三重県では、児童生徒が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、学校の内外を問わず
いじめが行われなくなるようにすること等を基本理念とした「三重県いじめ防止条例(以下 条例)」を
平成30年4月から施行し、今年で3年目を迎えました。条例では、いじめの防止等に関する県民の理解
を深め、社会総がかりでいじめの問題を克服するため、毎年4月及び11月をいじめ防止強化月間として
います。
本年11月の強化月間における主な取組は、次のとおりです。
1 県立学校の主な取組
いじめ防止強化月間中は、児童生徒一人ひとりが自らの行動を考える機会にするとともに、児童会・
生徒会を中心にピンクシャツ運動、標語やポスターの作成など、いじめ防止に向けた児童生徒の主体的
な取組を進めており、中には、保護者とともに取り組んでいる学校もあります。
また、県内の公立小中学校においても、さまざまな取組を進めています。
<四日市中央工業高等学校>
生徒会役員が、年間をとおして毎週月曜日と金曜日の朝に挨拶運動を実施しており、11月は、挨
拶運動と同時に、ピンクのシャツを着て「いじめ撲滅」を訴える。
体育祭(11月18日)ではクラス旗を披露する行進で先頭に校旗を持った生徒会役員がピンクの
シャツを着て行進する。その際、放送部がピンクのシャツについての説明といじめ撲滅を訴える。
<菰野高等学校>
11月9日から11日に生徒会役員と教員が、校門において「朝の声かけ運動」の一環として、ピ
ンクの用紙に「いじめ、絶対許さない」を記入したティッシュを登校してきた生徒に配布する。
11月11日には、教員・生徒全員にピンクのマスクを配布し、この日はそのマスクを全員が着用
することで一体感を高め、いじめ防止の意識を高める。
<津西高等学校>
11月20日をピンクシャツデーとして設定し、生徒会が中心となって全校生徒に運動の趣旨を説
明するとともに賛同者を募り、当日は、ピンクのシャツや小物を身につけて登校することでいじめ反
対の意思表示を行う。
<鳥羽高等学校>
生徒会がピンクシャツウィーク(11月9日から13日)を設定し、生徒会役員等が作成したピンクの
小物(ハート形をしたピンクのクリップ)を朝の登校時に配布し、身に着けた生徒がいじめ反対の意
思表示を行う。
<特別支援学校玉城わかば学園>
11月6日の全校集会において、生徒会役員から「いじめを許さない学校にしよう」というアピー
ルを行う。全校集会から2学期終業式までの期間に、掲示板に児童生徒一人ひとりが「相手に届けた
い心温まる言葉」を書いたハート型の紙を貼り、「ハートの木」を完成させる取組を行う。
2 三重県いじめ防止応援サポーターの取組
三重県では、社会総がかりでいじめの防止等に取り組むため、いじめ防止応援サポーターを募ってお
り、現在468の事業所・団体・個人に登録いただいています。いじめ防止応援サポーターの方々は、
「みんなで地域の子どもたちを守っていきたい」「子どもたちが安心して過ごせる環境をつくりたい」
等の思いで、それぞれの特性を生かした取組を実施していただいています。
11月のいじめ防止強化月間では、次のような取組を予定しています。
<eisuグループ>
小中部・niceの全校舎において、ポスターやステッカーを掲示している。「いじめを決して許
さない」「どんなことがあっても、他の子にいじめを行わない」「自分がいじめられていると感じた
り、いじめを見たり聞いたりしたら、すぐに先生や保護者に相談する」「いじめかどうかは、いじめ
られている子どもの立場に立って考える」等を盛り込んだ「いじめ防止7か条」を作成、掲示し、子
どもや保護者へ啓発している。
<地域交流の広場ネットワーク>
桑名市で子育て支援の活動をしているボランティア団体である「地域交流の広場ネットワーク」
は、11月28日に、三重大学アカペラサークルPioneerを招いて、多度まちづくり拠点施設の講
堂において、ピンクシャツ運動コンサートを開催する。コンサート当日は、ピンクの物を身につけて
来場してもらえるようチラシで呼びかける。
<児童養護施設なないろ・乳児院ましろ>
いじめ防止についての行動宣言を子どもたちが決め、全員がいつでも目に付くリビングや玄関に掲
示する。児童養護施設なないろの子ども玄関に意見箱を設置し、子どもたちからの声を集約し、対応
する。
<三重交通株式会社>
県内を走るすべての路線バスに、いじめ防止強化月間の啓発ポスターを掲示する。
3 その他の取組
① 三重県立図書館での取組
三重県立図書館では、図書館蔵書書籍の中からピックアップしたいじめの問題に係る書籍と、以下
のいじめ防止の啓発資料等を県立図書館展示コーナーに展示します。
・ いじめ防止条例概要版リーフレット
・ 相談窓口一覧「一人で悩まず相談しよう」
・ 啓発ポスター
・ 行動宣言ステッカー、いじめ防止応援サポーター募集要項
・ 「ストップ!いじめ」のぼり旗、ポケットティッシュ(啓発用)
② 津駅における街頭啓発活動
11月11日(水)午前7時30分から8時15分の間、津駅(JR・近畿日本鉄道)にて、三重
県教育委員会事務局職員によるいじめ防止にかかる広報啓発活動を実施します。
③ 県職員によるピンクシャツ運動の推進
毎週水曜日にピンクのシャツや小物を身につけます。
④ 三重県ホームページでの取組の紹介
いじめ防止に係る各学校での取組や、いじめ防止応援サポーターの取組を県のホームページで紹介
します。
***ピンクシャツ運動とは***
ピンクシャツ運動とは、2007年にカナダで誕生した「いじめ反対運動」です。カナダで、中学3年生の男子生徒がピンクのポロシャツを着て登校し、いじめられました。それを知った高校3年生男子2人がその日の内にピンクのシャツなどを大量に購入し、メールや掲示板で友人知人などに翌日に着用することを呼びかけました。翌朝、2人はシャツなどを呼びかけた人に配って着てもらいましたが、この日に呼びかけ以上の学生がピンクの服で登校し、学校がピンク色に染まり、男子生徒へのいじめがなくなりました。以降、毎年2月最終水曜が学校や職場にピンクのものを身につけて行くピンクシャツデーとしてカナダ全土に定着し、アメリカ、イギリスなど世界各国へ広まりました。この運動は、「いじめ反対」のメッセージとともに、いじめの問題を個人や当事者間だけの問題ではなく、社会全体の問題と捉え、いじめの定義や、傍観者になることなどを含め、いろいろないじめの問題について考える機会となっています。