トマト等のナス科を加害するトマトキバガが三重県で初めて確認されました。
1 病害虫名 トマトキバガ(チョウ目キバガ科)
学 名 Tuta absoluta (Meyrick)
2 発生確認の経過
令和5年10月3日および10月6日、三重県中勢地域に設置したトマトキバガのフェロモントラップにおいて、本種と思われる蛾の成虫各1頭が誘殺され、三重県病害虫防除所で同定した結果、本県では未発生のトマトキバガであることが判明しました。その後も継続的に疑義成虫が誘殺されていますが、現在のところ、県内では本種による農作物の被害は確認されていません。本種は、国内では令和3年10月に熊本県で初めて発生が確認され、その後、計28道県で報告されています(令和5年10月11日現在)。
3 形態
(1)成虫は翅を閉じた静止時で体長5~7mmで、触角や脚は特徴的な縞模様です。
(2)幼虫の体長は終齢で約8mm。体色は淡緑色~淡赤色です。頭部は淡褐色で前胸の背面後方に黒色横
帯があります。
4 生態と被害
(1)1年に複数の世代が発生し、繁殖力が高いです。
(2)成虫は夜行性で、日中は葉の間に隠れていることが多いです。幼虫は1齢から4齢までの生育ステー
ジがあり、土中や葉の表面で蛹化します。
(3)トマト、なす、ピーマン、ばれいしょ等のナス科植物が主要な寄主植物です。マメ科のいんげんまめ
も、寄主植物として確認されています。トマトでは、茎葉の内部に幼虫が潜り込んで食害し、孔道が形
成されます。葉の食害部分は表面のみ残して薄皮状になり、面的に白~褐変した外観となります。果実
では、幼虫がせん孔侵入して内部組織を食害するため、品質が著しく低下します。
5 防除対策及び注意事項
(1)施設栽培では、開口部に防虫ネット等を設置し、侵入を防止してください。
(2)トマトキバガと疑われる虫を見つけた場合は、病害虫防除所にご連絡ください。
(3)発生を拡大させないため、薬剤散布を行うとともに、被害葉や被害果実はほ場に放置せず、速やかに
土中に深く埋却するか、ビニール袋などに入れて一定期間密閉し、寄生した成幼虫を全て死滅させるな
ど、適切に処分してください。
(4)現在、トマトキバガに対して登録のある農薬の適用作物はトマト、ミニトマトのみです。薬剤散布に
あたっては、最新の農薬登録情報(農林水産省「農薬登録情報提供システム」)を確認してください。
(https://pesticide.maff.go.jp/)
(5)防除薬剤は三重県農薬情報システムでも検索することができます。
(https://www.nouyaku-sys.com/noyaku/user/top/mie)
(6)薬剤抵抗性回避のため、異なる作用機構の薬剤をローテーション散布してください。
6 問い合わせ先
三重県病害虫防除所 電話番号:0598-42-6365