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平成17年11月29日

平成17年第4回三重県議会定例会 知事提案説明

 平成17年第4回定例会の開会にあたり、ただいま上程されました議案の説明に先立ち、当面の県政運営につい
ての私の考え方を申し述べます。

(フェロシルト問題への対応)
 まず、県民の皆様のみならず、関係県の住民の皆様が不安を感じる事態となっていますフェロシルトの問題
ですが、我が国を代表する大手化学会社の企業倫理にもとる話であり、真に残念であるとともに、強い憤りを
覚えています。県としましては、廃棄物処理法の違反の容疑で告発をいたしましたが、捜査結果も踏まえなが
ら、事実の解明に取り組んでまいります。
 今後は、まず施工現場から安全かつ速やかに撤去を実施させ、適正に処分させるほか、リサイクル製品の認
定のあり方について、フェロシルト問題検討委員会や県議会等のご意見を踏まえ、県として検証した上で適切
に対応し、県としての責任を果たしてまいります。
 フェロシルトのほかにも、不法投棄されたまま放置されている産業廃棄物や、アスベストなどの問題が相次
いで発覚しています。成熟社会の下での経済活動のあり方が改めて提起されていると感じており、環境と経済
の両立を掲げ、ごみゼロ政策に取り組んでいる三重県として、県民の皆様の不安を取り除くことができるよう
に鋭意努めてまいります。
 なお、今回の事件で、ごみ固形燃料(RDF)や環境保全事業団の廃棄物処理センター事業に引き続き、環
境先進県として取り組んできた施策、事業から問題が生じるということになり、私としては、就任以来、繰り
返し申し上げてきた危機管理の重要性を改めて強く認識したところです。そこで、みえ行政経営体系の中で、
県政のマネジメントのベースとして位置付けてきましたが、この際、さらに有効に機能するように見直しを行
っていきたいと考えています。

(平成18年度当初予算編成の基本的な考え方)
 続きまして、平成18年度当初予算編成の基本的な考え方について説明いたします。
 本県の財政状況は、県税収入について、景気が回復基調にあることから、法人関係税を中心に増収が見込ま
れるものの、地方交付税の総額が抑制される方向にあるなか、財政調整基金の残高が減少しているなど、歳入
の確保については楽観視できない状況にあります。
 一方、歳出面では、団塊の世代の退職金の増嵩や、公債費が今後も高い水準で推移することが見込まれるな
ど、県財政を巡る状況は一段と厳しくなっています。
 このような背景のなか、平成18年度当初予算編成にあたっては、「県民しあわせプラン・戦略計画」の仕上
げの年として、戦略計画に定める事業を着実に推進し、成果の達成を目指します。
 また、喫緊の課題にも対応していくため、「選択と集中」をより一層進め、限られた財源の重点的・効率的
な配分を行うことにより、メリハリのある予算にします。
 そのため、新たに「重要課題対応枠」を設け、「平成18年度県政運営方針(案)」を踏まえた重点的な配分
を行っていくなど、今がチャンスである事業を的確にとらまえて、県政の発展につなげていきたいと考えてい
ます。
 平成18年度は、県財政の健全化に向けた集中取組期間の最終年度として、引き続き歳入歳出の両面からより
一層の財政の健全化を図っていくとともに、将来にわたって持続可能な財政運営の確立に向けて、中長期的展
望に立った予算編成とします。
 なお、今後も予算編成過程の情報を提供し、県民の皆様や県議会と共有しながら、予算編成を行っていきた
いと考えています。

(県組織の見直し)
 次に、今議会では、平成18年4月の組織見直しに向けて、部制条例及び行政機関設置条例の改正案を提出して
おります。今回の見直しは、地方分権、市町村合併の進展、厳しい行財政状況など、県を取り巻く環境の変化
を踏まえ、県の政策が効果的、効率的に展開できる組織体制とすることを目的としております。
 本庁については、現在の総合企画局、総務局及び地域振興部を、政策部及び総務部の二つの部に再編しま
す。
 政策部は、地域主権の社会を実現していくため、広域自治体としての政策形成と市や町の主体性を尊重する
政策の推進によって県政を先導する部、総務部は、全体最適の観点から、みえ行政経営体系による県政運営を
統括し、県政の方向付けに沿った経営資源の配分を担う部として位置付けています。
 また、地域機関については、県民局制度を廃止し、これまでの現場機能を基本とした事務所制に変更したい
と考えています。それぞれの事務所は、地域において必要とされる県民サービスを提供する第一線の機関と位
置付けています。

(文化力指針の中間案)
 次に、「みえの文化力指針(仮称)」についてですが、今議会で中間案を提示したいと考えています。
 戦後、我が国は、経済成長を最優先の目標として取り組んだ結果、世界有数の経済大国となり、物質的な豊
かさや便利さを手に入れました。
 しかし、変化には光と陰の部分があるように、あまりに競争原理や効率性を追い求め過ぎた結果、人々の絆
や連帯感の希薄化、いじめや自殺といった心をめぐる問題の顕在化など、社会のひずみも深刻になってきてい
ます。
 また、本格的な人口減少社会の到来や、産業における知識情報化の加速、環境問題の深刻化など、時代は
今、大きく変わってきており、これまでの発展を支えてきた量的な拡大・成長を基本とする考え方は行き詰ま
りを見せています。
 このような中で、文化の持つ意義を考えたとき、豊かな心や感性を育む、地域社会の絆や基盤を形成する、
さらには産業活動の創造性も高めるなど、大変大きなものがあると言えるのではないでしょうか。これまでの
経済偏重の考え方を改め、経済力と文化力のバランスのとれた社会へと転換することが必要なのではないかと
考えます。
 そこで、文化力指針では、「文化」を、「生活の質を高めるための人々のさまざまな活動及びその成果」と
幅広くとらえたうえで、文化の持つ多様な力を総合したものを「文化力」と位置付け、この文化力を高め、生
かしていくことが新しい地域社会の再生、創造につながるものとしています。
 三重県には、先人が築いてきた多様で豊かな文化資源があります。この資源を最大限活用しながら、文化力
を高め、生かして、人々のこころを元気にする、地域の元気を回復する、産業をより元気にする、この「三つ
の元気」で、県民の皆様がしあわせを実感できる「元気な三重づくり」を進めていきたいと考えています。
 今後、県議会でのご議論、県民や市町村の皆様のご意見をいただきながら、今年度中に「みえの文化力指針
(仮称)」としてまとめ、県民しあわせプランの基本理念である「みえけん愛を育む“しあわせ創造県”」を
具体化していくために、次期戦略計画の考え方の基本に位置付けていきたいと考えています。

(県内経済の動向)
 最後に、県内経済の状況ですが、引き続き民間企業の進出や設備投資が好調で、北勢地域では工場用地の不
足が懸念されるほどです。
 また、燃料電池など新たな産業集積を促進する取組を積極的に続けており、去る11月9日には三重県水素エネ
ルギー総合戦略会議を立ち上げたところです。
 雇用や消費の指標を見ても、全国有数の明るい状況が続いており、チャンスを最大限に生かせるように、引
き続き産業振興を図っていきたいと考えています。

 以上が、当面の県政運営にあたっての考え方であります。よろしくご理解、ご指導をいただきますようお願
い申し上げます。

 それでは、引き続き、上程されました補正予算12件、条例案16件、その他議案29件合わせて57件の議案につ
いて、その概要を説明いたします。
 議案第1号から第12号にかかる補正予算は、県税や地方交付税等の歳入の増減、国庫支出金の額の確定に伴う
事業費の増減などについて、それぞれ補正を行うものです。
 各会計の補正額は、一般会計では20億7,579万6千円の減額、特別会計では1億2,814万1千円の増額、企業会計
では7億4,944万9千円の減額であり、三会計の補正額合計は、26億9,710万4千円の減額となります。

 まず、一般会計についてその概要を説明いたします。
 歳入は、県税について、法人県民税や法人事業税の増額などにより88億5,700万円、県債について85億4,700
万円をそれぞれ増額しています。また、繰越金について、平成16年度決算に伴い49億505万2千円を計上してい
ます。
 一方、地方交付税について、普通交付税の額の決定に伴い27億6,094万5千円、国庫支出金について、社会福
祉施設整備費補助金、生活保護費負担金などにより5億9,022万円、基金繰入金について、県債管理基金などか
らの繰入金の減額により208億33万1千円をそれぞれ減額しています。
 歳出は、県有施設の吹付けアスベスト等の処理を行うための経費として3億5,181万7千円、公共事業等につい
て国庫補助金の確定や事業計画の見直しなどにより23億8,944万7千円をそれぞれ増額する一方、金融対策事業
について、県単融資制度貸付金の預託額の減額等により14億1,782万5千円、特別養護老人ホーム整備事業費補
助金について、国交付金の額の確定に伴い5億7,359万1千円をそれぞれ減額しています。
 これらの歳入歳出予算のほか、債務負担行為の設定並びに地方債の追加及び変更をしています。
 次に、特別会計及び企業会計のうち主なものについて、説明いたします。
 特別会計では、港湾整備事業特別会計について6億3,678万7千円を増額し、流域下水道事業特別会計について
5億7,250万7千円を減額しています。
 企業会計では、水道事業会計について2億106万8千円を減額し、電気事業会計について2億2,963万3千円を増
額し、病院事業会計について7億8,349万7千円を減額しています。
 以上で補正予算の説明を終わり、引き続き条例案等の諸議案について説明いたします。
 平成18年度の県組織の見直しに伴い、議案第13号は部の名称等を、第15号は行政機関の設置等に係る規定を
それぞれ改正するものです。
 市町村合併の進展に伴い、議案第14号は、知事の権限に属する事務の一部を市町村が処理することについて
改正するものであり、第27号は警察署の名称等について改正するものであり、第28号は、規定を整備するもの
です。
 議案第16号から第18号まで、第23号及び第24号は、人事委員会の給与改定に関する勧告等にかんがみ、規定
を改正するものです。
 議案第19号は、三重県地域交通体系整備基金について効率的な運用を図るため、規定を改正するものです。
 議案第20号及び第22号は、関係法律の一部改正に伴い、規定を整備するものです。
 議案第21号は、三重県交通安全研修センターの管理を指定管理者に行わせることについて、規定を整備する
ものです。
 議案第25号は、県立高等学校の配置及び規模の適正化等を図るため、度会高等学校などを廃止するととも
に、名称を変更するものです。
 議案第26号は、県立看護大学の授業料について、国及び他の都道府県の看護系大学の授業料の額との均衡を
考慮し、改定するものです。
 議案第29号は、宝くじを発売することについて、平成18年度の発売総額など必要な事項を定めるものです。
 議案第30号から第37号までは、いずれも工事請負契約を締結または変更しようとするものです。
 議案第38号から第43号までは、議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する事務について、受
託し、もしくは受託を廃止しようとするものです。
 議案第44号から第57号までは、県が管理委託している公の施設について、平成18年4月から指定管理者制度を
導入することに伴い、指定管理者の指定を行うものです。

 以上で諸議案の説明を終わり、次に、報告事項について説明いたします。
 報告第1号から第16号までは、議会の委任による専決処分をしましたので、報告するものです。
 報告第17号は、議会の議決すべき事件以外の契約について、条例に基づき、報告するものです。

 以上をもちまして提案の説明を終わります。
 なにとぞ、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 総務課 企画調整班 〒514-8570 
津市広明町13番地(本庁3階)
電話番号:059-224-2056 
ファクス番号:059-224-3170 
メールアドレス:soumu@pref.mie.lg.jp

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