令和2年5月18日、三重県生活環境の保全に関する条例第72条の4第1項の規定に基づき、ユナイテッド・セミコンダクター・ジャパン株式会社(桑名市多度町御衣野2000、代表取締役社長 河野 通有)から、同社三重工場(桑名市多度町御衣野2000)において、砒素及びその化合物、鉛及びその化合物、並びに六価クロム化合物による土壌汚染が発見された旨の届出がありました。
1 内容
事業者が同社工場において、自主的に土壌調査を行ったところ、全調査地点(333地点)のうち8地点において、次のとおり同条例で規定する基準を超過していました。
【砒素及びその化合物】
2地点で土壌溶出量基準を超過
土壌溶出量:0.011mg/L (基準値0.01mg/Lの1.1倍)
【鉛及びその化合物】
3地点で土壌溶出量基準を超過
土壌溶出量最大:0.050mg/L (基準値0.01mg/Lの5.0倍)
【六価クロム化合物】
3地点で土壌溶出量基準を超過
土壌溶出量最大:0.10mg/L (基準値0.05mg/Lの2.0倍)
2 原因と対策
同社工場では、今回汚染が発見された有害物質を使用した履歴はありますが、土壌汚染箇所周辺における漏洩事故等はなく、土壌汚染の原因は不明です。
現在、汚染箇所はアスファルト舗装又はシート敷設により、汚染の拡散防止措置が講じられています。
事業者が敷地内で定期的に実施している地下水調査の結果は基準値未満であることから、直ちに周辺の生活環境への影響はないものと考えられます。
今後、事業者は、引き続き敷地内における地下水の状況を定期的に確認するともに、シートが敷設された汚染箇所において、アスファルト又はコンクリートによる封止を行い、汚染拡散の防止措置を行うこととしています。
県は事業者に対して、土壌汚染対策が適切に実施されるよう指導していきます。
3 届出内容の問い合わせ
ユナイテッド・セミコンダクター・ジャパン株式会社 三重工場 施設部
電話番号 0594-48-5512(代表)
[参考]
(三重県生活環境の保全に関する条例 関係条文(抜粋))
第七十二条の四 土地の所有者等は、人の健康又は生活環境に係る被害が生じ、又は生じるおそれがあるものとして規則で定める基準を超える土壌又は地下水の特定有害物質による汚染を発見したときは、速やかに当該汚染の拡散を防止するための応急の措置を講ずるとともに、当該汚染の状況及び講じた措置について、規則で定めるところにより、知事に届け出なければならない。ただし、水質汚濁防止法第十四条の二第一項の規定による届出があった場合は、この限りでない。
○砒素
砒素は、地殻の表層部には重量比で0.0005%存在し、49番目に多い元素です。多くの砒素化合物は、土壌に吸着しやすい性質があり、地下浸透して地下水に溶け出した場合、汚染は広範囲には及びません。
高濃度の砒素摂取による急性の中毒症状としては、めまい、頭痛、四肢の脱力、下痢を伴う胃腸障害、腎障害が報告されています。
WHO(世界保健機関)で定めるPTWI(耐容一週間摂取量=一生涯摂取し続けても健康影響が現れない1週間あたりの指標)は、体重1kgあたり0.015mg/週となっています。
○鉛
古くから人類に利用されていた金属であり、現在でも鉛蓄電池やはんだ等に広く用いられています。鉛は地殻の表層部には重量比で0.0015%程度存在し、水や大気中から検出される鉛には、人為的な排出のほかに地質に起因するものが含まれます。
なお、鉛は人の臓器や組織に通常存在する物質ですが、高濃度の鉛の暴露では貧血や筋肉の虚弱などの中毒症状があらわれます。また、無機鉛化合物では発ガン性があるとされています。
○六価クロム
クロムは主としてクロム鉄鉱として産出されており、地殻表層部には重量比で0.02%程度存在しています。自然界に存在するクロムの原子価は、ほぼ三価のものに限られ、六価のものは、多くの場合人為起源に由来しています。六価クロムは、発がん性があるとされ、高濃度の場合は皮膚に付着した状態を放置すると皮膚炎や腫瘍の原因になることがあります。六価クロム化合物は、顔料、染料や塗料につかわれるほか、メッキや金属表面処理、酸化剤などに使用されています。