平成27年8月7日、三重県生活環境の保全に関する条例第72条の4第1項の規定に基づき、株式会社東芝(東京都港区芝浦一丁目1番1号 代表執行役社長 室町 正志)から、同社三重工場敷地内(三重郡朝日町大字縄生2121番地)において、PCB及びトリクロロエチレン等による土壌汚染が発見された旨の届出がありました。
1 内容
株式会社東芝が、同社三重工場敷地内において、自主的に土壌調査(調査面積約16,652平方メートル)を実施したところ、次のとおり三重県生活環境の保全に関する条例で規定する基準を超過していました。
【PCB】
土壌:30地点のうち1地点で検知 最大0.0053mg/L(土壌溶出量)
(土壌溶出量基準:検出されないこと)
【トリクロロエチレン】
土壌:30地点のうち1地点で超過 最大0.49mg/L(土壌溶出量)
(土壌溶出量基準(0.03mg/L)の16倍)
【シス-1,2-ジクロロエチレン】
土壌:上記トリクロロエチレンと同地点で超過 最大0.11mg/L(土壌溶出量)
(土壌溶出量基準(0.04mg/L)の2.8倍)
現在、汚染区画は雨水浸透防止策が講じられており、また、地下水の調査結果が環境基準未満であったことから、直ちに周辺環境への影響はないものと考えられます。
今後、当該事業者は、掘削除去等の具体的な措置の方法を検討し、措置を実施することとしています。
県は同社に対して、土壌汚染対策が適切に実施されるよう指導していきます。
2 届出内容の問い合わせ
株式会社東芝三重工場 管理部 表 雄矢、河尻 達也
電話 059-376-6001
【参考】
○三重県生活環境の保全に関する条例(関係条文)
第七十二条の四
土地の所有者等は、人の健康又は生活環境に係る被害が生じ、又は生じるおそれがあるものとして規則で定める基準を超える土壌又は地下水の特定有害物質による汚染を発見したときは、速やかに当該汚染の拡散を防止するための応急の措置を講ずるとともに、当該汚染の状況及び講じた措置について、規則で定めるところにより、知事に届け出なければならない。ただし、水質汚濁防止法第十四条の二第一項の規定による届出があった場合は、この限りでない。
○PCBについて
化学的に安定しており電気絶縁性に優れていることから、絶縁体や熱媒体としてトランスやコンデンサに多く用いられてきたが、昭和47年以降は製造が中止されている。土壌中での移動性は小さく、化学的に安定かつ生分解性も低い特性から、汚染拡大の程度は低いと考えられるが長期間環境中に残留する。慢性的な摂取により体内に徐々に蓄積し、肝障害、浮腫などさまざまな症状を引き起こすとされている。
○トリクロロエチレンについて
トリクロロエチレンは、かねてより金属部品や機械部品等の洗浄に使われてきたが、代替フロンの原料としても多く利用されていた。現在は規制対象となっており、製造および販売の際には汚染防止の措置が義務付けられている。土壌中に排出された場合、土壌への吸着性が弱いため地下浸透して地下水を汚染し、さらに大気中へ揮発する。直接摂取による有害性は確認されているが、呼吸に伴う人体の健康への影響は小さいと考えられる。
○シス-1,2-ジクロロエチレンについて
シス-1,2-ジクロロエチレンは、かつて染料や香料、熱可塑性樹脂の製造の際の原料等に使用されていたが、現在シス-1,2-ジクロロエチレンとしての用途はない。土壌中や地下水中において、酸素の少ない状態でトリクロロエチレンやテトラクロロエチレンが微生物により分解されることによって生成する。汚染された水を長期間飲用するような場合を除いて、飲み水を通じて口から取り込むことによる人の健康への影響は小さいと考えられる。