三重県教育委員会では、インターネット上での人権侵害や誹謗中傷等から児童生徒を守るため、「ネットパトロール」を実施するとともに、アプリ「ネットみえ~る」を運用しています。
また、面談や電話による相談にはつながりにくい子どもたちのために、子どもSNS相談みえを実施しています。
令和2年度の件数や対応状況等は次のとおりです。
1 ネットパトロールについて
(1)新型コロナウイルス感染症に関わるネットパトロール
平成21年度から実施している通常のネットパトロールとは別に、新型コロナウイルス感染症に係る人権侵害や誹謗中傷等から児童生徒を守るために令和2年5月15日から令和3年3月22日までネットパトロールを毎日(平日)実施しました。
月別では1月が最も多く、合計160件検知されました。いじめにつながるようなものや個人が特定される書き込みはありませんでしたが、どこの学校で感染者が出たのかなど感染者情報に関するものや、近所で感染者がでたことが怖いなどの書き込みが多数検知されました。
<別添表1>
[検知した例]
●「〇〇(学校)ってよ 近いなぁ怖いなぁ」
●「〇〇(学校)って聞いたけど〇〇ってどこよ」
●「〇〇(学校名)でコロナ感染者でたよ」、「教員?生徒?」
●「〇〇(学校名)で出たようだ。教員と生徒」、「嘘じゃないよね?」
●「〇〇ニュースによると、 〇〇(地名)の男子高校生が感染。この高校生が通う学校は、
〇〇(地名)ということは一つしかないだろ」、「クラスターではないみたいですね」、
「なら、その家族も?かな」
(2)検知した書き込みに係る対応
検知された書き込みは、委託業者から県教育委員会に報告されます。県教育委員会で報告内容を確認のうえ、市町教育委員会や学校に情報共有し、その書き込みから誹謗中傷や人権侵害につながる被害がないかなど子どもたちの様子を丁寧に確認するとともに、インターネットやSNSの利用に係る情報モラルの指導を行うよう依頼しています。
(3)令和3年度の取組について
令和2年度に検知された書き込みなどから検索するキーワードを増やし、より広範な検知ができるよう改善して、4月1日からネットパトロールを開始し、新型コロナウイルス感染症に係る人権侵害やいじめ、誹謗中傷等から子どもたちを守ります。
※参考:通常のネットパトロール
平成21年度から、インターネット上での人権侵害や誹謗中傷、不法行為、個人情報の流布等から児童生徒を守るためにネットパトロールを実施しています。令和2年度は年間3回期間を決めて(8月24日から9月30日、11月1日から11月27日、1月1日から1月31日)実施しました。
令和2年度は合計698件検知され、内訳は高等学校426件(61.0%)、中学校247件(35.4%)、小学校19件(2.7%)、特別支援学校6件(0.9%)でした。学校名を書き込むなどした個人情報が最も多く(全体の64.9%)検知されました。
2 アプリ「ネットみえ~る」について
SNSでの閉ざされたやりとりや、学校名などのキーワードが記入されていないいじめや不適切な書き込みについては、ネットパトロールで検知することが難しい状況です。このため、SNS等での不適切な書き込みに気づいた場合に、スクリーンショットで撮った画像と、それ以外でも知っている情報を投稿できるアプリ「ネットみえ~る」を令和2年6月23日から利用開始しました。
<別添図1>
(1)令和2年度におけるダウンロードと投稿について
令和3年3月31日現在で、アプリのダウンロード数は3,189件となりました。投稿は269件あり、そのうち、子どもに関わる投稿は89件でした。
(2)子どもに関わる投稿の内容と対応
県教育委員会で投稿内容を確認し、緊急を要する投稿については児童生徒の安全の確認、心のケアを最優先に、家庭、学校、市町教育委員会、場合によっては警察等の関係機関と連携して対応しています。いじめや不適切な書き込みに関わる投稿についてはアプリ上で相談窓口を紹介するとともに、投稿者の希望している場合は、紹介した相談機関に投稿された情報を共有し、対応しています。
[対応した例]
●LINEのタイムラインに周りの人に対する不満と、そのことで葛藤したり、死にたいと思ったり
することを書き込んでいるものを見つけた大人が心配して投稿
⇒市教育委員会と警察に情報共有し、市教育委員会が当該児童の登校状況や児童生徒の様子につ
いて確認しました。学校は引き続き市教育委員会とも情報共有しながら、学校全体で見守る体
制を整え、家庭とも連携しながら丁寧に対応しました。
●いじめに関する内容がLINEやTwitter、Instagramに書き込まれたもの
⇒市町教育委員会や学校に情報共有しました。学校は事実確認をし、被害児童生徒を守るととも
に、加害児童生徒に指導しました。なかには、複数の学校にまたがる事案もあり、学校間で連
携して対応しました。
●新型コロナウイルスに感染した児童生徒、職員が出たことが、学校名をあげて書き込まれたもの
⇒市町教育委員会と学校に情報共有しました。差別的な書き込みがないかどうか継続して確認し
ました。
●学校名をあげて学校の評判を下げる内容が書き込まれたもの
⇒市町教育委員会や学校に情報共有しました。新たな書き込みや差別的な書き込みがないかどう
か継続して確認しています。
(3)令和3年度の取組について
アプリを改良し、インストールしている人に対して、いじめ防止の機運を高めるメッセージを送信し、いじめ防止について考えるきっかけとしていくとともに、子どもSNS相談みえや電話相談などの相談窓口を紹介するなどしていきます。4月のいじめ防止強化月間には、ピンクシャツ運動を推進する内容を送信しました。
また、ネットパトロールで検知された内容や「ネットみえ~る」に投稿された内容等も踏まえ、教職員が子どもたちや保護者にインターネットのトラブルについて周知・啓発するための教材を作成し、子どもたちを守る取組を推進します。
3 SNSを活用した相談について
中学生・高校生が、安心して学校生活を送ることができるよう、いじめをはじめとする様々な悩みの相談に対応するため、平成30年5月からSNS(無料通信アプリ「LINE」)を活用した相談を実施しています。
(1)子どもSNS相談みえについて
県内の中学生、高校生を対象に、平日午後5時から午後10時まで実施しています。アクセス方法は、QRコードを読み取り、友だち登録をして、メッセージを送ります。
一人ひとりの相談には、委託業者の専門の資格を有した臨床心理士等が対応しています。
新型コロナウイルス感染症の影響による不安や悩みに対応するため、令和2年10月からは、相談時間を1時間延長して午後10時まで実施しています。
<別添図2>
[令和2年度の相談状況]
「子どもSNS相談みえ」の相談件数は、のべ771件で、友人関係・学校生活に関すること484件(うちいじめに関すること40件)、学業・進路に関すること45件、家庭に関すること30件、その他212件でした。校種別内訳は、中学生が272件、高校生が488件、校種不明(言いたくない)が11件でした。
[主な相談内容]
●友人関係・学校生活に関する相談
「いじめを受けている人がいるので、どうしたらいいか。」
「一緒にいてくれる子がいなくて寂しい。」
●学業や進路に関する相談
「志望校への合格は無理だと言われているので、悩んでいる。」
「頑張って勉強しているが、成績が振るわず悲しい。」
●家庭に関する相談
「親と進路選択の考えが違って悩んでいる。」
「家に居場所がなくて悩んでいる。」
●その他
「自分に自信が持てない。」
「自分の性格に悩んでいる。」
<別添表2>
<別添表3>
(2)Kodomo SNS Soudan Mieについて
令和2年4月から、日本語指導が必要な生徒を対象として、県内の生徒が使用する26言語に対応した多言語で相談できる「Kodomo SNS Soudan Mie」を平日午後5時から午後10時まで実施しています。アクセス方法は、QRコードを読み取り、友だち登録をして、メッセージを送ります。
一人ひとりの相談には、翻訳ソフト(Google翻訳)を活用し、委託業者の専門の資格を有した臨床心理士等が対応しています。
日本語指導が必要な生徒が多い高校や関係機関を訪問し、周知するとともに、アクセス手順を簡潔にする等の見直しを行いながら、操作がしやすく、わかりやすい相談窓口となるよう工夫して、実施しています。
[令和2年度の相談状況]
「Kodomo SNS Soudan Mie」の相談件数は、のべ15件で、友人関係・学校生活に関すること5件(うちいじめに関すること1件)、学業・進路に関すること1件、家庭に関すること1件、その他8件でした。校種別内訳は、中学生が8件、高校生が4件、校種不明が3件でした。言語別内訳は、英語3件、中国語3件、ポルトガル語3件、日本語6件でした。
[主な相談内容]
●友人関係・学校生活に関する相談
「勉強が難しい。特に国語が難しい。」
「支援してくれていた先生が転勤してしまってとても不安だ。」
●家庭に関する相談
「親が、私に対して不機嫌な態度で接してくる。」
<別添表4>