令和6年6月25日に三重県いじめ調査委員会から知事に答申された提言をふまえ、次のとおり再発防止に向けて取り組んでまいります。
1 経緯
令和2年5月に発生した県立高校におけるいじめの重大事態事案について、高校が設置した
第三者調査委員会は、令和4年2月に調査報告書を公表しましたが、保護者からいじめの事実
確認が不十分などとして再調査の要望があり、県の附属機関の三重県いじめ調査委員会(以
下、委員会)で、令和4年10月から令和6年5月まで再調査が実施されました。調査結果を
ふまえた委員会からの提言は以下のとおりです。
(委員会の提言)
1 特に配慮が必要な生徒の特定とその生徒に対する支援
・高校が中学校から生徒を受け入れる時点で、ある程度の情報を中学校と高校で共有でき
る仕組みを構築することが望ましい。
2 いじめに関する情報の共有と積極的な情報収集
・被害生徒への丁寧な対応に向けた積極的な情報収集が必要である。
・中学校としてどのような情報を高校と共有するか、事前に生徒から了解を得るような手
続きとともに、制度として整えていく必要がある。
・教職員のいじめ防止に対する研修等の一層の充実が望まれる。
3 「いじめの後遺症」の周知と対応
・「いじめの後遺症」について、教育現場に周知させる必要がある。
・高校からいじめ被害生徒やその保護者に対して説明するためのマニュアル等の整備が求
められる。
4 組織としての対応の不備
・いじめ事案に対しては、高校は、組織として対応し、各教員の負担を軽減させる仕組み
づくりをすべきである。
5 亀山市教育委員会に対する助言・指導
・県教育委員会は、提供されるいじめ事案の内容やその対応について、亀山市教育委員会
と連携するとともに、いじめ問題の早期解決を図るため、亀山市教育委員会に対して助
言・指導をすべきであった。
6 人権教育の推進
・生徒にかかわる教職員の人権感覚を育成するための研修を実施することが重要である。
・いじめ問題への対策を点検・評価し、改善に生かす仕組みを確立するとともに、情報モ
ラルに関する生徒への教育や保護者への啓発が必要である。
7 子どもアドボケイトの設置
・いじめを含む子ども同士の関係性の問題においては、子ども自身がどのように感じ、ど
のように思ってきたのかということが極めて重要であり、子どもの気持ちに寄り添い、
子どもの味方である子どもアドボケイトが必要である。
2 再発防止の取組
(1)体制強化(提言1、2、4、5を受けた取組)
①学校は、いじめの重大な事案や継続する事案について、一般的な引継ぎのほか「いじめ
対応情報管理システム」(令和6年度運用開始)を活用して、過去にあったいじめ被害
や、支援等を要する児童生徒の情報を確認して対応します。
②学校は、校内いじめ防止委員会が可能な範囲で中学校から情報収集を行ったり、状況に
応じて、スクールカウンセラー(以下、SC)等の専門家の意見を聴きながら、対応方
針を決定するよう徹底します。
③県教育委員会は、今後も市町教育委員会と連携しながら、必要な指導、助言又は援助を
実施していきます。
(2)生徒等への対応(提言3、7を受けた取組)
①県教育委員会は、8月中にSCおよびスクールソーシャルワーカー(以下、SSW)を
対象に「いじめの後遺症」と「子どもアドボケイト」についての理解を深める研修を実
施します。実施後はSCおよびSSWが各学校で「いじめの後遺症」と「子どもアドボ
ケイト」について周知します。
②学校は、9月中に「いじめの後遺症」の視点を追加した「いじめ早期発見のための気づ
きリスト」をすべての保護者に配付して、学校と家庭が連携し児童生徒の些細な変化に
も気付けるようにします。
③県教育委員会は、子どもアドボケイトを必要に応じて学校等に派遣します。
(3)人権教育の推進(提言6を受けた取組)
①すべての児童生徒がいじめを許さない気持ちを持ち、いじめの防止に向けて主体的に行
動ができる力を身につけられるよう、初任者や中堅の教職員等を対象とした法定・悉皆
研修や生徒指導担当教員を対象とした研修を通じて、一層、人権教育を進めていきま
す。
②学校は、警察や情報通信事業者等から提供される教職員および児童生徒向けの教材資料
等を活用し、校内でのSNSの適正な利用等に係る取組を実施します。
【参考】インターネットトラブル事例集(2024 年版)(総務省Web サイト)
https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/trouble/
【参考】ネットモラル教材「ネットモラルトレーニング」(生徒指導課)
https://www.pref.mie.lg.jp/SEISHI/HP/p0013700008.htm
③県教育委員会は、今年度中に法律やルールに基づく責任や情報モラル等の観点を加えた
弁護士によるいじめ防止授業の教材資料を作成します。
3 再発防止策の進め方
再発防止の取組を県立学校長会議および生徒指導担当者会議で周知徹底します。