令和5年7月25日、三重県生活環境の保全に関する条例(以下「条例」という。)第72条の4第1項の規定に基づき、柳河精機株式会社(埼玉県狭山市新狭山1丁目3番地5 代表取締役社長 笹原 章)から、同社亀山工場の敷地の一部において土壌汚染(六価クロム化合物、鉛及びその化合物、砒素及びその化合物)が発見された旨の届出がありました。
1 内容
同社が敷地の地歴調査を実施したところ、過去に造成を行った同工場北側の土地に土壌汚染がある可能性が判明したため、自主的に調査(土壌調査13地点、地下水調査8地点)を行ったところ、次のとおり条例で規定する土壌に係る基準を超過していました。
【六価クロム化合物】
土壌溶出量:0.08mg/L(13地点中1地点で基準値を超過)
(基準値0.05mg/Lの1.6倍)
【鉛及びその化合物】
土壌溶出量:0.05mg/L(13地点中9地点で基準値を超過)
(基準値0.01mg/Lの5倍)
【砒素及びその化合物】
土壌溶出量:0.02mg/L(13地点中3地点で基準値を超過)
(基準値0.01mg/Lの2倍)
土壌汚染が確認された同工場北側は、過去に谷地を埋立造成した場所で、搬入された土砂が汚染の原因と考えられるとのことです。
届出を受け、本日(7月25日)、鈴鹿地域防災総合事務所が現場調査を行ったところ、土壌汚染が確認された場所では、同社による地下水モニタリング調査が行われていました。土壌汚染が発見された地点は工場敷地内の深層部分であり、表層の改変等は行われておらず、汚染された土壌が直ちに飛散流出するおそれがないことを確認しました。
また、同社が実施した地下水調査の結果、六価クロム化合物等の有害物質は検出されなかったことから、直ちに周辺の生活環境への影響はないものと考えられます。
同社では、今後、地下水モニタリング調査を継続し、周辺の生活環境へ影響がないことを確認していくとともに、アスファルト舗装による地下浸透防止措置を講じるとしています。
引き続き、土壌汚染対策が適切に行われるよう指導していきます。
2 届出内容の問い合わせ
柳河精機株式会社 生産統括本部 亀山工場 設備技術課
電話:0595-82-1131
【参考】
○三重県生活環境の保全に関する条例(関係条文)
第七十二条の四 土地の所有者等は、人の健康又は生活環境に係る被害が生じ、又は生じるおそれがあるものとして規則で定める基準を超える土壌又は地下水の特定有害物質による汚染を発見したときは、速やかに当該汚染の拡散を防止するための応急の措置を講ずるとともに、当該汚染の状況及び講じた措置について、規則で定めるところにより、知事に届け出なければならない。ただし、水質汚濁防止法第十四条の二第一項の規定による届出があった場合は、この限りでない。
以下(略)
○六価クロム化合物
クロムは主としてクロム鉄鉱として産出されており、地殻表層部には重量比で0.02%程度存在しています。自然界に存在するクロムの原子価は、ほぼ三価のものに限られ、六価のものは、多くの場合人為起源に由来しています。六価クロムは、発がん性があるとされ、高濃度の場合は皮膚に付着した状態を放置すると皮膚炎や腫瘍の原因になることがあります。
○鉛及びその化合物
古くから人類に利用されていた金属であり、現在でも鉛蓄電池やはんだ等に広く用いられています。地下の表層部には、重量比で0.0015%存在し、広く分布しているため、地質等に由来するものも発見されます。そのため、人の組織等にも存在しますが、高濃度の鉛では、貧血や筋肉の虚弱などの中毒症状が現れます。また、無機鉛化合物では発ガン性があるとされています。
○砒素及びその化合物
砒素は、地殻の表層部には重量比で0.0005%存在し、水中や土壌中、岩石、大気中に広く存在しています。砒素化合物は、花火の着色剤、塗料用の顔料、半導体の原料等として利用されており、多くの砒素化合物は、土壌に吸着しやすい性質があります。高濃度の砒素摂取による急性の中毒症状としては、めまい、頭痛、四肢の脱力、下痢を伴う胃腸障害、腎障害等が報告されています。