツに出向き、日本の“ものづくり”の拠点としての東海地方の技術の高さをPRしてまいりました。
あわせて、中小企業の技術支援や人材育成に、産学官が連携して取り組んでいる、トリアー単科大学とフラウンホーファー研究機構などを視察してきたところであり、このような取組を参考にしながら、「高度部材イノベーションセンター」の効果的な整備を含め、今後の産業政策に取り組んでいきたいと考えています。
(美(うま)し国おこし・三重)
また、自立・持続可能な地域づくりをめざす「美(うま)し国おこし・三重」については、県議会をはじめ市町、県民の皆様のご意見などを踏まえ、基本構想策定委員会で基本構想を策定していただき、11月15日に私に答申をいただいたところです。
この答申を受けて、県としての「美(うま)し国おこし・三重」基本構想(案)を策定いたしましたので、今議会でお示しすることとしています。
今後、県議会でのご議論等を踏まえ、市町や地域づくり関係者、企業、有識者など、多様な主体が一体となった推進 組織を立ち上げ、基本構想の確定や啓発など具体的な取組を進めていきたいと考えています。
(新博物館)
一方、博物館については、県議会においても熱心に議論され、 10月18日に「新県立博物館整備にかかる基本的考え方」を提言いただいたところです。現在、文化審議会において、「三重の文化振興方針(仮称)」とともに、「新博物館のあり方」について検討いただいており、今議会中に、その素案をお示しすることとしています。今後、県議会での議論をはじめ、県民の皆様のご意見を踏まえ、さらに検討を深めていきたいと考えています。
(平成20年度当初予算編成の基本的な考え方)
次に、平成20年度当初予算編成の基本的な考え方について説明いたします。
本県の平成20年度の財政見通しは、歳入面では、景気が回復していることから、県税収入の伸びは見込まれるものの、地方交付税等の削減により、一般財源の総額は抑制傾向にあることに加え、財政調整基金等の基金残高が底をつきつつあるなど、歳入の確保について非常に困難な状況にあります。
一方、歳出面では、社会保障関係経費の増加や、退職手当、公債費が今後とも高い水準で推移することが見込まれるなど、県財政を巡る状況はさらに一段と厳しくなっています。
平成20年度当初予算は、「県民しあわせプラン・第二次戦略計画」の2年目の年として、戦略計画に定める事業を着実に推進し、目標の達成を目指すとともに、喫緊の課題にも対応していくため、限られた行政経営資源のもと、「選択と集中」をより一層進め、メリハリのある予算にしたいと考えています。
なお、今後も予算編成過程の情報を提供し、県民の皆様や県議会と共有しながら、予算編成を行っていきたいと考えています。
(県組織の見直し)
また、今議会では、平成20年4月の組織見直しに向けて、部制条例及び行政機関設置条例の改正案を提出しています。今回の見直しは、第二次戦略計画の的確な推進、地方分権等に伴う県の役割の変化、わかりやすく簡素で効率的・効果的な組織体制の整備、という 3つの視点を踏まえ、県の政策が着実に展開できる組織体制とすることを目的としています。
本庁については、現在の生活部を生活・文化部と改め、生涯学習を含めた総合的な文化施策を推進するとともに、健康福祉部にこども局を設置し、青少年育成等も含めてこどもに関する施策を総合的に進めていきます。また、科学技術振興に関する事務を政策部から農水商工部に移管し、行政課題やニーズに即応した研究開発、普及、移転を一層効率的、効果的に進めていきます。
また、地域機関については、平成20年4月に四日市市が保健所政令市に移行することに伴い、四日市保健所、四日市食肉衛生検査所及び四日市保健福祉事務所を廃止します。
以上が、当面の県政運営にあたっての考え方であります。よろしくご理解、ご指導をいただきますようお願い申し上げます。
(議案等の概要)
それでは、引き続き、上程されました補正予算14件、条例案17件、その他議案18件合わせて49件の議案について、その概要を説明いたします。
議案第1号から第14号にかかる補正予算は、地方交付税及び県債などの歳入の増減や、国庫支出金の額の確定に伴う事業費の増減などについて、それぞれ補正を行うものです。
各会計の補正額は、一般会計で24億217万6千円、特別会計で 6億2,313万5千円、企業会計で10億113万6千円をそれぞれ減額し、三会計の補正額合計は、40億2,644万7千円の減額となります。
まず、一般会計についてその概要を説明いたします。
歳入の主なものとして、県債について、法人事業税が減収する見込みから、減収補てん債を計上したことなどにより32億6,700万円を増額しています。また、繰越金について、平成18年度決算に伴い23億2,143万7千円を計上しています。
一方、地方交付税について、普通交付税の額の決定に伴い27億8,296万2千円を減額し、同じく国庫支出金について、公共事業関係補助金の確定などにより11億5,245万2千円、基金繰入金について、財政調整基金の繰入金の減額などにより53億1,598万4千円をそれぞれ減額しています。
歳出の主なものとして、人件費について、一般職員の給与改定などにより18億 6,708万6千円を増額しています。また、特別支援学校の児童生徒増に伴い、スクールバスを整備する経費として3,800万円、鳥羽市の離島航路定期船整備に対する支援として2,710万8千円をそれぞれ計上しています。
一方、公共事業等については、国庫補助金の確定や事業計画の変更などにより8億3,356万6千円を減額しています。
これらの歳入歳出予算のほか、債務負担行為並びに地方債の追加及び変更とともに、繰越明許費を提出しています。
次に、特別会計及び企業会計のうち主なものについて、説明いたします。
特別会計では、中小企業者等支援資金貸付事業等特別会計について2億3,598万1千円、流域下水道事業特別会計について1億4,369万2千円、港湾整備事業特別会計について1億3,838万4千円をそれぞれ減額しています。
企業会計では、水道事業会計について7億7,560万9千円、病院事業会計について1億623万2千円をそれぞれ減額しています。
以上で補正予算の説明を終わり、引き続き条例案等の諸議案について説明いたします。
議案第15号、第21号、第22号及び第28号から第30号までは、関係法律の一部改正に伴い、規定の整備等をするものです。
議案第16号及び第18号は、平成20年度の組織機構の見直しに伴い、部の名称等及び行政機関の設置等に係る規定の改正を行うものです。
議案第17号及び第23号は、四日市市が保健所政令市に移行すること等に伴い、関係条例の改正を行うものです。
議案第19号、第20号、第26号及び第27号は、人事委員会の給与改定に関する勧告等にかんがみ、所要の改正を行うものです。
議案第24号及び第25号は、県営住宅から暴力団員を排除するため、入居の資格等についての規定を改正するものです。
議案第31号は、「三重県生活創造圏ビジョン推進条例」を廃止するものです。
議案第32号は、宝くじを発売することについて、平成20年度の発売総額など必要な事項を定めるものです。
議案第33号から第40号までは、いずれも工事請負契約を締結または変更しようとするものです。
議案第41号は、財産を取得しようとするものです。
議案第42号は、道路改良事業の土地売買契約に関連し、損害賠償を請求する訴えを提起しようとするものです。
議案第43号から第49号までは、公の施設の指定管理者を指定するものです。
以上で諸議案の説明を終わり、次に、報告事項について説明いたします。
報告第1号から第12号までは、議会の委任による専決処分をしましたので、報告するものです。
報告第13号は、議会の議決すべき事件以外の契約について、条例に基づき、報告するものです。
以上をもちまして提案の説明を終わります。
なにとぞ、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。