令和4年度病害虫発生予察特殊報第2号を発表します。
本県のサツマイモにおいて、サツマイモ基腐病が確認されました。
1 病害虫名 サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)
(病原体名 Disported destruens (Harter) Hirooka,Minosh.&Rossman)
2 発生確認作物 サツマイモ
3 発生確認地域 三重県中勢地域
4 発生確認の経過
令和4年10月、三重県中勢地域のサツマイモほ場において、葉が赤色になり、地際部が黒変し枯死する症状の報告がありました。
枯死した茎には、黒い粒状の柄子殻(へいしかく)が形成されており、塊根(かいこん)には、「なり首」(茎のつけ根側)からの腐敗が確認されました。
そのため、農林水産省名古屋植物防疫所に同定依頼をしたところ、令和4年12月に本県未発生のサツマイモ基腐病と判明しました。
本病は、平成30年に沖縄県で初めて発生が確認され、その後、計29都道府県で報告されており、隣県では岐阜県、和歌山県で確認されています。
5 本病の特徴および被害状況
(1)本病原菌であるDisported destruensに感染し発病すると、葉が赤変・黄変し生育不良となり、株の
地際部が暗褐色から黒色に変色し進行すると茎葉が枯れ上がります。さらに進行すると塊根のなり首
側から腐敗が広がります。また、収穫時には健全に見えた塊根が貯蔵中や輸送中に腐敗することもあ
ります。
(2)本菌の第一次伝染源は、感染した種苗や土壌中の罹病残さとされています。また、生育適温は28~
30℃であり、降雨の多い時期に風雨やほ場の停滞水によって、畝や畝間に沿って発病株から周囲の株
に広がります。葉が繁茂する時期は、発生に気づきにくいため注意が必要です。
(3)本病は、罹病したつるや塊根で伝搬します。また、植物残さ上で越冬し、翌年の伝染源になります。
6 防除対策及び注意事項
(1)ほ場に本病原菌を「持ち込まない」ことが重要です。未発生ほ場で生産された健全種苗を利用して
ください。
(2)苗消毒されていない場合は、植え付け前に本病に登録のある薬剤で苗消毒してください。
(3)栽培期間中に発病を確認した場合は、発病株の除去と薬剤散布を実施してください。また、二次伝
染防止のため、発病株を除去した跡に補植することは控えてください。収穫後は、ほ場から残さを除
去してください。
(4)発病が見られたほ場で使用した資材や機械、長靴を別ほ場で使用する場合、十分に消毒や洗浄を行
ってください。
(5)本病害の発生が疑われる場合は、三重県病害虫防除所へ情報提供をお願いします。
7 問い合わせ先
三重県病害虫防除所 電話番号:0598-42-6365