新型コロナウイルスを取り巻く国内外の状況は刻一刻と変化し、深刻さを増しています。本県においては、感染経路や濃厚接触者は特定できているものの、3月30日からの5日間で新たに4人の感染者が確認されているほか、国内の一部には、「緊急事態宣言」に至る前のギリギリ持ちこたえている、あるいは医療供給体制が逼迫しつつあると指摘される地域もあるなど、全く予断を許さない状況が続いています。
県内では現時点で感染源が追えない患者は発生しておらず、新規の感染者数も一定程度の増加幅に収まっていることから、4月1日に開催された専門家会議で示された「感染確認地域」にあたると考えられますが、これまで以上に強力に県民の皆様と一致団結して感染拡大防止に立ち向かうにあたり、県民の皆様に以下の点について、ご理解ご協力をお願いしたいと思います。
(1 「3つの『密』」の回避について)
1点目は、引き続き、「密閉、密集、密接」の「3つの『密』」を徹底的に回避してください。
他県において発生している最近のクラスターの傾向は、病院内感染、高齢者・福祉施設内感染、海外への卒業旅行、夜の会合の場、合唱・ダンスサークルなどで、いずれも「3つの『密』」に該当するものです。
また、他県では、病院や福祉施設においてクラスターが発生し、規模が拡大するケースが見られますので、施設関係者の皆様は一層の感染対策を行っていただくとともに、利用者で重症化しやすい方々もいらっしゃいますので、面会者、出入業者の方々も含めて、感染予防対策の徹底を改めてお願いします。
(2 イベントの自粛について)
次に、専門家会議で「感染確認地域」において避けるべき行動の一つとして、「屋内で50名以上が集まる集会やイベントへの参加をお控えいただく」と示されましたので、その点の徹底もお願いします。
これをふまえ、県主催のイベント開催基準も見直します。
また、県民の皆様が主催されるイベント等で、そのイベント自体は屋外で開催されるものであったとしても、これまでの専門家会議での指摘にもありますが、イベント等の前後で「3つの『密』」が発生する可能性があったり、感染が拡大している地域からの参加者を含む可能性がある場合には、感染者がひとたび発生すれば、クラスターが発生したり、急激な感染者の増加を生むこともありますので、開催することが適切なのか慎重に検討してください。
(3 県外との往来について)
3点目は、本県で感染が確認されている方については、その多くが県外で感染し、三重県内で発症したと考えられることから、県民の皆様には大変ご不便おかけいたしますが、感染が拡大している地域への不要不急の出張や訪問等を控えていただくことの徹底のお願いです。
引き続き、年度初めで人の往来が多くなりうる今週から来週にかけては、3月30日の呼びかけで申し上げた8都道府県(東京都、大阪府、北海道、愛知県、兵庫県、千葉県、神奈川県、埼玉県)について、直近でも新規感染者数が増加していることや感染経路不明の患者もみられることから、これらの地域への不要不急の出張や訪問等を控えていただくとともに、8都道府県に在住のご家族や友人、仕事関係の方などに対し、不要不急の三重県への帰省や出張、来訪等を控えていただく働きかけをお願いしたいと思います。
また、それらの地域に移動した場合であっても、専門家会議でも指摘されているように、人混みを避けるとともに、特に、「3つの『密』」がより濃厚な形で重なる、カラオケ、ライブハウス、バー、ナイトクラブ等の場所への外出は、接触感染等のリスクも高いため、控えていただければと思います。
さらに、8都道府県以外であっても、それぞれの地域で首長等から外出自粛等が呼びかけられている地域もありますので、それらの情報を確認した上で、呼びかけに沿った行動をお願いします。
企業の皆様におかれましても大変ご迷惑をおかけいたしますが、先に述べた事象等を回避するためにも、テレワークや時差出勤、在宅勤務など多様な手段の積極的な活用についてもご検討をお願いいたします。
感染拡大がみられる地域から県内に転勤や出張等で来られた方も、ご自身の健康管理の徹底とともに、不要不急の外出を控えたり、マスク着用を徹底するなど、感染拡大防止にご協力いただきますようお願いいたします。
(4 若い世代の皆様へ)
4点目は、大学生をはじめ、若い世代の皆様の行動変容のお願いです。
三重県でこの5日間で発生した感染者はいずれも20代、30代、40代です。また、東京都では、3月25日から4月1日までに感染が確認された416人のうち、およそ4割が30代までの若い世代です。
若い世代の方々は、ウイルスに感染していても気づかないケースがあり、無意識のうちに高齢の方や基礎疾患をお持ちの方に感染を拡げてしまうことも考えられます。「自粛疲れ」やストレスもあるかと思いますが、皆さんの行動の一つ一つが命を救うことにつながることを改めてご認識いただき、身近なご家族を守る行動をお願いいたします。
(5 「デマ」拡散や差別・偏見の根絶について)
5点目は、「デマ」拡散や差別・偏見の根絶です。
県としては、県民の皆様が自主的に対策を取るうえで重要な「リスク情報」については、個人情報に関する部分に最大限配慮しつつ、三重県独自の判断として、随時、早急かつ丁寧に公表を行ってきました。これまでも個人への偏見や差別につながる行為や人権侵害、誹謗中傷等を絶対に行わないようお願いしてきたところですが、特に今回、鈴鹿市で確認された10例目に関して、SNS等において、憶測によるデマや誤った情報の拡散、個人や企業への誹謗中傷等が見受けられます。
行政による発表は、事実や根拠を調査してから発表するため、一定の時間を要する場合もあり、皆様の不安にタイムリーにお応えできていない時もあります。私達も、引き続き、県民の皆様へ迅速かつ正確な情報発信を行うために最大限努力してまいりますが、県民の皆様におかれましても、正しい情報に基づいて行動すること、根拠が不明な情報の拡散はしないことにご協力ください。
とはいえ、「デマかどうかわからない」というケースもそもそもあるかもしれません。その際には、行政の発表や報道などを確認して判断していただく、または判断がつかない場合はそもそも拡散をしないようにしていただければ幸いです。
私達は今、ウイルスという見えない敵と戦っています。それに加えて、さらに「デマ」という見えない敵を増やして、地域に不安や混乱を増長させても、誰にもなんらプラスやウイルスとの戦いの収束につながりません。
(6 学校の再開について)
最後に、県教育委員会から発表のありました県立学校の再開についてです。
私に対しても、学校再開を望む声、不安に思われる声の両方をお届けいただきました。それらについては、真摯に受け止め、検討を重ねてまいりました。
三重県が、専門家会議が休校延長などを示唆する「感染拡大警戒地域」ではなく、「感染確認地域」にあたることもふまえ、学校内での感染予防対策を万全にすることはもとより、満員電車を避けるための時差通学等も活用し、学校の実情に応じた形できめ細かな対策をとるなど、子ども達の命と健康を守りながら、学びの継続に向けて県立学校を再開していきます。
しかしながら、中には、どうしても通学することに不安のある方もいらっしゃると思います。その場合は遠慮なくその不安をおっしゃってください。学校において、生徒一人ひとりの気持ちに寄り添って、仮に通学しない場合でも、不利にならないような対応をとることを徹底します。
他方、県立学校においては、市町を越えて通学している生徒が多い実態をふまえ、鈴鹿市内の県立学校に加え、鈴鹿市内から通学する生徒が多い、四日市市、三重郡、亀山市、津市内の高等学校27校および特別支援学校8校において、学校の再開を 4月13日(月)まで延期します。
しかし、これらの地域すべてにおいて、リスクが高まっているということでは決してなく、現時点の判明している事実をふまえ、感染を拡大させるリスクを軽減するという観点から行うものであり、教職員をはじめとする子どもたちに関わるすべての大人が、いじめや偏見につながらないよう子どもたちをしっかりと見守っていただきたいと思います。
新型コロナウイルス感染症は、いつ、どこで、誰が感染するか、わかりません。県といたしましても、学校の再開延長など、状況に応じて柔軟かつ的確に対応するとともに、あらゆる施策を総動員し、今一度本県が持つ「県民力」を発揮し、先の見えない不安や厳しい状況についても「オール三重」で乗り越えていけるよう、高い緊張感を持ちつつ強い決意で取り組んでまいりますので、県民の皆様におかれましても、ご理解、ご協力いただくよう、よろしくお願いします。
令和2年4月3日
三重県知事 鈴木 英敬
三重県知事 鈴木 英敬