特別支援学校では、食べる機能に障がいのある児童生徒一人ひとりに合わせた、ペースト食等の形態食を
給食として提供しています。本県の特別支援学校の給食においては、特に肢体不自由のある児童生徒への形
態食は、各学校に在籍する児童生徒の状況に応じ、それぞれ独自の方法で提供されてきました。そこで、各
学校の実情に応じた対応に向けて参考となるよう、令和3年4月に「県立特別支援学校における個別対応食
ガイドブック検討委員会」を発足し、食べる機能を育み、食べ物の味を感じながら、食事を通してコミュニ
ケーションを図り、情緒の発達を促すため、「個別対応食(形態食)」の事例をとりまとめ、ガイドブック
を作成しました。
1 ガイドブックの内容
(1)特別支援学校における個別対応食の基本的な考え方
食べる機能の発達段階には、唇・舌・歯・顎(あご)等の部位で、つぶす・噛む・飲み込むといった
ものがあり、学習することによって獲得していきます。その発達段階に合わせた、軟らかさや大きさ、
適度の粘り(トロミをつける)といった食形態に基づき、個別対応食を厨房において「調理」したり、
食堂等において「食事介助」します。
(2)個別対応食の実施体制
保護者からの聞き取りを丁寧に行い、校内関係教職員の連携、主治医等医療関係者の助言を得て行い
ます。
(3)給食の提供と留意点
繊維質の多い野菜や口の中にはりつきやすい海藻、水分の少ないパン等の、提供において注意が必要
な食材、また、食べる機能の発達段階に応じた個別対応食の種類とその調理方法、必要な調理機器・器
具を確認し、献立作成等に役立てます。
(4)個別対応食の衛生管理
適切な場所での調理及び食事介助を行い、調理機器・器具の洗浄、調理従事者や食事介助者の健康
チェック・手指洗浄を行います。
(5)給食時における緊急時対応
個別対応食提供にあたって注意しなくてはならない、誤嚥(ごえん)や窒息、食物アレルギーについ
て配慮し、対応します。
2 本ガイドブックの活用について
児童生徒一人ひとりに応じた個別対応食を提供するには、情報を正しく把握し、その食形態を決定して
いかなくてはなりません。また、食べる機能の成長にあわせて調整していく必要があります。特別支援学
校においては、本ガイドブックを活用し、今後、各校が情報共有を行って共通理解を図ります。
市町の小中学校においては、特別支援学校とは学校給食施設設備や人的配置といった条件が異なります
ので、それぞれの施設に応じた提供に向けて、本ガイドブックを活用していきます。
3 今後について
県立特別支援学校や、市町教育委員会事務局等に9月中に配付します。また、市町教育委員会事務局等
から、所管する各学校へ随時送付されます。