平成31年度 病害虫発生予察特殊報第1号を発表します。
本県のネギにおいて、ジャガイモクロバネキノコバエの寄生が確認されましたので、
特殊報として発表します。
1 病 害 虫 名 : ジャガイモクロバネキノコバエ
学 名 : Pnyxia scabiei (Hopkins)
2 発生確認作物 : ネギ
3 発生確認地域 : 三重県北勢地域
4 発生確認の経過
平成30年12月27日、県内のネギ露地栽培ほ場において、生育不良株が見られたため株を引き抜き確認したところ、地下の葉鞘部、茎盤部に寄生するハエ目幼虫が確認された。
この幼虫を農林水産省名古屋植物防疫所へ種の同定を依頼したところ、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センターの有本誠氏の遺伝子解析による同定により、ジャガイモクロバネキノコバエであることが確認された。
これまでにジャガイモクロバネキノコバエの寄生は、県内で確認されていない。
他県においては、北海道でゆり、ネギ、千葉県でサツマイモ、長野県でヒメユリ、群馬県でネギ、神奈川県ではヤマノイモで本種の発生がそれぞれ確認されている。
このため、ネギ以外にも根菜類(イモ類など)を中心とした他作物への寄生にも注意する必要がある。
5 本種の特徴
雌成虫は無翅で体長2.2mm程度、雄成虫は翅が短く、体長1.5mm程度である。
幼虫は白色を帯びた透明の体で黒色の硬い頭部を持ち、老齢幼虫の体長は4mm程度で、肉眼でも確認ができる大きさである。
6 被害
ネギでは、幼虫が地下部の葉鞘部や茎盤部に寄生し、食害やネギの組織内部に食入する被害が確認されている。
このため、被害株を地上部から見ると、付近の株と比べて被害株は黄化がみられ、外葉がしおれたりすることが多い。
被害株は、排水不良などでの湿害による生育不良と酷似し、株を引き抜いてみると、幼虫の寄生とともに、葉鞘部の硬さがなくなり軟らかくなっていることが多い。
寄生頭数が少ない場合は、地上部からは被害に気がつきにくい。
冬期に被害が多くなると言われており、気温が低下しても本種の被害はなくならない。
7 防除対策及び注意事項
(1) 本種の被害が確認されたほ場では、登録農薬での防除を実施してください。
(2) 幼虫の寄生が確認されたり、または生育不良などで抜き取ったネギなどの植物残渣は、ほ場外での処分を行ってください。
(3) ほ場内に植物体を放置したり、植物体ごとすき込むことは避けてください。
(4) 出荷調整時に出る植物体残渣についても同様の処置をとってください。
(5) 連作は、発生を助長するので、極力避けてください。
(6) 本種が多発したほ場では、可能な限り、ネギ類または根菜類以外の作物への転換を検討してください。
(7) また、ネギ以外の周辺ほ場についても、根菜類を作付けする場合は、ネギと同様の対策に努めてください。
8 問い合わせ先
三重県病害虫防除所 電話番号:0598-42-6365
(注)
発生予察情報には、「発生予報」、「注意報」、「警報」、「特殊報」があります。
「特殊報」は、新規に有害動植物を発見した場合、重要な有害動植物の生態及び発生消長に特異な現象が見られた場合に速やかに発表するものであります。