本県のナスにおいて、日本国外からの侵入害虫であるタバコノミハムシが確認されましたので、次のとおり特殊報を発表します。
タバコノミハムシは、ナス科植物(主としてナス)の葉を食害する害虫です。
葉に無数の小さい点状の丸い穴をあけることが特徴です。
1.病害虫名:タバコノミハムシ
2.発生確認作物:ナス
3.発生確認地域:松阪市
4.発生確認の経過
平成29年6月27日、松阪市内の露地栽培ほ場において、ノミハムシ類の成虫によるナスの葉の食害が確認されたので、その成虫を採取し、農林水産省名古屋植物防疫所に同定依頼したところ、7月18日にタバコノミハムシであることが同定された。
また、病害虫防除所の追加調査で、県内の他地域でも発生を確認している。
本種は、北アメリカおよび中央アメリカに分布が確認されているタバコの害虫であり、平成23年に国内で初めて確認され、現在までに栃木県、神奈川県、静岡県、愛知県の4県で特殊報が発表されている。
5.本種の形態および特徴
成虫の体長は1.5~2.5mm。長楕円形で、色彩はやや光沢のある赤褐色であり、上翅には不明瞭な黒斑をもっている。
卵は地表に産み付けられ、孵化した幼虫は地中で根を加害した後、地表部近くで蛹化する。気温27℃、湿度80%および明期14時間・暗期10時間の条件下では、卵から成虫までに24日間を要する。成虫は落葉等の下で越冬する。
アメリカ合衆国のバージニア州では、年に4世代を経過するという報告がある。
国内での詳細な生活史はまだ明らかではないが、関東地方では5月から11月まで成虫が確認されている。
6.被害
本種は、葉の片側の表皮を残して食害したり、葉を貫通して食害したりするため、直径1~2mm程度の無数の小さな白い点状の丸い穴があく食害痕が観察される。
ナスにおいては、果実への食害は確認されていない。
7.寄主植物
本種は、野菜・花き類のナス科の植物を寄主とし、特にアメリカ合衆国では、タバコの重要害虫とされている。
国内では、ナス、トマト、ジャガイモ、ほおずき等の他に雑草のワルナスビでも確認されている。
8.防除対策及び注意事項
(1)平成29年7月18日現在、主な寄主植物であるナスについては、本種に登録のある農薬はありません。
(2)本種が寄生していた作物の栽培終了時には、付近のナス科植物に本種が移動しないようにすみやかに片付けてください。
(3)本種は家庭菜園ほ場等を中心に発生が確認されており、通常の病害虫対策を行っているほ場では、ほとんど確認されていません。
9.問い合わせ先
三重県病害虫防除所 電話番号:0598-42-6365
(注)
発生予察情報には、「発生予報」、「注意報」、「警報」、「特殊報」があります。
「特殊報」は、新規に有害動植物を発見した場合、重要な有害動植物の生態及び発生消長に特異な現象が見られた場合に速やかに発表するものであります。