健康サポート薬局について
はじめに
患者が医薬分業のメリットを十分に感じられるようにするためには、日頃から患者と継続的に関わることで信頼関係が構築され、薬のことについて、いつでも気軽に相談できるかかりつけ薬剤師がいることが重要です。そして、かかりつけ薬剤師がその役割を発揮できるようにするため、薬局は、業務管理や構造設備の確保、品質管理等を適切に行うことが求められています。こうした状況を踏まえ、厚生労働省では検討会を設置して、地域包括ケアシステムの中で、かかりつけ薬剤師・薬局が、地域住民による主体的な健康の維持・増進を支援することを行うことに関する基準やその公表の仕組みについて議論し、平成27年9月に「健康サポート薬局のあり方について」を取りまとめました。
そして、平成28年2月、厚生労働省は「健康サポート薬局のあり方について」の内容を踏まえ、かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能に加え、国民による主体的な健康の保持増進を積極的に支援する(以下「健康サポート」という。)機能を備えた「健康サポート薬局」の基準(平成28年厚生労働省告示第29号)(以下「基準告示」という。)、その基準に適合する場合における健康サポート薬局である旨の表示及び公表のルールを定めました。
健康サポート薬局とは
健康サポート薬局とは、かかりつけ薬剤師・薬局の「基本的な機能」を有し、地域住民による主体的な健康の維持・増進を「積極的に支援」する薬局を指します。健康サポート薬局は、安心して立ち寄りやすい身近な存在として、地域包括ケアシステムの中で、多職種と連携して、地域住民の相談役の一つとなって、地域住民の健康意識を高め、健康寿命の延伸に貢献します。健康サポート薬局の基準について
健康サポート薬局の基準は、土台となる「かかりつけ薬局としての基本的機能」と上乗せ機能となる「積極的な健康サポート機能」が求められます。1 かかりつけ薬局の基本的機能
(1) かかりつけ薬剤師選択のための業務運営体制(2) 服薬情報の一元的・継続的把握の取組と薬剤服用歴への記載
(3) 懇切丁寧な服薬指導及び副作用等のフォローアップ
(4) お薬手帳の活用促進
(5) かかりつけ薬剤師・薬局の普及促進
(6) 24時間相談対応
(7) 在宅対応
(8) 医療機関に対する疑義照会と服薬情報の提供等
(9) 受診勧奨(2健康サポート機能 (1)①と同じ)
(10) 医師以外の他職種との連携(2健康サポート機能 (1)②と同じ)
2 健康サポート機能
(1) 地域における連携体制の構築
① かかりつけ医との連携と受診勧奨
② 連携機関の紹介
③ 地域における連携体制の構築とリストの作成
④ 連携機関への紹介文書による情報提供
⑤ 関連団体等との連携及び協力
(2) 常駐する薬剤師の資質
(3) 相談窓口の設置
(4) 健康サポート薬局である旨の表示
(5) 要指導医薬品等,介護用品等の取扱い
(6) 一定時間の開店
(7) 健康サポートの取組の実施
健康サポート薬局に係る届出等について
(1)健康サポート薬局の表示について
薬局開設者は、健康サポート薬局である旨の表示をするときは、その薬局を基準告示に適合するものとしなければなりません。
(2)健康サポート薬局の表示に係る届出について
薬局開設者は、健康サポート薬局である旨の表示をするときは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」という。)第10条に基づく変更届に基準適合を明らかとする書類を添えて、事前に、その薬局の所在地を管轄する保健所に届出を行わなければなりません。
(3)健康サポート薬局の公表等について
健康サポート薬局である旨の表示の有無は、医薬品医療機器等法第8条の2の規定により、薬局開設者がその薬局の所在地の都道府県知事に報告等を行わなければならない事項とし、規則別表第1の第1の項第3号に追加されました。
薬局開設者は(2)の届出を行った後に健康サポート薬局である旨の表示をするときを含め、健康サポート薬局である旨の表示の有無に変更が生じたときは、医薬品医療機器等法第8条の2の規定により、速やかに、その薬局の所在地を管轄する保健所に報告等を行わなければなりません。
資料
省令改正(平成28年厚生労働省令第19号)
基準告示(平成28年厚生労働省告示第29号)
運用通知(平成28年2月12日薬生発0212第5号)