1 レジリエンスを育む取組の実践
(1)目的
変化が激しく、先行き不透明と言われる時代を生きる児童生徒が、学校生活や友人関係などで、つまず
きや失敗、思うようにいかない状況をしなやかに受け止めて適応し、立ち直り、回復する力(レジリエン
ス)を高められるよう、モデル校で児童生徒のレジリエンスを育む取組を実施します。
(2)モデル校
・鈴鹿市立桜島小学校(6年生153人)
鈴鹿市立白子中学校(1年生308人)
・志摩市立神明小学校(5年生40人・6年生32人)
志摩市立鵜方小学校(5年生99人・6年生91人)
志摩市立文岡中学校(1年生126人・2年生126人・3年生119人)
(3)モデル校での取組内容
○教職員の共通理解と児童生徒への事前アンケート(6月)
・モデル校の教員が児童生徒のレジリエンスを育む取組を実施することの意義、取組の内容、進め方な
どについての研修を受け、共通理解を図ります。
・学習プログラムを実施する前の児童生徒のレジリエンスの状態を把握するため、事前アンケートを実
施します。
○学習プログラムの実施(6月から2月)
・人の感情についての理解、モノの見方や考え方には多様な捉え方があること、ポジティブな感情を持
つことなどについて、ソーシャルスキルトレーニングの手法も取り入れた学習プログラムを、授業に
おいて、6回シリーズで実施します。
・学習プログラムは、本県のスクールカウンセラーの経験があり、教育心理の専門家である大学教授と
ともに作成し、大学教授からの授業でのアドバイスも受けながら、実施します。
①「自己と他者の気持ちについて考えよう」
人の感情について理解する。
②「ネガティブな感情から脱出する」
ネガティブな感情からの脱出方法を、事例を通して考える。
③「自分のことを知り、レジリエンスを高める」
自分自身の良いところを知る。
④「リフレーミングを身につける」
『よくないところ、短所』の見方を変え、『よいところ、長所』と捉えるリフレーミングを身に
つける。
⑤「自分の周りのサポートに気づき、レジリエンスを高める」
自分の周りには、支えてくれる人、味方になってくれる人、応援してくれる人などサポートして
くれる人がいることに気づく。
⑥「自分の幸せをみつけ、レジリエンスを高める」
ポジティブな感情を持つことで自分の幸せを感じ、ポジティブな感情を増やしていくことはレジ
リエンスを高めることに気づく。
・また、帰りの会や家庭で、イライラしたり思うようにいかなかったりした場面を思い出し、どのよう
に受け止め、どうすれば脱することができるかなどを考えるワークシートも随時実施します。
○児童生徒への事後アンケートと取組の検証(2月から3月)
・6回の学習プログラムを実施した後、児童生徒のレジリエンスがどのように変容したかを把握するた
め、事後アンケートを実施します。
・次年度の取組に向けて、モデル校での取組の成果と課題を検証します。
【児童生徒へのアンケートの概要】
事前、事後のアンケートでは、次のような質問に5段階で回答します。
・つらい経験からも学ぶことがあると思うか(俯瞰する力)
・困ったとき、誰かに助けてほしいと伝えることができるか(援助要請する力)
・自分が困っていることを解決するために、いろいろな方法を考えようとするか(解決志向性)
・物事は最後にはうまくいくと思っているか(楽観性)
・自分のことを大切と感じているか(自己肯定感)
(4)学習プログラム及びモデル校でのアドバイザー
渡邉賢二 皇學館大学教育学部教授(研究分野は教育心理学)
2 学習プログラム実施後の対応
モデル校での取組状況、アンケートを通じた児童生徒のレジリエンスの変容などを踏まえ、学習プログ
ラムの成果と課題を検証し、より効果的に活用できるよう必要な改善を加えたうえで、令和4年度以降の
モデル校での取組につなげるとともに、他校への普及を進めます。