令和5年3月23日、三重県生活環境の保全に関する条例第72条の4第1項の規定に基づき、株式会社佐藤工業所(代表取締役 佐藤 秀二、桑名市大福宮東339番地)から同社福島工場(桑名市大字福島字矢田野964番(以下「本件工場」という。))の敷地の一部において土壌汚染が発見された旨の報告がありました。
1 内容
同社が本件工場の閉鎖に伴い、土壌汚染対策法に基づき土壌調査を実施したところ、次のとおり六価クロム化合物及びふっ素及びその化合物が基準値を超過していました。
【六価クロム化合物】
土壌溶出量:調査地点(1,061m2、16区画)のうち、7区画で土壌溶出量基準超過
最大190mg/L(基準値 0.05mg/Lの3,800倍)
土壌含有量:調査地点(1,061m2、16区画)のうち、1区画で土壌含有量基準超過
最大1,700mg/kg(基準値 250mg/kgの6.8倍)
【ふっ素及びその化合物】
土壌溶出量:調査地点(1,061m2、16区画)のうち、1区画で土壌溶出量基準超過
最大1.3mg/L(基準値 0.8mg/Lの1.6倍)
土壌汚染の原因として、本件工場ではメッキ製品製造の工程で過去に六価クロム及びふっ素及びその化合物を使用しており、何らかの理由で漏えいした可能性が考えられます。
現在、汚染が発見された区画については、コンクリート又はアスファルトで覆われており、新たな汚染土壌の飛散及び雨水による汚染物質の地下水への溶出のおそれはないものと考えられます。
また、事業者が自主的に実施した敷地内の井戸の水質調査では、上記物質について地下水基準未満であったことから、周辺の生活環境への影響はないものと考えられます。
事業者は、汚染が確認された本件工場敷地の土壌について、今後対策を検討するとしています。
県は、土壌汚染対策が適切に行われるよう、引き続き事業者を指導するとともに、桑名市と連携して周辺(半径約500m範囲)の飲用井戸の確認を行い、住民への必要な情報提供を行っていきます。
2 届出内容の問い合せ
株式会社佐藤工業所 取締役 浅野
電話:0594-41-4700
【調査実施者】指定調査機関 森本工産株式会社 森本
電話:059-353-5588
【参考】
(三重県生活環境の保全に関する条例 関係条文)
第七十二条の四
土地の所有者等は、人の健康又は生活環境に係る被害が生じ、又は生じるおそれがあるものとして規則で定める基準を超える土壌又は地下水の特定有害物質による汚染を発見したときは、速やかに当該汚染の拡散を防止するための応急の措置を講ずるとともに、当該汚染の状況及び講じた措置について、規則で定めるところにより、知事に届け出なければならない。
ただし、水質汚濁防止法第十四条の二第一項の規定による届出があった場合は、この限りでない。
(土壌汚染対策法 関係条文)
第三条
使用が廃止された有害物質使用特定施設(水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第二条第二項に規定する特定施設(第三項において単に「特定施設」という。)であって、同条第二項第一号に規定する物質(特定有害物質であるものに限る。)をその施設において製造し、使用し、又は処理するものをいう。以下同じ。)に係る工場又は事業場の敷地であった土地の所有者、管理者又は占有者(以下「所有者等」という。)であって、当該有害物質使用特定施設を設置していたもの又は第三項の規定により都道府県知事から通知を受けたものは、環境省令で定めるところにより、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況について、環境大臣又は都道府県知事が指定する者に環境省令で定める方法により調査させて、その結果を都道府県知事に報告しなければならない。
ただし、環境省令で定めるところにより、当該土地について予定されている利用の方法からみて土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがない旨の都道府県知事の確認を受けたときは、この限りでない。
○六価クロム
クロムは主としてクロム鉄鉱として産出されており、地殻表層部には重量比で0.02%程度存在しています。自然界に存在するクロムの原子価は、ほぼ三価のものに限られ、六価のものは、多くの場合人為起源に由来しています。
六価クロムは、発がん性があるとされ、高濃度の場合は皮膚に付着した状態を放置すると皮膚炎や腫瘍の原因になることがあります。
六価クロム化合物は、顔料、染料や塗料につかわれるほか、メッキや金属表面処理、酸化剤などに使用されています。
○ふっ素及びその化合物
ふっ素及びその化合物は、ホタル石などの形態で自然界に広く分布しています。環境中においては、河川や地下水、土壌中に含まれており、海水中のふっ素は比較的高濃度となっています。ふっ素化合物は、ガラス加工や電子工業等において使用されるほか、ふっ素樹脂等として広く用いられます。
また、適量のふっ素は虫歯予防に有効であり、歯磨材にも添加されています。ふっ素による健康被害としては、飲料水として過剰な摂取による斑状歯の発生等が知られています。