三重県教育委員会では、令和2年度に、「夜間中学等の就学機会確保の在り方に関する検討委員会」(以下、「検討委員会」という。)を計4回開催し、この度、本県における夜間中学等の就学機会確保の在り方に関する今後の方向性について、報告書としてまとめました。
1 これまでの検討状況
県教育委員会では、夜間中学を全ての都道府県に少なくとも1校設置することをめざすとした国の方
針等を踏まえ、令和元年度から夜間中学等の就学機会確保の在り方について検討を進めてきました。
令和元年度に、県内の夜間中学等に関するニーズを把握するため、「夜間中学等に関するニーズ調
査」を実施し、今年度は、当該ニーズ調査の結果を踏まえ、今後の方向性を検討するため、検討委員会
を設置し議論を進めてきました。検討の過程で新たに追加的なニーズ調査も実施しました。
2月24日(水)に開催した第4回検討委員会の審議を経て、報告書を取りまとめました。
2 報告書の概要
(夜間中学の重要性と設置に当たっての課題)
・ 夜間中学は就学機会を確保する重要な役割を果たしており、本県においても、調査によりそのような
ニーズが一定程度認められる一方、他の自治体の夜間中学では、働きながら学ぶ負担等から途中で夜間
中学をやめてしまう生徒もいるなど、設置運営に係る課題も少なくない。
・ 本県においても、昨年度及び今年度にニーズ調査を実施したが、ニーズの掘り起こし等において一定
の課題がみられる。学習者のニーズとのミスマッチが大きい形での夜間中学設置は、財政的・人的コス
トの問題のみならず、何より入学してくる生徒にとって不利益が大きいところ、慎重かつ十分な検討が
必要である。
(課題を踏まえた今後の対応)
・ 本県にふさわしい新たな学びの場を具体化するために、例えば、一定期間、義務教育段階の内容を学
習する学び(直し)の教室を実施し、希望者に実際に教室を体験しながら就学機会確保の取組への理解
を深めていただき、県民のニーズの掘り起こしを図るとともに、教育内容や授業の方法等に係る具体的
なニーズや課題を丁寧に把握するなど、実施方法を実証的に検証していくことが適当である。
・ 具体的には、令和3~4年度に県内複数箇所で義務教育段階の内容を学ぶ教室を実施することとし、
教室は、夜間中学に通うイメージが持てるよう、また学びの機会を求める方に幅広く参加していただけ
るよう、2~3か月の間、1日2~3時間・週2日程度、義務教育段階の一部教科を学ぶ形態とする。
・ 実証的な検証を進める中で、夜間中学について一定の具体的な入学希望が見込まれ、設置が適当であ
ると判断される場合には、開校に向けて設置主体や設置場所、施設設備、教育課程等、学校設置に必要
な検討・準備を進めるべきである。
3 今後について
県教育委員会では、令和3~4年度に、就学機会確保の方策についての実証研究として、義務教育段階
の内容を学ぶ教室を複数個所で実施し、できるだけ多くの希望者に体験してもらい、その成果と課題の把
握を行っていきます。