北勢福祉事務所において、生活保護費(おむつ代)の私費による支払いや、被保護世帯から提出された
収入申告書の未処理などの不適切な事務処理が判明しました。
1 経緯
・ 平成31年4月17日、県内の医療機関から北勢福祉事務所へ、平成31年2月4日医療機関の口座に振
り込まれた12,914円の入金理由及び、平成29年以降の未払いのおむつ代の入金予定について電話照会
があり、北勢福祉事務所において調査しましたが、県の支出記録はなく、また、未払いのおむつ代が
あることも把握していませんでした。
・ 平成31年4月18日、平成28年4月から平成31年3月まで北勢福祉事務所において生活保護を担当し
ていた課長補佐級職員(以下「当該職員」という。)に電話で問い合わせたところ、医療機関からの
請求はあったかもしれないが覚えていない旨の回答でした。
・ 平成31年4月23日、医療機関から北勢福祉事務所へ、前日(4月22日)医療機関の口座に80,456
円の入金があったと連絡がありました。
・ 平成31年4月25日、北勢福祉事務所が医療機関を訪問し聴き取りを行ったところ、新たに県の支出
記録がない63,017円の入金が平成30年4月3日にされていることが判明しました。
・ 北勢福祉事務所では、当該職員が担当していた被保護世帯の関係書類やロッカーを調べたところ、
未処理の収入申告書や請求書が見つかりました。
・ この事態を受けて、すべての県福祉事務所において同様の不適切な事務処理がされていないか確認
することとし、5月末を期限として、北勢福祉事務所を含む4つの県福祉事務所において私費払いの
有無や収入申告書及び請求書を点検するとともに、当該職員が北勢福祉事務所の前に勤務していた所
属において当該職員が関わった経理関係書類を点検しました。
・ このほか、当該職員を呼んで3回の聴き取りを行い、当該職員が担当していた被保護者が入院して
いた9つの医療機関に対し、不審な入金がないか調査を依頼しました。
・ 以上の点検・調査の結果、不適切な事務処理は、北勢福祉事務所における当該職員のもののみで、
下記2のとおりでした。
2 不適切な事務処理の概要
不適切な事務処理は、当該職員にかかる以下の3点であり、北勢福祉事務所において、ご迷惑をおか
けした相手方(医療機関1か所、被保護者9名)に対し、令和元年5月31日までに謝罪と聴き取りを終
えました。
(1)医療機関への私費による支払い
当該職員が担当する被保護者の入院中のおむつ代として、平成31年2月4日の12,914円、平成
31年4月22日の80,456円、平成30年4月3日の63,017円、計156,387円を私費により支払いま
した。
(2)未処理の収入申告書
当該職員は、担当する被保護者の収入申告書6名24件215,860円を受け付けしながら、その処理
を怠りました。
(3)未処理の請求書
当該職員は、担当する被保護世帯の請求書3名7件46,131円を受け付けしながら、その処理を怠
りました。
3 原因
・ 当該職員への聴き取りでは、平成28年度の着任当時、おむつ代の支給には医師の要否意見書が必要
であることを知らず、支払いが滞ってしまったことや、平成30年度末に自身の異動が見込まれる中処
理を急ぎ、私費で支払えばなかったことにできると思ったことを供述しています。
・ 事務が停滞していることについて、上司への相談・報告が適切に行われておらず、所属として不適
切な事務処理がされていることを把握できていませんでした。
・ 被保護世帯、医療機関等から提出(送付)される書類(収入申告書や請求書)の管理を担当者個人
が行っており、所属での管理となっていませんでした。
4 今後の対応
上記2に掲げる不適切な事務処理により生じた、被保護世帯への生活保護費の過不足や医療機関へ
のおむつ代の支払い等について、早急に手続きを進め、追加給付・返還を行います。
5 再発防止策
・ おむつ代等にかかる請求書や各種収入申告書等、被保護世帯や医療機関等から提出される書類の受
付・管理方法の見直し、査察指導員や所長によるチェックや新人教育のあり方の見直しを行います。
・ 具体的には、①被保護世帯や医療機関等から提出される書類を担当個人のスペースで管理させず、
査察指導員ほかの職員がいつでも確認することができる場所で管理するようにします。②所長と査察
指導員は、査察指導簿に基づき担当者から定期的に指導援助の状況について聴き取りを行います。
③地域福祉課主催による新任職員研修を行います。①②について、三重県の「生活保護査察指導の手
引」の見直しを行います。
(参考)
○ おむつ代
常時失禁状態にある患者(介護施設入所者を除く。)等が紙おむつ、布おむつ、貸しおむつ又はおむ
つの洗濯代を必要とする場合に、生活保護費の一時扶助により支給されます。
○ 査察指導員
福祉事務所において所長の指揮監督を受けて生活保護ケースワーカーの指導監督を行う職員(県福祉
事務所の生活保護担当課長)