令和元年度 病害虫発生予察特殊報第3号を発表します。
本県のネギにおいて、ネギハモグリバエの別系統の発生を確認しましたので、
特殊報として発表します。
1 病害虫名 : ネギハモグリバエ 別系統
学名:Liriomyza chinensis Kato
2 発生確認作物 : ネギ
3 発生確認の経過
令和元年10月、三重県松阪市、鈴鹿市のネギ栽培圃場において、ネギの葉がネギハモグリバエに著しく摂食され、白化する被害を三重県病害虫防除所職員が確認した。
従来の被害の様相とは異なるため、農業・食品産業技術総合研究機構東北農業研究センターに同定を依頼した結果、遺伝子解析によって従来の系統(以下、A系統と略記)とは異なる別系統(以下、B系統と略記)であることが判明した。
B系統の発生は、平成28年頃から京都府で、その後、茨城県、富山県、千葉県、長野県、埼玉県、新潟県及び栃木県で確認され、特殊報が発表されている。
4 本種の特徴
A系統とB系統の形態による識別は困難である。
両系統とも成虫の体長は約2mm であり、胸部と腹部が黒く、その他の部分は淡黄色である。
幼虫は、うじ虫状で、成長すると約4mmに達する。蛹は、体長約3mmの褐色、俵状である。
両系統とも成虫は葉の組織内に産卵し、孵化した幼虫は葉の内部に潜り込み葉肉を食害する。幼虫は成長すると葉から脱出し、地表または土中で蛹となる。
5 被害
B系統はA系統と比較して、1葉あたりの幼虫数が多い傾向がある。
そのため、初期の食害痕は、A系統と同様に不規則な白線状であるが、進展すると近接した食害痕同士が癒合し、葉全体が白化したようになる。
葉肉は食い尽くされ、表皮が浮いた状態になり表皮を剥離すると、多数の幼虫が確認される。
6 防除対策及び注意事項
(1)早期発見に努め、発生を確認したら、ただちに防除を実施することが重要である。
(2)防除を行う場合は、ネギハモグリバエまたはハモグリバエ類に登録のある殺虫剤で防除を行う。
(3)被害葉及び収穫残さは本種の発生源となるので、ほ場内に放置せず、一か所にまとめて積み上げ、ビニール等で覆い、裾部分を土で埋めるなど適切に処分する。
7 問い合わせ先
三重県病害虫防除所 電話番号:0598-42-6365
(注)
発生予察情報には、「発生予報」、「注意報」、「警報」、「特殊報」があります。
「特殊報」は、新規に有害動植物を発見した場合、重要な有害動植物の生態及び発生消長に特異な現象が見られた場合に速やかに発表するものであります。